ドラァグクイーンは男性がするもの?
ヴェラ:ドラァグクイーンといえば、リップシンク(歌曲に合わせて口を動かすパフォーマンス)のショーを思い浮かべる人が多いかもしれない。最近はドラァグクイーンのル・ポールが化粧品ブランドのMACとコラボレーションしたり、日本国内でもタレントとしてテレビに出演したり、活動の幅はステージの上だけではなくなってきているよね。2人にとってドラァグクイーンって何?
ラビアナ:私は「反抗から生まれるアート」だと思ってる。社会から求められる女性・男性らしさで遊びながらパフォーマンスして、そのバイアスをばかにしつつも問題として主張するのが、私にとってのドラァグクイーン。
モチェ:日本には反抗や反差別の意味を持つ「芸」は少ないように感じる。歌舞伎のように、異性装としてドラァグクイーンと類似して並べられながらも、女性が舞台に立つ機会が与えられない職業はたくさんあるよね。性別のバイアスを取り払えるのは、ドラァグクイーンが持つ一つの要素だと思うよ。
ヴェラ(Photo: Yanni)
ラビアナ:一方、「ドラァグクイーンはシスゲイ男性(*3)のもの」というような、ミソジニスティック(女性嫌悪、女性軽視)な意見もあるよね。
モチェ:本来、ドラァグクイーンは性別に関係なく開かれているものだけど、大半はシスゲイ男性。そういう意味では、性別と結びつく可能性はあるかもしれないし、ドラァグクイーンだから自由になれると断言するのは難しい。
私はAFAB(出生時に女性を割り当てられた人)でアセクシュアル(*4)なので、シスゲイ男性と共感できる文化とは程遠い場所にいるかもしれないけど、あらゆるセクシュアリティーに対してドラァグクイーンというものが開かれてほしいと願ってる。
*3 生まれ持った性別と自認が男性として一致している同性愛者のこと
*4 性的欲求や恋愛感情をほとんど、または全く抱かないセクシュアリティーのこと