サブリミナル的に届ける
―日本は何年ぶりですか。
23年ぶりですね。私のサードアルバム『Man』をリリースしたタイミングで、プロモーションのために来日しました。日本でのライブに至っては1983年以来です。
―あなたの娘、メイベルも9月にプロモーションで来日するそうですね。
はい。前回日本に来た時、彼女はまだ赤ちゃんだったんです。今回は夫と孫も一緒に来ていて、1週間滞在するんです。孫はパブリック・スクールに通っているんですけど、アジア系の学生も多いみたいで、ラーメンを作ったり、日本の漫画を読んだり、日本の文化にすごく興味を持っていて。
日本にいる間にみんなで温泉に行くことになったんですけど、「おばあちゃんはタトゥーがあるから、日本の温泉には入れないよ」って言われて(笑)。彼は日本のことを何でも知っているんです。
―(笑)。では、最新アルバム『Broken Politics』について聞かせてください。リリースされてからさまざまな反響を受けたと思いますが、特に印象に残っている声などはありますか。
『Broken Politics』はキーランと制作した2枚目のアルバムで、彼と最初に話していたのは、「よりソウルフルなアルバムにしよう」ということ。加えて、リスナーに伝えたいメッセージはあるけど、それを直接的ではなくて、サブリミナル的に届ける、ということ。
リリースしてからいろいろな人からの声をもらったけれど、私にとっては「聴いたよ」という一言だけで十分で、それ以上は望みません。
―前作『Blank Project』とは地続きの作品なのでしょうか。それとも全くの別物として捉えているのでしょうか。
私は自分の全ての作品はつながっていると思っています。ただ、前作と今作はかなりサウンド的には異なりますよね。前作の制作時は、母が亡くなったこともあって、自分の人生の中でもとても暗いところにいた時期だったんです。
なので、作品もパンキッシュで攻撃的な内容になりました。陰と陽ではないけれど、今回のアルバムはより明るいところに出てきた、穏やかな作品になったと思います。