のん太

蒲田、夜の散歩ガイド

西口、東口に広がるディープな夜の蒲田を案内

テキスト:: Genya Aoki
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タイムアウト東京 > ナイトライフ> 蒲田、夜の散歩ガイド

写真:Kisa Toyoshima、Keisuke Tanigawa

東京の南東、大田区の真ん中に位置する蒲田は、一見これといった特徴がない街だと思うかもしれない。しかし、この街には豊かな歴史やユニークでディープな店、素晴らしいレストランであふれているのだ。

かつて蒲田は、現在の原宿や渋谷と同じような流行の発信地だったことがある。戦前は映画の町として知られ、有名な松竹スタジオ(若き小津安二郎が監督デビューを果たした場所)があった。その後、松竹スタジオは1930年代後半に移転。戦後数十年にわたり、太田区の小規模工場が日本の大企業にとって重要な部品供給源となると、再び蒲田を中心とした商業活動が行われるようになり、これまでとは違った形で有名になった。

今日、蒲田エリアは活気のある店(大手手芸店のユザワヤ本店など)や黒湯、羽田空港にアクセスしやすいことなどで知られている。ここでは、蒲田に住むスタッフ2人のおすすめと取材を進めていく中で知り合った蒲田愛あふれる住人から聞いた、アフター5から楽しめる夜のディープスポットを紹介したい。

西口

  • 台湾料理
  • 蒲田

喜来楽シライル

西口のバーボンロードを抜けた先に、ポツリとたたずむ本格台湾料理レストラン。常連はセルフで氷やキープボトルを取り出し、飲むというアットホームすぎる雰囲気だ。食材と調味料はほぼ台湾から取り寄せたものを使用しており、珍しいメニューもそろっている。

人気は、台湾屋台で定番のカキが入ったオムレツ『オアチェン』や映画『千と千尋の神隠し』のシーンに登場するジューシーな肉料理のモデルとなった『バーワン』など。マスターが、その日のおすすめを「これ、おいしいから食べて!」と次々と出してくれるので、悩むヒマがないかもしれないが……。

2人で腹が膨れるまで食べても予算は3,000円ほど、とリーズナブルなのも魅力だ。 

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  • 蒲田
ワイルドな夜を過ごす。
ワイルドな夜を過ごす。

ダブシティー ナッティー ドレッドカフェ

商店街を抜けた先にポツンとあるレゲエバー。店名の「NATTY DREAD」は、きれいなドレッドという意味で、ボブ・マーリーの最高傑作と呼ばれるアルバムと同名である。扉を開けばフレンドリーなナイジェリア出身のオーナー、バリが迎えてくれる。

メニューにはオリジナルカクテル が多くそろい『You & I』というロマンチックなネーミングのものから、『Ganja Night』とワイルドなものまでさまざま。フードメニューも人気で『BARBECUED CHICKEN』は香りだけでも食欲がそそられる。

  • ナイトライフ
  • 蒲田

直立猿人

バーボンロード近くにあるジャズバー。ジャズ喫茶が全盛期だった1975年にオープンした、屋根裏の隠れ家のような場所だ。チャールズ・ミンガス好きな店主が、当時4文字漢字を使った店名の喫茶店がなかったことと、彼の楽曲から「直立猿人」と名付けた。

厳格なジャズバーというよりは、カジュアルに酒やコーヒーを飲みながらリラックスして音楽を楽しめる店だ。2015年に店主が引退し、新マスターがこの歴史を引き継いだ。カバーチャージなどはなく、アルコール類は500円からと良心的で、年に数回ジャズのライブも行われている。

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  • 日本料理
  • 蒲田
名物ママに挨拶する。
名物ママに挨拶する。

居酒屋 のん太

東京工科大学のキャンパスを抜けて、住宅街へ差し掛かる途中にある居酒屋のんた。23時からオープンし、朝9時まで常連客で小さな店はにぎわっている。蒲田在住の客がほとんどで、バーのオーナーが仕事終わりにフラッと飲みに来たり、徒歩圏内に住んでいる客と出会える。

