1. テーマが胸を打つ。


まず、テーマの「HUMANITY」は、これまで以上にふさわしいと感じる。
不確実で社会が流動的な現代。本写真祭は、共感・回復力・愛といった、自分たちを結びつけるものを探求するよう誘う。特に日本と西洋の世界観を対比させることで、自分自身やコミュニティーをどのように定義し、また再定義しているのかを問いかけている。
伝統とイノベーション、グローバルな人間観が融合する京都の国際写真祭
タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 「KYOTOGRAPHIE 2025」に行くべき6のこと
春が広がる京都。写真という芸術メディアを通じた、文化交流のための国内随一の国際的なプラットフォーム「KYOTOGRAPHIE」が開催される時期だ。京都の伝統とイノベーションが融合したこの国際写真祭は、京都1000年の遺産と国際的な文化発信地としての役割が合わさっている。
KYOTOGRAPHIEは単なる国際写真祭ではない。京都への入り口である。京都の寺院、茶屋、伝統的な町家、近代的なランドマークなど、詩的な背景の中、毎年恒例の本写真祭は、京都という文化都市をオープンエアのギャラリーへと変えていく。
明治時代の酒蔵から京都駅の洗練された鉄骨まで、京都の最も象徴的であり、かつ思いがけない場所に、考え抜かれ、埋め込まれた力強いビジュアルが期待できるのだ。
2025年4月12日〜5月11日(日)の会期で開催される今年のテーマは「HUMANITY」。ここでは英語版編集部によるKYOTOGRAPHIEが、毎春アートファンにとって行くべきディスティネーションとなる理由を6つ紹介したい。
まず、テーマの「HUMANITY」は、これまで以上にふさわしいと感じる。
不確実で社会が流動的な現代。本写真祭は、共感・回復力・愛といった、自分たちを結びつけるものを探求するよう誘う。特に日本と西洋の世界観を対比させることで、自分自身やコミュニティーをどのように定義し、また再定義しているのかを問いかけている。
本写真祭の常連であるフランス人アーティスト・JRが、またしても京都の人々を捉えた記念碑的な壁画を制作した。
『The Chronicles of Kyoto』は、アーティストの名前と同じJRとのコラボレーションが実現したもの。京都駅の北側の壁に何百もの地元の人々の顔・物語・ジェスチャーが貼られ、一つの広大なモノクロパノラマに集約されている。パブリックアートと地域社会との関わり、そしてJRの特徴である参加型のストーリーテリングが見事に融合した。
日本初開催となるメキシコの伝説的写真家・グラシエラ・イトゥルビーデ(Graciela Iturbide)の大規模な写真展は、驚くべきものだ。母系社会から砂漠の儀式まで、メキシコの多様なコミュニティーのエッセンスを、50年にわたる荒涼とした光り輝くモノクロのポートレートで捉えている。
本展は「ディオール」の主催で、イトゥルビーデの息子であり建築家のマウリシオ・ロチャ(Mauricio Rocha)の協力を得て演出されている。
今年のプログラムの幅広さは目まぐるしい。インド人アーティストのプシュパマラ・N(Pushpamala N)は、ポルトガルの航海者ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)からマザー・インディアまで、象徴的な役柄を自ら演じ、みずみずしく風刺的なフォトパフォーマンスで植民地時代の歴史と国のアイデンティティーを串刺しにする。
また、石川真生の『Red Flower』シリーズは、1970年代の沖縄を生々しく、親密に映し出す。愛と喪失、そして人種の複雑さに満ちた煙たいバーで、米軍と地元の人々の生活がぶつかり合っている。これらの作品はささやいているのではなく、うなっているのだ。
本写真祭だけでなく、サテライトイベントである「KG+」も見逃さないでほしい。新進気鋭の才能と世界的な弱者を応援するもの。今年の「KG+ SELECT」の受賞者である台湾人アーティストのリュウ・セイユウ(劉星佑)の作品では、両親との夢のような結婚式を演出し、ジェンダー・先祖・アイデンティティーを探求している。
本写真祭の期間は、京都旅行にうってつけの時期。4月から5月にかけては桜が咲き誇り、気候も申し分なく、そして、街が新しく生まれ変わるような穏やかな雰囲気に包まれている。
そこに、世界トップクラスの写真作品、歴史的な会場、そしてつながりと好奇心に根ざした写真祭の精神が加わる。見逃すことができない文化的なディープダイブだ。
KYOTOGRAPHIEは、京都市内の複数の会場で開催。ルートを計画し、カメラを充電し、ヒューマニティを間近に見る準備をしよう。プログラムの詳細、チケット情報などは、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。
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