Lady Snowblood (1973). ©1973 Toho
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日本で最もセクシーな映画俳優

銀幕を輝かせるスターたち

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テキスト:ジョン・ウィルクス、ジェイムズ・ハッドフィールド

この記事に何か問題があったとしても驚かないでほしい。「問題」といっても、記事の為に、何十時間もかけて作品を見たことや、リサーチが大変だったとか、そういうことではない……。実は本当に大変だったのは、リストを20に絞ることだ。

言わずもがな、我々の中でも議論はあった。最終的には、シンプルな前提に辿りついた。それは、その俳優に「真のセクシーさ」がある、もしくはあったかどうかだ。本当にエロティックなシーンがある作品から選んだので、自動的に綾瀬はるかと、キムタクは登場しないことが決まった。結果、「生」のセックスアピールで、スクリーンを常に熱くする俳優たちが残った。

ちなみに、順番は関係ない。タイムアウト流に並べただけだ。しかし、選んでいたら熱くなってきた。誰か、近くに頭を冷やす場所を知らないだろうか。

※2011年の記事を再編集して掲載

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ー女性部門ー

若尾文子

1952年の映画デビュー後すぐに、溝口健二監督などに認められ、『祇園囃子』(1953年)や『赤線地帯』(1956年)に出演した。増村保造監督作品には、主演女優として数多く登場したが、2人の関係は簡単なものではなかったようだ。増村監督は、後に、若尾のことを「自分中心的なところがあって、計算高い」と、表現している。チャーミングだ。

最もセクシーな役
やはり増村と若尾のコンビ作品が、激しくセクシーだろう。『刺青』(1966年)で演じた魔性の女しかり、赤い天使(1966年)で演じた戦場看護婦しかりだ。偏愛を巧みに描いた作品、『卍』(1964年)での、光子役は次点だ。

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梶芽衣子

日本の素晴らしいカルトスター梶芽衣子。彼女は、女性の暴走族グループを描いた野良猫ロックシリーズで、「族」のリーダー役を演じ、名を上げた。しかし、レジェンドに押し上げたのは、『女囚さそり』シリーズで演じた松島さそり(ナミ)役だろう。クエンティン・タランティーノは、『キル・ビル』でルーシー・リューが演じた役を、梶をモデルに設定していた程、熱狂的なファンだ。

最もセクシーな役
梶が、『女囚701号/さそり』(1972年)や『修羅雪姫』(1973年)で演じたほど、力強く復習に燃えた殺し屋をゴージャスに表現できる女優は他には、いないだろう。ヤクザの愛人を演じた、『やくざの墓場 くちなしの花』(1976年)では、弱みを見せる演技もいい。

土屋アンナ

風変わりな作品として2004年にヒットした『下妻物語』で映画デビュー。自分と正反対の女の子との友情を築きあげていく、ろくでなしのヤンキーを演じた。トラブルメーカー的なイメージの役は、次作の『さくらん』(2007年)でも、引き継がれ、うまく役にはまっていた。インタビューなどでは、ぶっちゃけトークが多く、どちらかというと、セクシーでキュートというよりは、けんかっ早い印象だ。時に、その生意気さが隠れた時に、彼女は格段にセクシーになる。同世代の女優たちが狙っても出せない、セクシーさだ。

最もセクシーな役
『さくらん』のきよ葉役。さくらんは、安野モヨコの漫画を原作に、色鮮やかに、現代的に江戸・吉原の人間模様を描いた作品。彼女は、遊女を演じた。ほかに言うべき事があるだろうか?

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前田通子

日本におけるグラマー女優のオリジネーターだ。1950年代に、その豊満な体を武器にスクリーンデビュー、『女真珠王の復讐』(1956年)では、日本映画史上初めてのオールヌードで登場し、人々を興奮させた。しかし、誰もが自由ではなかった時代、ドラマ『金比羅利生剣』の監督からのスカートの裾をまくるという演技注文に反発したのをきっかけに、業界から追放され、以後、数十年もの間、目立たない存在になっていた。

最もセクシーな役
『女真珠王の復讐』の有名なオールヌードシーンは、実はとてもピュアだ。つまり、彼女の実際の演技より、丸みを帯びた彼女の体に重きが置かれていたとういうことだろう。

