Photo: Courtesy of Twentieth Century Fox
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1980年代の名作映画20選

「デロリアン」や「ヘアジェル」など80年代の代名詞が詰まった作品を紹介

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1980年代は「音楽」「ドラッグ」「ヘアスタイル」そして「映画」と、あらゆるものが「ビッグ」だった。特に映画に関しては、長い間、それが良いことだとは思われてこなかった側面がある。当時は、ブロックバスター(超大作作品)の時代。予算が爆発的に増え、主流となる作品はかつてないほど幅広い層をターゲットにし、派手で、バイオレントさも増した。

1970年代のニューハリウッド革命後は、すぐに忘れ去られるような使い捨てのエンターテインメントにあふれた、艶やかで表面的な時代のように感じられたのだ。 しかし、今振り返ってみると、80年代がいかに重要かつ影響力を持っていたかがよく分かる。大作が最高の作品であった時代だったのだ。

そして、デヴィッド・リンチ、マーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグなど、それまでの10年間で最も愛された監督たちが真価を発揮し、スパイク・リーやコーエン兄弟など、次の10年を支配する新人が登場を表明した時期でもあった。観客が海外の映画により敏感になり、アメリカのインディーズムーブメントが水面下で湧き始めた頃でもある。

どの年代の映画が「最高」であるかは、常に世代間の偏見の問題だろう。しかし、80年代の映画が最も特異であったことは確かであり、このページにリストした作品はあの時代を間違いなく定義している。これらは、塩味のポップコーンが好きな映画ファンなら、必ず観るべき映画だ。理想を言えば、トラッキングの合わないVHSテープで見るといいだろう。

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1. ブルーベルベット(1986年)

レーガンの時代にアメリカの悪夢を描いた、デヴィッド・リンチの大作。郊外の家の白壁の向こうにある腐敗を扱った映画で、こんなに新鮮な感覚を与えてくれるものはないだろう。

暗い「不思議の国のアリス」であるカイル・マクラクラン(後の「ツイン・ピークス」でもそうなる)は今作で、亜硝酸アミルを大量に吸うデニス・ホッパー演じる悪役、フランク・ブースに遭遇する。この作品の成功により、リンチは同世代の監督の中で最も大胆な夢を追い求めることができるようになったといえる。

2. ブレードランナー(1982年)

舞台は2019年の薄暗いロサンゼルス。ハリソン・フォードふんするリック・デッカードは、自分よりも心のあるアンドロイド「レプリカント」を冷静に、寡黙に追う。

この本物のパラノイアを生んだのは、原作者のフィリップ・K・ディック(彼は死の直前にこの映画を観て内容を承認)だ。しかし、スコット(とシンセサイザーをかき鳴らした重要な協力者である音楽家、ヴァンゲリス)の功績も大きい。スコットは、きらびやかで華やかな「自尊心の谷」で、全てを描いた。そこは、ナイトクラブの女性たちがベールを被り、人類が自らを嘆くような場所なのだ。

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3. E.T.(1982年)

スティーブン・スピルバーグが贈る、成長と解放のためのこの賛歌ほど、「エイリアンの侵略」がこれほど心温まることはないだろう。今作は、エバーグリーンであると同時に、時代を非常に現している。ピースマークをモチーフにしたピース、BMXバイク、スピーク&スペル電子ゲーム、クアーズビールなどは、単なる懐古的なプロダクトプレイスメントではない。この映画の実際のストーリーを動かしている。

ちなみに、エリオット役を務めたヘンリー・トーマスは現在50代である。

4. シャイニング(1980年)

スティーブン・キングの小説を原作にした映画。管理人の男性を、おのを振り回す殺人鬼に変えてしまう呪われたホテルが舞台だ。監督を務めたスタンリー・キューブリックのアプローチについて、キングはあまり好きではなかったようだが、彼以外の世界の多くの人々はこの作品を評価した。

キューブリックの最高傑作とまではいかないまでも、それに近いことは間違いない。その理由は、ジャック・ニコルソンが雪が降る冬の間、作家が突き当たる障壁と耳元でささやく人種差別主義者の亡霊の両方に影響を受け、徐々に正気を失っていく小説家を華麗に演じたからであろう。

