Giselle-Belyakov-Smirnova-by Damir Yusupov
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スクリーンで楽しむ舞台7選

バレエ、オペラ、歌舞伎、演劇......巨大画面と最高の音響で観る劇場映像

Hisato Hayashi
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タイムアウト東京 > アート&カルチャー > スクリーンで楽しむ舞台7選

テキスト:高橋彩子

コロナ禍以来、舞台映像の配信は今まで以上に増え、多種多様な映像が楽しめるようになっている。その一方で「パソコン画面ではなく大画面で見たい!」という声も多く聞く。今回は映画館や劇場のスクリーンで楽しむ舞台映像の企画を七つ紹介しよう。

1. 全てが上質なイギリス演劇

ナショナル・シアター・ライブ

演劇の国ならではの良質な芝居をこれでもかと私たちに見せつけてくれるのが、英国ナショナル・シアターの舞台映像を配信する『ナショナル・シアターライブ』。日本にいながらにして、古典から新作まで幅広い演目を、ナショナル・シアターならではの優れた演出や俳優で観る喜びは何にも代えがたい。その2020年後半のラインアップが発表された。いずれも昨年上演されて話題を呼んだ舞台だ。

Present Laughter

NTL 2019 Present Laughter

1作目は、戦前のイギリス演劇界で才人としてならした劇作家、俳優、作曲家のノエル・カワードが書いた『プレゼント・ラフター』。旅に出る日を目前にしたスター俳優ギャリーの身に起こるさまざまな出来事を通して、中年を迎えた男の心の内に迫るコメディーだ。1945年の初演時にはカワード自身が主演したギャリー役を演じるのは、ドラマ『SHERLOCK』のモリアーティ役などで日本でも知られるアンドリュー・スコット。今年度のローレンス・オリヴィエ賞でリバイバル賞、主演男優賞、助演女優賞にノミネートされた作品だけあり、演出も演技も見応え十分。本家イギリスのタイムアウトでも五つ星を付けられている。

NTL 2020 Cyrano de Bergerac

NTL 2020 Cyrano de Bergerac 

さらに年末には、大きな鼻にコンプレックスを持ちつつ従姉妹ロクサーヌを愛し続けた主人公シラノ・ド・ベルジュラックを『X-MEN』シリーズで知られるジェームズ・マカヴォイが演じるエドモン・ロスタン作『シラノ・ド・ベルジュラック』、年明けには共にローレンス・オリヴィエ賞を受賞している名優リンゼイ・ダンカンとアレックス・ジェニングスがサッチャー政権下のイギリスの政治家とその妻を演じるサイモン・ウッズ新作『ハンサード』を上映。

NTL 2019 Hansard

NTL 2019 Hansard

『プレゼントラフター』2020年10月9日(金)から
https://www.ntlive.jp/presentlaughter

『シラノ・ド・ベルジュラック』 2020年12月4日(金)から
https://www.ntlive.jp/cyrano

『ハンサード』2021年1月15日(金)から
https://www.ntlive.jp/hansard

2. 極上のオペラを洗練された映像で

METライブビューイングアンコール

今やさまざまな歌劇場がオペラ映像の配信を行っているが、その先駆けと言えるのがメトロポリタン歌劇場の『Metropolitan Opera Live in HD』。日本では『METライブビューイング』としておなじみだ。テレビのプロデューサー、ディレクターとしてエミー賞ほかの受賞経験もある劇場総裁ピーター・ゲルブの肝いり企画として2006年にスタートし、世界70カ国以上の映画館で上演。クレーンカメラなどを駆使した臨場感あふれる舞台や舞台裏の映像、出演したばかりの歌手にMET常連のオペラ歌手が話を聞く幕間のインタビューなど、非常に洗練された作りになっていて飽きない。