杉本彩

いわゆるピンク映画の中でも、芸術的作品と、ポルノ的作品の境界線ははっきりしていると言えるだろう。杉本は、花と蛇シリーズで国際的に知られている。彼女は、決して、平坦なキャリアを歩んできたわけではない。映画以外では、「エロスの伝道師」としても知られ、セックスレスを告白し、2003年に離婚、豊胸サプリのコマーシャルにも登場、PETAの毛皮反対キャンペーンでヌードモデルも務めた。しかも、彼女はJ-POPシンガーでもある。一度聴いてみるといい。

最もセクシーなシーン
『花と蛇』(2004年)での遠山静子役は間違いなく、エロティックだ。なにか、引っかかる感じもないが、見やすいという映画でもない。この種の映画にしては、珍しいかもしれない。

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京マチ子

多くの日本映画に出演し様々な役をこなした女優、京マチ子は、時代を超える最高傑作、黒澤明の『羅生門』(1950年)や溝口健二の『雨月物語』(1953年)をはじめ、1950年代だけでも60本以上の作品に登場した。アメリカのコメディ映画『八月十五夜の茶屋』(1956年)では、マーロン・ブランドと競演し、ゴールデングローブ賞にまでノミネートされる。この作品で日本人に扮するブランドの奮闘ぶりは、なかったことにした方が彼のためにもいいだろう。

最もセクシーな役
『地獄門』(1953年)での袈裟御前は衝撃だった。『赤線地帯』(1956年)での官能的な娼婦、ミッキー役も忘れがたい。

寺島しのぶ

寺島しのぶの「美」は決して伝統的なものではないが、他の女優たちが尻込みするような役を大胆に演じてきた。ということは、もちろん濡れ場シーンも多い。2003年に『ヴァイブレータ』と『赤目四十八瀧心中未遂』で数々の賞を総なめにし、2010年は『キャタピラー』でベルリン国際映画祭最優秀主演女優賞に輝いた。

最もセクシーな役
寺島が出演する作品は、セクシーというよりは物騒な役柄が多いが、『赤目四十八瀧心中未遂』の気まぐれな綾役ははまり役だった。作品自体は不作に終わったものの、『愛の流刑地』(2007年)での不倫に陥る主婦役もはまり役だった。

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黒木瞳

女性のみで構成される宝塚歌劇団の最も有名な卒業生のひとりが、華麗に女優へと転身した黒木瞳だ。海外のファンには2002年のホラー映画『仄暗い水の底から』で知られているが、数多くの賞を受賞した『失楽園』(1997)を代表とする、リスクの高い役柄にも果敢に挑戦している。

最もセクシーな役
『化身』(1986年)を皮切りに、セクシーな役が続くが、彼女が最もエロティックだったのは役所広司との不倫愛に溺れる人妻を演じた『失楽園』だ。大島渚の『愛のコリーダ』の足下には及ばないが、『SADA~戯作・阿部定の生涯』(1998年)の阿部定役も必見に値する。

菊池凛子

凛子(母親からは本名の百合子で呼ばれている)は、女優キャリアの駆け出しとなった7年間は、インディーズ映画の端役として演技をしてきた。2006年に出演した『バベル』で彼女は一挙に国際的なスターダムにのし上がった。日本人女優としては50年ぶりに、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、「危険な日本人女性」役の座を不動のものにした。

最もセクシーな役
『ナイト・トーキョー・デイ』(2009年)で演じた、殺し屋。昼は魚市場で働くが、次のターゲットと知らずに孤独なスペイン人男性と恋におちる。『ブラザーズ・ブルーム』(2008年)でのバン・バン役はセクシーとは形容しがたいが、短期でけんかっ早いところに興奮する人もいるかもしれない。

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松坂慶子

2009年に紫綬褒章を受章した松坂慶子がこれまでに出演した映画は80本以上、テレビドラマは100本を超える。これまでの受賞歴はそうそうたるもので、日本アカデミー賞主演女優賞を『青春の門』、『蒲田行進曲』、『死の棘』で受賞している。

最もセクシーな役
女優キャリア全体を通じて、松坂にはどこかエロティシズムが漂う。『夜の診療室』(1971年)でセックスについて語る大学生役や、まだ青年の真田広之との恋物語『道頓堀川』(1982年)、流刑になり年老いていく花魁を演じた『るにん』(2005年)などがそうだ。