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5. ゴーストバスターズ(1984年)

テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」が新しいコメディアンを映画界に送り込む限り、この巧妙な過渡期の作品と戦わなければならない。本作は、即興のユーモアにおかしなSFの輝きを与え、ニューヨークを超自然現象の遊び場にした。そして、監督のアイバン・ライトマンは、応援団やホットドッグの売り子を倍増させた。

6. エイリアン2(1986年)

ジェームズ・キャメロンは、のちに映画史上最高の興行収入を記録した2作品を世に送り出すことになる。ただ、名声を得られる彼の映画の神髄はこの作品にある。

「エイリアン2」は不可能に近い、難しい仕事だった。それは、リスペクトされているSF映画の古典の続編を作りながら、自分の「刻印」を入れるというものだったからだ。だが、キャメロンはそれを成し遂げた。シガニー・ウィーバー演じるリプリーを不朽のフェミニストアイコンにしたのも、軍ものアクションを盛り上げたのも、1980年代で最も爽快な「ジェットコースター映画」に仕上げたのも、彼の力量だ。

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7. レイダース 失われたアーク 聖櫃(1981年)

映画「レイダース 失われたアーク」でハリソン・フォードが初めて現れた時、そんなはずはないのに、我々は彼について全てを知っている気になった。これがスティーブン・スピルバーグの神話を作る力である。

私たちはすぐに、終身在職権を持つインディアナ・ジョーンズが、バスター・キートンのような気品を備えた熟練の戦士でもあることに納得した。銃声、爆発、車の大混乱、うごめくヘビ、そして神の怒りの中で奮闘する彼がそこにいたのだ。人にこの作品の好きなところを尋ねれば、さまざまな答えが返ってくるだろう。この映画はそれほど完璧なのだ。

8. レイジング・ブル(1980年)

マーティン・スコセッシの最高傑作? 確かに有力な候補作ではある。今作でのロバート・デ・ニーロは、映画史の中に残る名演技を残したといえるだろう。肉体的な変貌が目覚ましいだけでなく、男性の性的嫉妬を怒りとして体現している点にも注目だ。

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9. ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年)

ハリウッドのスタジオからリリースされたスパイク・リー作品の中で、最も社会的な挑発に満ちた作品。夏の暑い日、ベッドスタイで勃発する怒りの感情を描いている。批評家の評価と興行成績の両方でブレイクスルーを果たした。

10. スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲(1980年)

「スター・ウォーズ」の続編ということで、世界的に大きな期待が寄せられていた。しかし、ほとんどの人が思っていたのとは違い、暗く洗練された過渡期の物語となった。

描かれたのは心理的トラウマ、未解決の父親問題、大規模なアクションシーンなど。違和感のないマペットの「演技」も印象的だ。ジョージ・ルーカスの功績は大きいが、アーヴィン・カーシュナーに監督を任せてよかったといえる。

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11. ダイ・ハード(1988年)

ジョン・マクティアナンが監督する、この完璧なアクション映画の永遠の名作は、効率性の手本といえる。ブルース・ウィリスという、イライラしているが好感の持てる警官をガラス張りの高層ビルに配し、彼を悩ませる外国なまりのテロリストを登場させ、昔のキャッチフレーズを彼のものとして定着させた。映画「ダイ・ハード」の影響力は計り知れない。ハイテンションなハリウッド映画としての最終形といえるだろう。

12. AKIRA(1988年)

ディズニー・ルネサンスとスタジオジブリの黄金期が始まる直前に登場した、1980年代で最も重要なアニメ映画。原作は大友克洋のポストアポカリプス漫画で、脚本・監督も大友自身が担当した。

未来に衝撃を与えるビジュアルと、親友を政府の実験から救う使命を帯びたバイカーの魅力的なストーリーは、欧米の全世代の観客に日本アニメの素晴らしさを知らしめた。30年たった今でも、観た人を日本アニメのとりこにする作品だ。

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13. ブレックファスト・クラブ(1985年)

ジョン・ヒューズによる1980年代を代表する青春ドラマ。アリー・シーディ演じるゴス系の一匹狼は、「大人になると心が死んでしまう」と語る。成長しようとする若い世代に対するヒューズの確かな共感を、これほどまでに象徴している言葉はないだろう。シンプル・マインズの曲も悪くない。

