1. ゴッドファーザー(1972年)
「銃を捨ててカノーリ(イタリアの円筒形の菓子)を取れ」
フランシス・フォード・コッポラによる、ねじれた忠誠心と失われていくモラルを描いたこの不朽の悲劇がギャング映画の頂点に君臨していることに異論を唱える人はいないだろう。本作ほど力強く色あせない作品はほかにない。ベッドに置かれた(切り取られた)馬の頭、(殺されるときの)ルカ・ブラージの出目金のようになった目といった劇的な瞬間から、パン職人のエンツォの震える手、クレメンザのパスタのレシピといった最も小さな細部に至るまで、この作品では、全てが完璧に仕上げられている。そして、それら個々のパーツが、ひとつの間違いも許されることなく完璧に並べられているのだ。100年後にこの「ギャング映画30選」のリストを見直したとしても、この映画は首位を堅持していることだろう。
ーTom Huddleston