ー男性部門ー

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松田優作

パーマですら男らしく見せてしまうほどの格好良さ。1970年代から80年代にかけて、日本のアクションスターのトップに君臨した松田優作。『探偵物語』(1979-80年)でのスクーターを乗り回す不良刑事役は、見事にはまり役だった。リドリー・スコットの『ブラック・レイン』(1989年)でハリウッドデビューを果たすも、40歳という若さにして癌で死去。

最もセクシーな役
その魅力に打ちのめされたいのならば『暴力教室』(1976年)でのボクシング教師役、または『蘇る金狼』(1979年)のアンチヒーローな主人公がおすすめだ。鈴木清順監督作品『陽炎座』(1981年)や、エミリー・ブロンテの作品を映画化した『嵐が丘』(1988年)の鬼丸役など、後年は風変わりなアート寄りの作品にも出演した。

三船敏郎

黒澤明の代表作にかかせない、両目をかっぴらいたワイルドな侍といえば三船だろう。だが刀を振り回していないときの三船敏郎は、ハンサムないい男なのだ。

最もセクシーな役
『酔いどれ天使』(1948年)では温厚さと恐ろしさが共存した演技を見せ、『野良犬』(1949年)では盗まれた拳銃を追い求める若き刑事役で魅せる。もちろん『隠し砦の三悪人』(1985年)での刀を振りかざす真壁六郎太役は、三船以外に適役はいないだろう。

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岡田英次

『ヒロシマ・モナムール』でエマニュエル・リヴァとベッドの中でお茶を飲んでいようが、『砂の女』で岸田今日子の背を流していようが、銀幕の中の岡田栄次はどんな男でも憧れる男性像を演じてきた。『侵略 The Ugly American』(1963)では、マーロン・ブロンド本人から共演依頼を受けたほどだ。架空の国、サーカン国出身のディオンという筋肉隆々とした男の役だったが、岡田がハリウッドへと一歩近づいた作品だった。

最もセクシーな役
『砂の女』(1964年)でのスタミナぶりは見事だったが、『ヒロシマ・モナムール』(1959年)では、フランス語を操り、剛毛でやや引き締まった肉体は多くの女性を虜にした。日本の“真正”セックスシンボルだ。

浅野忠信

アルコール中毒者から精神異常殺人者、アフロヘアの怠け者からチンギス・ハーンまで、多岐にわたり演じてきた。浅野忠信は日本映画界の最もセクシーな俳優の一人であり、あえて世界を説得する必要はないだろう。彼のインディ系作品は非の打ち所がない。だが、彼がどうやってハリウッドのスーパーヒーロー映画『マイティ・ソー』に出演することになったかは謎だ。

最もセクシーな役
『座頭市』(2003年)では北野武の敵役として、『御法度』(1999年)ではゲイの侍役として、抑えた演技で魅せる。もっとヌードシーンをお望みなら、 セクシーとは言いがたいが、『ねじ式』(1998年)や『乱歩地獄』(2005年)といった奇妙な作品がおすすめだ。

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真田広之

外国から勲章を授けられた日本人俳優がごく僅かであるように、50代になっても格好が良い者もそう多くはない。真田はその両方を得た者として特筆に値する。2000年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる『リア王』の公演で、名誉大英帝国勲章第5位であるMBEを寄与される。2010年10月には、50歳になった。彼のセクシーさは、外見ではなく、生まれ持った男らしさ(『ラストサムライ』(2003年)の荒々しい氏尾役など)だろう。年を重ねると共にさらに魅力が熟していくのが楽しみだ。

最もセクシーな役
性的傾向に自信があるからこそできる、リスクの高い役柄に挑戦する俳優が好きだ。『The City Of Your Final Destination』(2009)のアンソニー・ホプキンスのゲイの恋人役のように。彼のセクシーさをもっと味わいたいならば『D坂の殺人事件』(1998年)がおすすめだ。ありとあらゆる角度から彼の裸が堪能できる。