“『トゥーランドット』(c)Marty

『トゥーランドット』(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

その『METライブビューイング』で現在、アンコール上映を実施中。名匠フランコ・ゼフィレッリ演出が絢爛(けんらん)豪華な『トゥーランドット』や、文楽の趣向を取り入れた『蝶々夫人』、ガーシュインの珠玉の歌が楽しめる『ポーギーとベス』、マスネの美しい音楽の中でスター歌手ルネ・フレミングとトーマス・ハンプソンが娼婦タイスと僧アタナエルの葛藤のドラマを演じる『タイス』、アンドリュー・ロイド=ウェバーに影響を与えたと思しきプッチーニの美しい旋律に加えて容姿も演技力も比類ないヨナス・カウフマンのだて男ぶりがたまらない『西部の娘』など、名プロダクションの映像がずらり。新型コロナウイルスの影響により年内はMETのオペラ公演が行われないので、映画館へ急ごう。 

“『ポーギーとベス』(c)Paola Kudacki/Metropolitan Opera

『ポーギーとベス』(c)Paola Kudacki/Metropolitan Opera

METライブビューイング2018-19『西部の娘』予告 

METライブビューイングアンコール
https://www.shochiku.co.jp/met/news/2908/

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3. 本場ロシアのバレエの迫力を

ボリショイ・バレエ in シネマ2019-20 アンコール上映

2010年にスタートして以来、これまでに世界70カ国以上の映画館で上映されている『ボリショイ・バレエ in シネマ』。ボリショイならではのダイナミックな踊りや他では見られない演目に加え、近年は広報担当のカテリーナ・ノヴィコワ氏による解説やインタビューも人気のシリーズだ。この10月、その2019-20シーズンとして上映された映像がBunkamura ル・シネマでアンコール上映される。

“Nutcracker 90 2018.12.23 by Damir Yusupov

Nutcracker 90 2018.12.23 by Damir Yusupov

演目は、ボリショイで数々の名作を世に送り出し1988〜1995年に芸術監督を務めたユーリー・グリゴローヴィチの振付による『くるみ割り人形』『ライモンダ』『白鳥の湖』と、2004年から2008年まで芸術監督を務めたアレクセイ・ラトマンスキーが振り付けた『海賊』『ロミオとジュリエット』『ジゼル』の6本。このうち『ジゼル』は新制作で、古典の世界を踏襲しつつ、随所に新たな工夫を施しているので注目。『ライモンダ』『白鳥の湖』『ジゼル』で主役を踊るのは、2016年にプリンシパルとなり、今や押しも押されもせぬ看板バレリーナであるオルガ・スミルノワ。どこか硬質な美しさと気品を持つその踊りは必見。

“Giselle-Belyakov-Smirnova-by Damir Yusupov

Giselle-Belyakov-Smirnova-by Damir Yusupov

なお、2020年12月~2020年1月には『ボリショイ・バレエinシネマ』の新シーズンもスタート予定。こちらも楽しみにしたい。

『ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2019 - 2020 アンコール上映』
https://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/3869.html

4. 映画でよみがる歌舞伎座での感動

シネマ歌舞伎

歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影するなどして送る『シネマ歌舞伎』も見逃せない。2005年に『野田版 鼠小僧』で開始して以来、これまでに30作以上の作品を公開している。

“牡丹燈籠 ©松竹

怪談 牡丹燈籠 ©松竹

現在上映中なのが、2007年に歌舞伎座で上演された『怪談 牡丹燈籠』。浪人、萩原新三郎に「焦がれ死に」し、幽霊となって新三郎のもとに通うお露、金欲しさのため幽霊のお露に手を貸した町人の伴蔵とお峰夫婦、お露の父である旗本、飯島平左衛門の後妻お国と深い仲になる宮野辺源次郎という3組の男女の愛憎が絡み合う人間ドラマだ。昨年にはNHKプレミアムでドラマ『令和元年版 怪談牡丹燈籠』として放送された。