14. 炎628(1985年)

エレム・クリモフによる傑作。リストの中で最も「80年代」らしくない作品といえるだろう。この映画はスクリーンの近くで、顎を緩め、体を緊張させながら観るのがいい。

目の前では、1940年代のベラルーシでナチスが行った数々の恐怖が展開される。それを知ってちゅうちょしてはいけない。なぜなら、見終わった後には、史上最高の戦争映画となりうるからだ。「Come and See」という原題タイトル(とテーマ)は、ヨハネの黙示録からの拝借。若き日の主人公はどんどん老いていく......。

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15. マッドマックス2(1981年)

2015年に公開された「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が期待に応えてくれたとしても、この元々の続編がわずかに優位に立つかもしれない。ジョージ・ミラーが監督した今作は、ポストアポカリプス叙事詩の決定版。神話世界のような登場人物のセルジオ・レオーネ風の動き、スピード感のある音楽、恐ろしく危険なスタントが満載だ。

16. スタンド・バイ・ミー(1986年)

「私は、12歳の時に持った友人に勝る友人を、その後持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか」。これは真実かもしれないが、スティーブン・キングの映画化作品に期待する感情ではなかった。ただ実際は、ロブ・ライナーが監督した1950年代のオレゴンを舞台にしたこの青春劇は、ホラーの巨匠であるキングのこれまでの作品の中で、間違いなく最も温かみのある映画となった。

物語は、死んだ同級生の死体を森で探す不良グループを中心とした成長小説でもあり、キングの得意とするところからそれほど外れているわけでもない。10代のリバー・フェニックスが、そう長くは生きないことを悟っているような問題児を見事に演じ、作品に哀愁を与えている。

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17. ブロードキャスト・ニュース(1987年)

ジェームズ・L・ブルックスが、多チャンネル時代に入り一つのピークにあったテレビ業界を写し出したコメディー作品。ウディ・アレン映画にあるような細かい芝居に、テレビニュースの粗悪化に対する予言的な洞察が加わっているのが面白い。

戸惑いの演技を豊かに繰り広げるのは、アルバート・ブルックスとホリー・ハンター。「ナイトクローラー」などに、決定的な影響を与えた作品でもある。

18. 初体験/リッジモント・ハイ(1982年)

キャメロン・クロウがカリフォルニアの高校に潜入し、80年代の若者たちの生活を記録したのは有名な話。彼の発見を、エイミー・ヘッカーリングによる監督で映画化したのがこの作品だ。1980年代に製作されながら、ジョン・ヒューズの関わりがないものとしては、最高のティーンコメディーに仕上がっている(その結果、キッズたちはハイになり、ヤリたがり、チープ・トリックを聴きたがった。誰がそれを予想できただろう?)。

この映画をきっかけにキャリアを積む映画人が生まれたが、中でも、漫画に出てくるようないつももうろうとしたサーファー、ジェフ・スピコーリを演じたショーン・ペンは印象的だった。

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19. ハンナとその姉妹 (1986年)

ウディ・アレンはスキャンダル以降、「ブルージャスミン」や「ミッドナイト・イン・パリ」などの映画で復活を遂げた。それ以前の彼のキャリアでは、この作品が注目に値する。1980年代にこれほどまでに自信を持ってハイとロー(洗練と下品)両方のコメディー要素を融合した映画作家は、地球上にいなかっただろう。

この作品は、哲学的な優美さとパンクの精神に触れながら、マンハッタンの神経質なライフスタイルを真剣に追求した「アニー・ホール」と同じくらい、非常に優れている。

20. フライングハイ(1980年)

ギャグに次ぐギャグ、セリフに次ぐセリフ……。アメリカ映画界において、これほど「ドタバタ」なコメディーはないだろう。この天才的な作品の監督・脚本を手がけたのは、ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカーとジェリー・ザッカー(兄弟)による3人のチームだ。飛行機に乗る時、今でも同乗者が早口でしゃべったり、必死に動く副操縦士がいたりすることを望んでしまうのではないだろうか。

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