ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル
写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

東京、 6月に上演する注目のミュージカル&演劇5選

ムーラン・ルージュ、アングラテント芝居の金字塔、英国ホラーゴシックの傑作など

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雨の日が増えて外出がおっくうになる季節。そんな日は、心踊るミュージカルや観劇を楽しんでみては。ここでは、東京都内で2024年6月に開演する注目のミュージカルと演劇を5つ紹介しよう。

今月は、5月4日にこの世を去ってしまった唐十郎が脚本・作詞を手がけ、演出を金守珍が担う「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」をはじめ、世界約40カ国で上演されている2人芝居にして英国ホラーゴシックの傑作である「ウーマン・イン・ブラック〜黒い服の女〜」などが上演される。

人気作品は、チケットがすぐに完売することも多い。気になったら早めにチェックしてみてほしい。

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生演奏と華やかな歌声でエコール・ド・パリの芸術家の世界に没入しよう。

第1次世界大戦後のパリ、モンパルナスに花開いたエコール・ド・パリの時代に、マルク・シャガール(Marc Chagall)ら外国人画家が多く移り住む。モダニズム形式の肖像画で知られるユダヤ系イタリア人画家、アメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani)もそんな画家たちの一人だが、貧困と病苦のうちに36歳にしてモンパルナスに果てた。

本作は、モディリアーニを通して伝説的芸術家らの友情、真実の愛、そして芸術にかける執念とプライドを描く。

ストレートプレイからミュージカルまでさまざまな作品を手がけるG2によるオリジナルミュージカル。ミュージカル「SPY×FAMILY」など、多くの作品をG2と手ががけてきたかみむら周平が、オリジナルの楽曲を製作。生演奏と歌声でモンパルナスの世界を作り上げていく。

モディリアーニ役の浦井健治は「実在する人物を描く中で、家族や恋人への思い、孤独や狂気、そしていずれ訪れる死に向かっていく刹那が、芸術によって昇華される人間模様を描いていければ」と意欲を見せる。

彼を支え続けた詩人レオポルド・ズボロフスキー(Léopold Zborowski)には本格ミュージカル初出演の稲葉友、モディリアーニの運命の女性、ジャンヌ・エビュテルヌ(Jeanne Hébuterne)を宮澤佐江が名を連ねる。

日本発のオリジナル作品を一から育てていく試みは心強い。ぜひ体感してみてほしい。

6月15日(土)〜23日(日)
よみうり大手町ホール

熱狂的に支持されたきらびやかなパリのナイトクラブが帰ってくる。2001年に公開されたバズ・ラーマン(Baz Luhrmann)の監督作「ムーラン・ルージュ」のミュージカル化作品が、さらにパワーアップし、待望の再演を果たす。

本作は2019年、ブロードウェイ公演がオープンし、トニー賞最優秀作品賞(ミュージカル部門)をはじめとする10部門の受賞に輝いた傑作だ。

大きな魅力はバラエティーに富んだ楽曲。ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、マドンナ、レディ・ガガなど、誰しも耳馴染みのあるポピュラーミュージック約70曲が紡がれる。複数の楽曲をフレーズごとにつなぎ合わせるマッシュアップミュージカルである。

また、ソーニャ・タイエ(Sonya Tayeh)の振り付けによるエネルギッシュなダンスが、舞台上にさく裂。「Welcome to the Moulin Rouge!」の歌とともに、フレンチカンカンで華やかに幕が上がる。

舞台は1899年、パリのナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」。花形スターであるサティーンと、アメリカ人作家志望の青年クリスチャンの切ない恋物語が繰り広げられる。

サティーン役は、望海風斗と平原綾香、サティーンと恋に落ちる作家志望の青年、クリスチャン役は井上芳雄と甲斐翔真のダブルキャスト。監督のラーマンからは「日本版が一番泣ける」という言葉が届いたという。メインキャスト以外にも役代わりが多彩で、どの組み合わせも見逃せない。

また、9月には大阪の「梅田芸術劇場」での公演も行われる。

6月20日(木)〜8月7日(水)
帝国劇場

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世界40カ国で上演されている2人芝居、英国ホラーゴシックの傑作が、約9年ぶりに日本で上演される。

観客のいない劇場で、中年の弁護士と若い俳優が過去に体験した世にも恐ろしい出来事を、劇中劇の形を借りて再現していく。

スーザン・ヒル(Susan Hill)の同名小説を、スティーブン・マラトレット(Stephen Mallatratt)の脚色、ロビン・ハーフォード(Robin Herford)の演出で上演して以来、イギリスでは約34年間のロングラン公演となっている人気作品だ。

日本では、斎藤晴彦&萩原流行、斎藤&西島秀俊、斎藤&上川隆也、岡田将生&勝村政信のペアで上演され、8度目となる。オリジナル版を手がけたハーフォードとアンソニー・イーデン(Robert Anthony Eden)が、恐怖という感覚をエンターテインメント化する今回の演出も楽しみだ。

今回が初出演の向井理は劇中劇の中、「お客さまは観客であり出演者。一体感を楽しんでいただきたい」と語った。勝村は「世界一恐ろしい舞台でありながら、とても楽しい舞台。演出のロビンさんの、大胆で緻密な魔法を目撃してほしい」とコメントしている。