歌舞伎としては三遊亭円朝の落語をもとに1892年、三世河竹新七が脚色しレパートリー化しているが、今回の映像では、文学座のために書き下ろされた大西信行の台本を用い、演出を文学座の戌井市郎が手がけた。伴蔵に片岡仁左衛門、お峰に坂東玉三郎、萩原新三郎に片岡愛之助、お露に中村七之助、宮野辺源次郎に中村錦之助、お国に上村吉弥。2020年9月17日(木)まで。見逃さないでほしい。

“三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち

三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち

その次に上映されるのは、みなもと太郎の漫画『風雲児たち』をもとにした三谷幸喜作、演出『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』。昨年歌舞伎座で上演された新作歌舞伎がシネマ歌舞伎に初登場だ。鎖国が続いていた江戸時代後期。大黒屋の息子・光太夫は商船神昌丸の船頭(ふながしら)として伊勢を出帆し江戸に向かうが、嵐に見舞われて漂流し、ロシアにたどり着き……。

出演は松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、八嶋智人、市川染五郎、松本白鸚ら。さらに尾上松也が「語り」を務める。

シネマ歌舞伎
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/

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5. 劇場が映画館にーー 1

COCOON Movie!! 芸術監督名作選

シアターコクーンが、舞台上に巨大スクリーンをつって、歴代芸術監督の過去の舞台作品を上映する。

初代芸術監督、串田和美の作品からは『もっと泣いてよフラッパー』を上映。1920年代のシカゴを舞台に、クラブの踊り子、落ち目のギャング、八百長ボクサー、異国の皇太子らの刹那的な生き方や恋をショー仕立てで送る音楽劇だ。串田が佐藤信、斎藤憐、吉田日出子らとともに1966年に結成した自由劇場(1975年にオンシアター自由劇場に改名)時代の1977年に初演し、大ヒット。俳優たちが自ら歌い演奏する自由劇場ならではのスタイルも楽しい。

“『もっと泣いてよフラッパー』Ⓒ細野晋司

『もっと泣いてよフラッパー』Ⓒ細野晋司

シアターコクーンでも何度か上演された作品だが、今回はBunkamura開館25周年となった2014年の公演の映像を上映。シカゴにある『クラブ・ラ・リベルテ』の踊り子になるため田舎から出てきたトランク・ジルに松たか子、黒手組の首領アスピリンに現芸術監督の松尾スズキ、踊り子のお天気サラに秋山菜津子、踊り子の青い煙のキリーにりょう、八百長ボクサーのクリンチ・チャーリーに大東駿介、シカゴタイムズの新聞記者ベンジャミンの婚約者フラポーに鈴木蘭々、踊り子の月影ギナンに太田緑ロランス、銀色ファミリーのボス・銀色パパに串田和美、コミ帝国の皇太子に片岡亀蔵、新聞記者ベンジャミンに石丸幹二、ほか。豪華出演陣それぞれの魅力あふれる、華やかでどこかノスタルジックな作品だ。

“『下谷万年町物語』Ⓒ細野晋司

『下谷万年町物語』Ⓒ細野晋司

二代目芸術監督、蜷川幸雄の作品は『下谷万年町物語』。作家、劇作家の唐十郎が自身の生まれ育った街を題材に書き、蜷川演出で1981年に初演した作品だ。舞台は、男娼(だんしょう)の巣窟となっている終戦直後の下谷万年町。警視総監が襲われ帽子を盗まれるという事件が発生する。犯人は「オカマ」のお春(大門伍朗)の一味だったが、お春の「イロ」である洋一は帽子を持って逃走。お春に頼まれて洋一を追う少年の文ちゃん、一方、洋一が所属していた劇団「軽喜座」の座長も帽子を狙って追いかけてくる。そこへ現れたのが、男装の女優キティ・瓢田。洋一と文ちゃんとキティは新しい劇団を立ち上げようとし……。

唐十郎ならではの幻想的でもの哀しくダイナミックな世界は唯一無二。今回上映されるのは2012年の映像で、キティに宮沢りえ、洋一に藤原竜也、文ちゃんに西島隆弘が扮し、みずみずしい演技を見せている。

