マイルスのトランペットのようなキレのある辛さとスパイス感
御徒町のアーンドラキッチンは、インド南部のアーンドラ州出身のシェフが作る、本格的な南インド料理が楽しめる店。
おすすめは『アーンドラスペシャルミールス』(1,650円)。日替わりカレー2種、サンバル(豆と野菜のカレー)、ラッサム(タマリンドと黒胡椒のスープ)、ポリヤル(いんげんと豆の炒め物)、パパド(豆粉で作ったインドせんべい)チャパティ(全粒粉の薄焼きパン)、バスマティライス、ピクルス、デザートが付いたスペシャルセットだ。
ミールスと呼ばれる南インドの定食スタイルで楽しむカレーの数々は、それぞれ異なる個性が際立つスパイス感の強い仕上がり。混ぜ合わせながら食べ進めると聴こえてくるこのグルーヴ感は……まるでマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の『Pharaoh’s Dance』である。
ラッサムのキレのある辛さとスパイス感は、マイルスのトランペット。野菜のうま味が深みを与えているサンバルは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)のサックス、ポリヤルのピリッと効いたスパイシーさは、ジョン・マクラフリン(John Mclaughlin)のギター。食べ進むごとに、混沌(こんとん)とした秩序、ないし秩序ある混沌を生み出すあのアンサンブルが鳴り響く。
そのほかにも『ドーサセット』(1,450円)、『シェフ特製セット』(1,350円)など、南インド料理好きなら押さえておきたいセットメニューがそろっているので見逃さないように。