名物ママのキャサリン、モヒカン姿のダックスフンド、金宮ボトルのキャップタワー、壁中に張られた客の顔面写真など、突っ込みどころは多い。フード類はどれもうまくボリューミー。中でもおすすめは『納豆オムレツ』と『たまごサンド』だ。

  • 日本料理
  • 蒲田
レバー嫌いを克服する。
レバー嫌いを克服する。

最後の楽園 レバーランド

レバーが名物の人気立ち飲み屋。この店に来たらとにかくレバーを食べるのが正解だ。まずは『レバカツ串』を頼んでほしい。厚みのあるレバカツはレバー本来の柔らかさとジューシーさを兼ね備えた一品だ。焼きなら『白レバー鉄板焼き』もおすすめ。いずれも臭みがなくレバーに抵抗のある人は考えが180度変わってしまうかもしれない。 酒は割もの文化が浸透している蒲田らしく、キンミヤ焼酎とホッピーという黄金の下町セットとともに楽しんでみてほしい。

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  • ナイトライフ
  • オルタナティブナイトライフ
  • 蒲田
名司会者のもんちゃんと出会う。
名司会者のもんちゃんと出会う。

東京オアシス

蒲田で約50年の歴史を持つカラオケスナック。店内にはステージと客席があり、スナックと言うよりもショーパブに近いだろうか。ひとたび入るとカラオケに始まり、手製の紙吹雪による演出や、名物のステップを踊るダンスタイムなど愉快な催しが続く。

料金は2時間飲み放題制で女性3,000円、男性3,500円、延長は60分1,000円とリーズナブルなためいつまでも居たくなってしまうが、隣り合った客同士で譲り合う心も忘れないようにしよう。カラオケを歌うのも、人の歌を聞くのも好きな人はぜひ訪れてみてほしい。名司会者のもんちゃん(念のため店長)が楽しい夜をプロデュースしてくれること請け合いだ。

  • 日本料理
  • 蒲田
巨大居酒屋で一杯やる。
巨大居酒屋で一杯やる。

鳥万

5階建て、170以上の席数をほこる居酒屋の鳥万。1963年創業の人気店で、1階席に座ると次から次へと2階席に客が案内されていく様が眺められる。バラエティー豊かなメニューは、ほぼ300〜400円代でどれもうまく、老若男女から愛される理由もうなずける。名物はカラッと揚がった『若鶏の唐揚げ』。『鶏皮煮込み』は、もつ煮込みの「鳥版」といったメニューでおすすめ。刺し身も同様の金額で味わえる。大田区発祥の『バイスサワー』が楽しめるということも特筆したい。

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東口

  • Things to do
  • 蒲田
真っ黒な美人の湯につかる。
真っ黒な美人の湯につかる。

蒲田温泉

赤い看板が目印の天然温泉銭湯。ここでは「美人の湯」と呼ばれる真っ黒な黒湯の風呂を堪能できる。施設には、高温と低音の温泉、真湯の気泡風呂と電気風呂、サウナがあり、2階には食事、飲食、カラオケが楽める大広間もある。黒湯はアルカリ性であるために、同じアルカリである石鹸を多用すると皮膚の角質が臆弱化することもあり得るので、肌がすべすべになるからといってこすり過ぎないように注意してほしい。

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  • ショッピング
  • 音楽&エンターテイメント
  • 蒲田
中古レコ屋のさきがけでディグる。
中古レコ屋のさきがけでディグる。

えとせとらレコード

蒲田に古くからあるレコード店。店前には『100円均一処分品』の箱が並び、7インチのレコードや短冊形のCDなど懐かしい品々に出合える。店内には所狭しとレコードが積み上がり、レコードマニアにはたまらない空間。非常に狭い通路のためにリュックを背負ったまま入るのは禁物だ。定休日は変更があるので公式サイトで確認してほしい。