役所広司

多くの主演俳優のように、役所広司もNHKのドラマで織田信長や宮本武蔵といった大役を演じることでその名を世に広めた。ヒット作となった『Shall We ダンス?』(1996年)から、『CURE』(1997年)といったサイコスリラー、『SAYURI』や『バベル』といったハリウッド映画まで、バラエティに富んだ出演作品が楽しめる。

最もセクシーな役
『失楽園』(1997年)で不倫愛に溺れる男を演じて大衆の心を掴んだが、最もシーンを奪ったのは、『タンポポ』(1985年)でのエロティックなグルメ通の男役のセクシーさだろう。

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仲代達矢

三船敏郎と並び、黒澤明映画の主演に君臨する俳優といえば、仲代達矢だ。見た目の良さからいえば、仲代の方が上だろう。小林正樹監督の9時間半に及ぶ壮大な戦争映画『人間の條件』(1959年)に出演したほか、黒澤明の『天国と地獄』(1963年)、『影武者』(1980年)や『乱』(1985年)といった多くの作品に、主演として登場した。

最もセクシーな役
『用心棒』(1961年)と『切腹』(1962年)。汚れた着物をセクシーに着こなせる役者は、彼以外にはいないだろう。

オダギリジョー

「和製ジョニー・デップ」の称号が一番しっくりくるのが、オダギリジョーだ。『仮面ライダークウガ』の主役を演じた後、映画俳優に転身。『SHINOBI』や『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』といった大衆向け作品から、ややエッジの効いた『血と骨』や『サッド・ヴァケイション』に次々と出演。容姿の美しさも十分だ。

最もセクシーな役
『プラトニック・セックス』(2001年)は分かりやすすぎるかもしれない。田中泯のゲイの恋人役を好演した『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年)では、かなりセクシーだった。『ゆれる』(2006年)でのオダギリの誘惑的な滑らかさは必見だ。

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金城武

アジアで最も興行収入を得られる男優といっても過言ではないだろう。5カ国語を操る上に、あり得ないほどのハンサムさだ。台湾人の母と沖縄出身の父を両親に持つ金城は、日本の作品以外にも、香港や中国の映画に数多く出演している。

最もセクシーな役
正直に言って、金城の出演した日本映画よりも『レッドクリフ』(2008-9年)や『LOVERS』(2004年)を高く評価したい。その上で、1998年のテレビドラマ『神様、もう少しだけ』での金城は、未だに我々をロマンティックな気分でうっとりさせてくれる。

美輪明宏

美輪明宏はキャリアのほとんどを女性として過ごしてきたので、このカテゴリーに入るかどうかは賛否両論あるだろう。テレビで見かける、黄色い頭髪と神秘さが漂う外見からは想像できないが、彼・彼女は、その昔は美形の代名詞だったのだ。美輪が長年親しくしていた、作家の三島由紀夫との関係の真相は、その謎をさらに妖艶なものにしてくれる。

最もセクシーな役
美輪が主演を務めたのは1968年の深作欣二監督による『黒蜥蜴』と『黒薔薇の館』のみ。前者は三島による戯曲をベースにしたもので、後者では美輪は魔性の女を演じた。両作とも作品の出来こそ悪いものの、ここではそこに言及する必要はないだろう。

もっと映画を楽しみたいなら……

  • 映画

どの年代の映画が「最高」であるかは、常に世代間の偏見の問題だろう。しかし、80年代の映画が最も特異であったことは確かであり、このページにリストした作品はあの時代を間違いなく定義している。これらは、塩味のポップコーンが好きな映画ファンなら、必ず観るべき映画だ。理想を言えば、トラッキングの合わないVHSテープで見るといいだろう。

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映画史の中で「セックス」は、スクリーンを焦がし、胸をときめかせ、人々を解放するものだ。しかし、セックスは売れるということから、論争の種をもまいてきた。

優れたセックスシーンには、衝撃的な瞬間であったり、痛快なコメディのオチであったりと、さまざまなものがある。そして時には、素晴らしいセックスシーンが検閲の壁を打ち砕き、インクルージョンとセックスポジティブの新時代の到来を告げることもあった。

今回「史上最高のセックスシーン」のランキングを作成するにあたり、映画における肉欲の知識を総動員した。タブーを押し広げるような挑発的な作品から、時代の流れを変えるような重要な作品、エロティックなものから不快なものまで、バラエティー豊かに紹介する。

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