『ホワイト・アルバム』は、100万回でも聴ける
―あなたが音楽に目覚めたのはいつですか。
マイケル・ミロシュ:これまでの人生、ずっと楽器に触れてきたんだ。3歳のときにチェロをはじめて、11歳からはオーケストラで演奏をしていた。僕はいつも音楽の一部みたいなものだった。でも、音楽を本格的に作り始めたのは26歳のとき。それがちゃんとした機器でレコーディングを始めた時期だよ。それまでは、ただ楽器を弾いて、それから演技をしたり、写真を撮ったり、いろんなことを自分のペースでやっているだけだった。だから、いつから音楽を始めたかといえば、本当に幼いとき。音楽と一緒に育ったし、音楽がない自分というのを、よく知らないとさえ言えるかな。自分が何者かということを考えるとき、音楽が大きな部分を占めているよ。そのくらいだから、自分が音楽を「始めた」という記憶はないんだ。
―シンガーとしてのキャリアはいつからになりますか。
27歳だった2004年に、初めてレコード契約を結んだ時が始まりなんじゃないかと思う。僕が誰なのかってことをみんなが最初に認識した時でもあるね。最初は作曲とプロデュースからスタートして、それらの楽曲になにか足りないような気がしたから、あとからヴォーカルを加えることにしたんだ。
―最初の作品からすべてあなたが歌っているのですか。
そうだよ。アルバムのプロデュースも全部自分でやったんだ。それに楽器も全部自分で演奏した。ほかの人たちと一緒に音楽を演奏し始めたのはそれからずっと後になってからのことなんだ。最初は全部、自分ひとりでやっていたんだ。
―これまで最もたくさん聴いたアルバム教えてもらえますか。
これまでの人生すべてで?そうだなあ…、ピンク・フロイドの『ザ・ダークサイド・オブ・ザ・ムーン(狂気)』かな。
―『狂気』の素晴らしいところはなんだと思いますか。
ただ、大好きな作品だよ。すごくクリエイティヴだと思うし、プロダクションも信じられない完成度だ。なにより曲が好きなんだ。ツアー中の飛行機のなかでは、いつもノイズキャンセリングのヘッドフォンで音楽を聴いているんだけど、このレコードを聴くときはただ目を閉じて聴き入っているよ。
―古い音楽と最近の音楽、どちらを聴くことが多いですか?
主に古い音楽だね。1960年代から90年代まで。
―新しい音楽も聴きますか。
ほんの少しね。
―あなたが考える完璧な曲、もしくはアルバムを教えてください。
うーん、これは難しい質問だ。ビートルズの『ホワイト・アルバム』かな。絶対に飽きがこなくて、100万回でも聴ける。いつだってわくわくさせてくれるよ。