商品は全て半額セールを実地中なので、掘り出しものを探しに駆け付けよう(2019年10月現在)。

  • カフェ・喫茶店
  • 蒲田

チェリー

蒲田駅東口から徒歩5分ほどの場所にある、1960(昭和35)年にオープンした喫茶店。古き良きパリのカフェをイメージしたという店内には、真っ赤な壁にフランス人画家ロートレックの絵画が並ぶ。 人気のメニューは、極厚だがふわふわ食感の『ホットケーキ』。しかし、この店の本気を知りたいのなら、インパクト大の『プリンアラモード』(750円)に挑戦してほしい。パイナップルやメロン、リンゴなどのフルーツを掘っていくとプリンにやっとたどり着く、ビッグサイズのデザートだ。メニューに記載はなく、15分ほどかかるので、時間と腹に余裕があればオーダーしてほしい。

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  • ナイトライフ
  • 蒲田
世代を超えてジャムる。
世代を超えてジャムる。

スタジオ80

バー兼イベントスペース。小さな扉から中に入ると、かつてディスコだったという店内は思ったよりも広々している。ヒッピーのたまり場のような雰囲気で、曜日ごとにジャンルや集う人の世代も異なるさまざまなイベントが行われているのが魅力だ。

もともとは、1995(平成7)年にオーナでダンサーのクリタチカコが、自身の拠点としてオープンさせ、それ以来DJイベントやライブ、展示、飛び込み参加可能なジャズやブルース、ロックのセッションパーティなどが行われている。 料金はイベントによって異なるが、エントランスは1,000円代で、ドリンクは600〜700円ほど。簡単なつまみもあり、生地から仕込んだオリジナルピザは特におすすめだ。

  • ショッピング
  • メンズウエア
  • 蒲田
アンダーグラウンドなアイテムをゲットする。
アンダーグラウンドなアイテムをゲットする。

ブラック ダラス

2020年で30周年を迎える、ここでしか手に入らない服やグッズがそろう独自の視点を持ったブラック ダラス(BLACK DALLAS)。アーティストのUSUGROWが手がけた商品を中心に、オリジナルブランドや深く関わりのあるアーティストのアイテムなどを取り扱っている。海外から訪れるファンも多いが、知る人ぞ知る隠れ家のような店だ。また店内階段スペースでは、不定期でさまざまなアーティストのポップアップを開催している。

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  • 蒲田
バブルな時代を振り返る。
バブルな時代を振り返る。

ショットバー ふくろう

1989年にオープンした、オーセンティック バー。店内に入ると2つのカウンターがあり、バブル期のなごりを感じられる。おすすめは、オーナーバーテンダーの梅澤が自らホップの栽培を行っている、自家製のクラフトビール『蒲田エール』(1,200円、ハーフ650円)は、ぜひ味わってほしい一杯。そのほか、定番のカクテルや珍しい酒、シガーなどがそろう。テーブルチャージは20時以降1,000円。年に数回、落語会を開催しているというのもユニークだ。

  • 中華料理
  • 蒲田

你好 本店

餃子激戦区として知られる蒲田。同所で餃子と聞けば、真っ先に你好(ニイハオ)を思い浮かべる人も少なくないだろう。同店は「羽根付き餃子」発祥の店といわれており、老若男女問わず人気を集める名店だ。 パリパリの香ばしい羽根とぎっしり詰められたあん、もちもちの分厚い皮が一体になった『羽根付き焼餃子』は、口に入れた瞬間に濃厚な肉汁があふれ出す。まずは酢としょうゆだけで食べた後に、卓上の『食べるラー油』も試してみてほしい。

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  • ベトナム料理
  • 蒲田
  • 価格 1/4
ベトナム料理の名店でチェーする。
ベトナム料理の名店でチェーする。

ミ・レイ

予約なしでは入れないほどの人気ベトナム料理店。蒲田の飲食店といえば餃子と並んで名前が挙がる名店だ。メニューはベトナム風のお好み焼き『バインセオ』をはじめ、甘く柔らかな『スペアリブ』、『バイミーサンド』や『チェー』など人気の品々がそろう。