“『キレイ』Ⓒ引地信彦

『キレイ』Ⓒ引地信彦

三代目、つまり、現芸術監督の松尾スズキ作品は『女教師は二度抱かれた』『キレイ―神様と待ち合わせした女―』『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』『命、ギガ長ス』の4本。中でも『キレイ―神様と待ち合わせした女―』は、松尾が初めてシアターコクーンで手がけた作品で、2000年の初演を含み計4回上演されている人気作だ。

物語は100年もの間、民族紛争が続く「もう一つの日本」で展開する。民族解放軍を名乗るグループに誘拐され監禁され、10年ぶりに外の世界に出た少女ケガレは、ダイズでできた兵士「ダイズ兵」の死体回収業で生計を立てるカネコ組の仲間になり、ダイズ兵の死体を食用として加工するダイダイ食品の社長令嬢カスミと奇妙な友情を結びながら、自身の過去と向き合っていく。今回は多部未華子がケガレを愛くるしくひたむきに演じた2014年の映像が登場。生殖機能を持った変種ダイズ兵のダイズ丸を阿部サダヲ、頭は弱いが花を咲かせる能力を持つ少年ハリコナを小池徹平、成長したケガレ(=ミソギ)を松雪泰子、カスミを田畑智子が演じているほか、田辺誠一や松尾スズキも出演している。

『COCOON Movie!! 芸術監督名作選』 
https://www.bunkamura.co.jp/s/cocoon/lineup/20_cocoonmovie.html

6. 劇場が映画館にーー 2

新国立劇場 シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映

2009年の『ヘンリー六世』3部作で始まり、『リチャード三世』『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』、そして今年10月の『リチャード二世』まで、鵜山仁演出の下、常連とも言うべき俳優たちが一貫してドラマを紡いできた新国立劇場の「シェイクスピア歴史劇シリーズ」。イギリス国内の権力争いやフランスとの戦争を通して、いつの世も変わらない人間の愚かさ、醜さ、美しさ、苦悩、喜びなどを描いてきたこのシリーズの完結を記念し、『ヘンリー六世』と『リチャード三世』の映像が、新国立劇場中劇場で上映される。

“『ヘンリー六世』『リチャード三世』 撮影:谷古宇正彦

『ヘンリー六世』『リチャード三世』 撮影:谷古宇正彦

『ヘンリー六世』はヘンリー五世の葬儀に始まり、ジャンヌ・ダルクも登場する英仏間の百年戦争、そして英国内の仁義なき戦いである薔薇戦争へと突入する激動の時代を描いた作品。争いの中で苦悩する国王ヘンリー六世に浦井健治、フランスからヘンリー六世に嫁ぎ権力闘争に身を置く王妃マーガレットに中嶋朋子、マーガレットと激しく対立するヨーク公に渡辺徹、ジャンヌにソニン、ヨーク公の息子であり次の王位に就くエドワード四世に今井朋彦、その弟リチャードに岡本健一ほか。第一部80分、第二部105分、第三部160分の超大作にどっぷりと浸って劇場を出る頃には世界を捉える感覚も変わっていそうだ。

『リチャード三世』は、『ヘンリー六世』に登場したヨーク公の息子リチャードが、その知略でもって、生まれながらの身体障害さえ利用しながら、王座を狙って暗躍し、周囲の人々を追い落として目的を達成していく物語。リチャードを『ヘンリー六世』に続いて岡本健一が演じたほか、マーガレットを中嶋朋子、リッチモンド伯ヘンリー(のちのヘンリー七世)を浦井健治、エドワード四世を今井朋彦、その妻である王妃エリザベスを那須佐代子が演じた。

なお、先に上演されるシリーズ最終作、『リチャード二世』は、これら2作の発端とも言うべき物語。生の舞台を見てから上映会を見れば、シェイクスピア歴史劇の世界を堪能できること間違いなしだ。 

シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映
https://www.nntt.jac.go.jp/play/shakespeare-screening/

