レズビアンバーをオープンするまで
ーレズビアンバーをオープンしたきっかけを教えてください。
さと子:20代前半の頃はほぼ毎日二丁目で過ごしていました。ただ、私自身がお酒をあまり飲まないことや、友達が欲しくても全然できなくて、出会いは全て恋愛につながるような人が多い環境で、なんとなく居づらさを感じるようになって。
親へのカミングアウトをしていなかったことも重なり、二丁目に行くこと自体に後ろめたさを感じるようになってしまったんです。そんな経験から、親を連れて飲み食いできるような、鉄板を囲んで楽しめるフランクな場所を作りたいと考えてどろぶねをオープンしました(現在、鉄板焼き屋は移転してバーとして運営している)。
どろぶねで働くさと子さん(画像提供:長村さと子)
アバゆう:私は、以前は男性のお客さんがいる水商売に携わっていました。なので、自分でお店を出そうと思った当初はビアンバーではなく、バーやスナック、ラウンジなどを考えていたんです。それで物件を探していたら、知り合いに「今箱が空いてるから、一緒にビアンバーを始めない?」と声をかけてもらい、思い切って始めることになりました。
画像提供:アバゆう
アバゆう:最初は男性のお客さんも入れるバーを考えていましたが、実際にお店を始めてみると、スペースが狭いゆえに女性がくつろげる雰囲気が作りづらいことに気づき、今は一見のストレート男性の入店をお断りしています。
チガ:女性オンリーのパーティーを1991年に始めました。16年ほど前に、海外テレビドラマ「Lの世界」(アメリカのテレビドラマ市場で本格的にレズビアンをテーマにした初の作品)が流行り、その影響でマイアミのレズビアンパーティーに参加したんです。帰国後、イベントの経験とスペースがあれば面白い展開になるのではないかと思い、1970年代のモーテルの雰囲気に着想を得て、ビアンバーを構えることにしました。
GOLD FINGERが開催するイベント(画像提供:オガワチガ)
チガ:うちは外から店内が見えるようになっているので、入りやすい雰囲気があります。とはいえ、ほとんどのお客さんが事前に調べてからいらっしゃる印象です。特に外国人のお客さんが多く、旅行中にフラッと立ち寄る方もいますね。
さと子:どろぶねはパーティーなど騒がしすぎるところが苦手な方や、お酒を飲まない女性が多い印象です。お話をゆっくりしたいと思ってるカップルや友達同士も安心できると言ってくださります。お客さんの年齢層は幅広く、スタッフ含めてセクシュアリティーに関してはあえて言わない人が多い印象です。
ただ、たまに悩みを打ち明けてくれる方もいて、中には男性と付き合っていることを気にしている人や、これからの人生について考えている人もいます。
アバゆう:八にはセクシュアリティーに迷ってるお客さんが多いですね。実は女の子に興味があるとか、お付き合いしたことはないから本当に好きか分からないとか。あとは「おばビアンCHANNEL」というYouTubeをやっているので、動画を見てきてくれる人もいます。
アバゆう(左から3番目)さんとおばビアンCHANNELのメンバー(画像提供:アバゆう)