貝やエビを使った料理も豊富にあり、白身魚の生春巻きや、フォーの種類である『フーティウ』、バニラのような甘い香りのする緑色のプリン『パンダンリーフのプリン』など、珍しいフードも並ぶ。良質なベトナム料理を味わいに、ぜひ訪れてみてほしい。

  • ショッピング
  • 蒲田
都内唯一の屋上観覧車に乗り込む。
都内唯一の屋上観覧車に乗り込む。

東急プラザ蒲田 かまたえん

蒲田駅に隣接されたショッピング施設。屋上には都内唯一の屋上観覧車が設置された、かまたえんもある。

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  • アトラクション
  • アーケード&娯楽場
  • 蒲田

アスレチッタ蒲田

バッティング、ボーリング、ビリヤード&ダーツが入ったアミューズメント複合施設。1922(大正11)年に創業し、現在は川崎チネチッタの経営でも知られるチッタグループが運営している。同会社により建てられたボーリング場、蒲田ミス・ボウルの跡地にあることからも、古くから住む地元の人々の憩いの場となっている。

料金は1ゲームにつきバッティング300円、ボーリング450円から、ビリヤード400円からと親しみやすい設定の上、女性や学生に向けた割り引きなども実施している。写真はバッティングフロアのもの。  

  • ショッピング
  • 酒屋・ワインショップ
  • 蒲田
イチゴウを飲み干す。
イチゴウを飲み干す。

日本酒一合瓶専門店イチゴウ

アスレチッタ蒲田に併設する、カプセルホテルの1階にある日本酒一合瓶の専門店。150を超える品種の日本酒を全て1合瓶のサイズで取りそろえており、見た目のかわいらしさから土産にも最適だ。リーズナブルなものから高級な古酒まであり、専用のギフトボックスに好きな銘柄を選んで詰めることもできる。ホテル併設のため、24時間営業なこともうれしい。日本酒の生産地別に詳細を書いたスタッフ手製のファイルもあり、日本酒好きにはたまらない店だ。

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  • ティールーム
  • 蒲田
万惣の味に涙する。
万惣の味に涙する。

シビタス

東急蒲田店4階にあるホットケーキが人気の喫茶店。元々は『万惣蒲田店』として営業していた。店名が変わった今でも、神田須田町『万惣フルーツパーラー』(2012年3月閉店)で1930年に考案されたレシピでホットケーキを作っている。サクサクとした食感の表面と絶妙な火加減でしっとりと仕上げられた中身とのコントラストが印象的なホットケーキを堪能したい。

蒲田を歩くなら……

  • Things to do
蒲田、レトロなスポット5選
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大田区の真ん中に位置する蒲田。蒲田駅で降りれば、西口と東口に広がる無数の飲み屋が酒好きを飽きさせない。また、昭和の名残を感じさせるレトロでノスタルジックな店が多く残っているのも魅力である。ここでは、そんな蒲田でレトロな雰囲気を感じられる喫茶店やジャズバーなどを厳選して5つ紹介する。

  • 中華料理
蒲田、餃子のウマい店6選
蒲田、餃子のウマい店6選

東京の餃子の聖地といえば、なんといっても蒲田だ。蒲田駅を中心に半径500メートル圏内に20軒を超える餃子店が集中している。もともとは中国残留孤児である八木功が、日本帰国後の1983年12月に你好(ニイハオ)を創業したのが始まりといわれている。大連仕込みの焼きまんじゅうからヒントを得て、裏側にバリバリの羽根が付いた『羽根つき餃子』が完成した。你好とともに「蒲田餃子御三家」に数えられる、金春(コンパル)、歓迎(ホアンヨン)の3店はいずれも八木の兄弟が創業している。春香園は、金春の店主の息子が店主を務める。今回は、数ある店の中から、特に蒲田らしい店を紹介する。 取材してみて分かった特徴は、パリパリの羽根が付いていることに加え、価格が控えめだということ。また、『羽根つき餃子』には、ニンニクやニラを使っていないという店が多い。とはいっても、店によって少しずつ特徴は異なる。ただ、どこもボリュームはなかなかのものなので覚悟して臨もう。

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