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7. 劇場? 映画館? 配信? お好みの鑑賞法で

K-BALLET COMPANY AUTUMN2020『海賊』

熊川哲也率いるKバレエカンパニーが、2007年の初演以来レパートリー屈指の人気を誇る熊川演出、再振付の『海賊』を10月に再演する。本来は5月に上演予定だったところコロナ禍で延期になっていた舞台だ。今回はKバレエ初の試みとして、劇場公演に加えて、映画館でのライブビューイングと、オンラインでのライブ配信も行うという。

“K-BALLET COMPANY 『海賊』©Hidemi Seto

K-BALLET COMPANY 『海賊』©Hidemi Seto

19世紀に作られ、1899年のマリウス・プティパによる改訂版をもとにさまざまな形で上演されているバレエ『海賊』。ギリシャの浜辺に打ち上げられたコンラッドら海賊一行は二人の女性、メドーラとグルナーラに助けられる。コンラッドはメドーラと恋に落ちるが、奴隷商人ランケデムが彼女たちを奴隷としてパシャに売ってしまい、コンラッドたちは奪還に向かう……。

主要キャストが多く、文字通り「役者」がそろわないと上演できない作品だ。コンラッドの部下アリも大役で、ガラ公演などではしばしば、メドーラとコンラッドとアリのパ・ド・トロワ、あるいはメドーラとアリのパ・ド・ドゥが上演される。英国ロイヤル・バレエでもアリ役を幾度も踊り、本作に思い入れのある熊川が、Kバレエでのクリエーションに当たって打ち出したテーマは「男たちのロマン」。アリがコンラッドに示す忠誠心も美しく描かれ、海賊たちの絆が前面に押し出された心躍る冒険物語となっている。

今回はそのアリを、今年1月の『白鳥の湖』でプリンシパルに昇格した山本雅也が2017年に続いて踊るほか、入団直後となる昨年の『カルミナ・ブラーナ』で主役アドルフを踊った関野海斗が初挑戦する、Wキャスト。

劇場で生の舞台のシャワーを浴びるもよし、映画館の大画面で味わうもよし、配信をPCで見るもよし。鑑賞方法を選んで楽しみたい。なお、熊川自身がアリを演じた過去の舞台映像も公開されている。 

Tetsuya Kumakawa Special Highlights fr "Le Corsaire" / 熊川哲也「海賊」スペシャルハイライト

K-BALLET COMPANY AUTUMN2020『海賊』
https://www.k-ballet.co.jp/contents/2020corsaire

高橋彩子
舞踊・演劇ライター。現代劇、伝統芸能、バレエ・ダンス、 ミュージカル、オペラなどを中心に取材。「エル・ジャポン」「AERA」「ぴあ」「The Japan Times」や、各種公演パンフレットなどに執筆している。年間観劇数250本以上。第10回日本ダンス評論賞第一席。現在、ウェブマガジン「ONTOMO」で聴覚面から舞台を紹介する「耳から“観る”舞台」、エンタメ特化型情報メディア「SPICE」で「もっと文楽!〜文楽技芸員インタビュー〜を連載中。

 http://blog.goo.ne.jp/pluiedete

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インタビュー:松本幸四郎
インタビュー:松本幸四郎

1931年にアメリカで公開されたチャップリンの名作映画『街の灯』が、映画公開のわずか7カ月後に歌舞伎化され、歌舞伎座で初演されたことをご存じだろうか。

劇作家の木村錦花が、映画雑誌やアメリカで映画を観た歌舞伎俳優の証言をもとに、チャップリン演じる浮浪者に歌舞伎『与話情浮名横櫛』の登場人物、蝙蝠の安五郎(通称・蝙蝠安)を当てはめて書いた歌舞伎『蝙蝠の安さん』だ。1934年の『街の灯』日本公開に何年も先んじてのことだった。

その『蝙蝠の安さん』が、チャップリン生誕130年の今年、88年ぶりに、国立劇場にて上演される。主演は、本作の再演を熱望していたという松本幸四郎だ。

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