物語が進むにつれ、ひたひたと迫ってくる恐怖。追い打ちをかけるような音響効果で、断崖から突き落とされるかのような戦慄(せんりつ)を体感してほしい。

6月9日(日)〜30日(日)
PARCO劇場

フレッシュなトリプルキャストで、2人の青年の恋愛を描く、ポップなミュージカル。本作は、マシュー・スウィート(Matthew Sweet)が1991年に発表したCDアルバム「Girlfriend」をもとに、脚本をトッド・アーモンドが手がけるジュークボックスミュージカルだ。劇中では同アルバムをベースに、ミックステープがつなぐ2人の青年の甘酸っぱい「恋愛」を描く。

1990年代に、切ないメロディーは残しつつもシンプルかつパワフルなバンドサウンドでパワーポップシーンにさん然と登場したアメリカのシンガーソングライター、マシュー・スウィート。中でもGirlfriendは、60万枚を超える大ヒットアルバムとなり、一気にシーンを代表する存在となった。

物語は、高校卒業時にマイクがウィルに渡したミックステープをきっかけに交流したことから始まる。一緒に過ごすうちに、2人でいる時間は自分らしくいられることに互いに気づき、距離が縮まっていく……。

ウィル役は高橋健介、島太星(NORD)、井澤巧麻のトリプルキャストで、マイク役を同じく萩谷慧悟(7ORDER)、吉高志音、木原瑠生のフレッシュなメンバーが演じる。

2人の役者のみで構成された世界に、自らの経験を重ねて青春時代の初恋を思い出すような作品。2人の距離感に共感し、心を揺さぶられるだろう。

全公演のカーテンコールでミニライブが行われるほか、一部公演ではキャストによるトークショーも開催される。

6月14日(金)〜7月3日(水)
シアタークリエ

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豪華出演陣が顔を合わせる「アングラ・テント芝居」の金字塔が開演。中村勘九郎、豊川悦司、寺島しのぶ、六平直政、風間杜夫らそうそうたる俳優陣が集合する。金守珍率いる「新宿梁山泊」の人気演目が、「花園神社」境内に特設された紫テントで上演。ポスターのイラストは、宇野亞喜良が描き下ろしたという豪華版だ。

演出の金は、唐十郎主宰の「状況劇場」で役者として活躍。蜷川幸雄と唐という「アングラ小劇場」の代表である演出家から直接に指導を受け、新宿梁山泊を創立した。テント空間や劇場空間をダイナミックに使う手法でファンを魅了する。

唐十郎の戯曲「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」は、1976年に「状況劇場」で初上演された。傘屋を営む「おちょこ」が、傘の修理を依頼しに来る謎の女・石川カナに恋し、いつかカナに「メリー・ポピンズの空飛ぶ傘」を持たせたいと夢を描き、居候の檜垣を相手に日々飛行実験を繰り返している。ある日、檜垣は、カナの素性に気がつくが……。

アングラ・テント芝居に出演することに情熱を傾けた豊川、勘九郎、六平、金、寺島らは、毎月1回集まり、作戦会議をして本作を上演することを決めたという。

勘三郎が憧れたテントで息子の勘九郎が踊り、豊川にとっては30年ぶりの舞台。寺島、風間らがどんな新しいテント芝居を魅せてくれるのか、期待が募る。

6月15日(土)〜25日(火)
花園神社境内(特設紫テント)

週末の予定を立てる……

  • アート

東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。5月から6月にかけては、日本を代表するイラストレーター・宇野亞喜良の過去最大規模となる展覧会やエミール・ガレの企画展、現代美術家であるシアスター・ゲイツ(Theaster Gates)の日本初となる展覧会など注目の展示が目白押し。ぜひチェックしてほしい。

  • 音楽

注目は渋谷「Spotify O-EAST」「デュオ ミュージック エクスチェンジ」「東間屋」という3会場で開催の「OUTLIER」。世界中からラブコールを受けるミュージシャンでプロデューサーのBonoboがキュレーションするクラブイベントで、朝まで駆け抜けたい。

下北沢「LIVE HAUS」では、パレスチナへの連帯を示すための「A Better Tomorrow for Palestine」が開催。2023年12月に発売された同タイトルのコンピレーションアルバムに参加したミュージシャンたちが集結する。

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  • Things to do
  • イベント

東京にいながら海外の風を感じるなら、国際フェスティバルへ足を運ぼう。2024年6月の第1週は、「恵比寿ガーデンプレイス」で行われる「ALOHA TOKYO Supported by ハワイアン航空」や、代々木公園の「ベトナムフェスティバル」、二子新地で開催する台湾フェスティバルの「黒猫台湾まつり」を紹介。異国情緒漂う空間に没入してみては。

  • Things to do
  • イベント

いよいよ6月に突入する今週末は、梅雨入り前に野外で開催されるカルチャーイベントへ。下北沢や世田谷代田、東北沢の商店会とともに「下北沢線路街」で開催する歩いて楽しむカルチャーフェスティバル「下北線路祭」や、隅田川沿いで開催する「隅田川マルシェ HOP STEP どすこい!」、横浜の「山下ふ頭」でバイクメーカーのハーレーダビッドソンが主宰する「BLUE SKY HEAVEN」などめじろ押し。2024年6月の第1週は、気になるイベントへぜひ足を運んでみてほしい。

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