大阪市中央公会堂
画像提供:©大阪市中央公会堂
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大阪、一度は訪れるべき名建築15選

歴史的な建物から、レトロビル、日本建築をリノベーションした空間まで

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戦前期のモダニズム建築や日本最古の弁財天を祭る寺院から、オブジェ性の高い吸気塔、「世界を代表する20の建造物」として紹介された建物まで、大阪には見るべき貴重な建築物が点在する。文化施設やバーとして利用できる場所もあるため、豊かなデザインに囲まれながら、ゆったりとした時間が過ごせる。大阪の一度は訪れてほしい名建築を紹介したい。

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  • Things to do

2008年に『THE TIMES』で「世界を代表する20の建造物」としても紹介された建物である「梅田スカイビル」。高所恐怖症でなければ、最上階にあるこの展望台は絶対に行っておくべき場所だ。リフトアップ工法といわれる建築方法によって作られているため、天空に浮かんでいるような気分で、円形の展望台を360度歩き回りながら大阪の街を一望できる。

展望台まで登るエスカレーターはチューブ型のガラス張りになっているので、空の中を上がっていくような気持ちになれるのも楽しい。日没30分前、もしくは日没後30分の間にたどり着けたなら、息をのむ美しい景色を見ることができるだろう。

  • Things to do

1918年の竣工以来、国際的なアーティストによるオペラやコンサートのほか、各界の著名人たちの講演会も数多く開催されるなど、大阪の文化と芸術の発展に関わってきた「大阪市中央公会堂」。2002年には、公会堂建築物として西日本で初めて国の重要文化財に指定されている。

コンサートや講演会を行う集会室をはじめ、会議室などの貸し出しを行う。貸館としての利用がメインとなっており、自由に見学できるのは地下1階の「展示室」と「自由見学エリア」のみ。創建当初、貴賓室として使われていた特別室を見たい人は、公会堂スタッフによる有料のガイドツアー(事前予約制・不定期開催)に申し込もう。

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  • ショッピング

建設者である芝川又四郎の自家事業用事務所として、1927年に完成した「芝川ビル」。戦前は花嫁学校として使われていたが、現在はジュエリーや器のショップ、レストラン、カフェなどが入居し、屋上テラスを備える4階は貸スペースとして運用されている。

大阪を代表するレトロビルの一つなので、建築に興味がある人はぜひ訪ねてみてほしい。

  • Things to do

旧川口居留地跡にあるビクトリアン・ゴシック様式の教会。神戸などの居留地の影に隠れてあまり知られていないが、1868年から1899年までの間、大阪にも外国人居留地があった。居留地時代の建物は現存しないため、「川口基督教会」は当時の川口居留地の面影を今に伝えるほとんど唯一の建物なのだ。

1920年に建造された聖堂は、川口居留地のシンボル的存在になっている。第2次世界大戦中の大阪空襲や1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたが、その度に修復、復元。現在では大阪府指定有形文化財に指定されているほか、近代建築を活用する大阪市の取り組みである「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選定されている。

基本的には信徒のための礼拝の場であるため、建物内部の見学を予約制で受け付けている。また、不定期でパイプオルガンのコンサートやバザーなどとともに、聖堂ガイドツアーが開催されている。機会が合えば、美しい教会建築を堪能してほしい。

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  • カフェ・喫茶店

1970年オープン、大阪駅前第1ビルの地下1階にあるスペーシーな喫茶店。「宇宙」をデザインテーマにした「マヅラ喫茶店」は、クラシカルな喫茶店が多かった1970年当時から画期的な一軒として一目置かれてきた存在だ。設計は祖川尚彦建築設計事務所が手がけた。

宇宙的空間に興奮してしまう気持ちは分かるが、訪れた際は木材で作られた壁のレリーフにも注目してほしい。実は、全く同じ絵柄を手彫りした2枚の木材で透明の板を挟む仕掛けになっており、職人技が強く感じられるポイントなのだ。地下1階だと窓が設置できないが、この美しい仕切りのおかげでプライベートは保たれつつも、外から明るい光が入ってくる仕組みになっている。

メニューは「自家焙煎コーヒー」をはじめ、「フルーツサンド」や「プリンアラモード」などのデザートも充実。「純喫茶のナポリタン」や「マヅラのハンバーグサンド」といった食事系のメニューには、200円でコーヒーや紅茶が付けられるドリンクセットもあり、ランチ利用者の強い味方だ。また、実はバーとしても機能しており、スコッチの「Johnnie Walker」はボトルキープもできる。

夢と情熱、そして当時の人々の知恵と技術が詰まった空間はきっとこの先も色あせることはない。コーヒーブレイク中に、どこか遠くの惑星へとワープしてしまいそうな唯一無二の空間で一息つこう。

バーの営業時間は17〜23時だ。

  • アート
  • 建築

梅田にある大規模な地下街「ホワイティうめだ」に外気を送り込むための施設。「阪神梅田本店」「阪急うめだ本店」「曽根崎警察署」に取り囲まれた車通りの多いエリアにあって、突如として現れる巨大な姿が特異な存在感を放っている。林立する塔のなだらかな曲面にステンレスパネルが貼り合わされた、メタリックでありながらも有機的なイメージを想起させる建造物は、東京都の「日生劇場」などで知られる戦後日本を代表する建築家・村野藤吾の設計によるもので、1964年に完成した。

塔自体が建つエリアへと続く横断歩道はないため近づくことはできないが、JR大阪駅と「阪神梅田本店」を結ぶペデストリアンデッキから眺めることができる。御堂筋のイルミネーションイベントなどではライトアップされることもあり、日中とはまた異なる近未来的な景観が楽しめる。

自身も宝塚市に住み、大阪を拠点に活躍した村野の作品は、関西では比較的見る機会に恵まれてはいるが、中に人が入って利用することを想定していないオブジェ性の高い吸気塔ならではの同建築家の魅力をうかがい知ることができるだろう。

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  • Things to do

中之島にある日本銀行の支店。大阪府・和歌山県・奈良県区域を担当しており、東京の本店が災害などで機能しない場合のバックアップとしての役割を担う。

歴史的な銀行建築として知られる旧館は、1903(明治36)年に建設されたもの。設計は、「日本銀行本店」や「東京駅丸の内駅舎」などで知られる建築家の辰野金吾が手がけた。特徴的なドーム型の屋根が目を引くデザインは、ベルギー国立銀行をモデルにしている。その後旧館の改築工事と同時に新館を建設し、1982(昭和57)年に現在の姿となった。 

旧館の内部、新館の営業室など支店内の見学もできる(事前予約制)。

  • Things to do

2020年、京阪中之島線なにわ橋駅すぐの中之島公園内にオープンした文化施設。世界的に有名な建築家、安藤忠雄が市に寄贈したもので、設計も安藤が手がけた。絵本や児童文学などを中心に2万冊を超える書籍を収蔵している。

名誉館長を務めるのは、ノーベル賞を受賞した医学博士の山中伸弥。山中をはじめとする著名な研究者や芸術家が子どもの頃に読んでいた本などを紹介する「あの人の本棚」と名付けられた企画展示コーナーのほか、「自然とあそぼう」「大阪→日本→世界」などの独自のテーマで選書された書棚が並ぶ。蔵書の貸し出しは行っていないが、館内だけでなく中之島公園内であれば外に本を持ち出すことができ、川と緑に囲まれた気持ちの良いロケーションでも読書が楽しめる。

3フロア構造の館内は、吹き抜けの天井まで壁一面に書架がそびえ、細い渡り廊下や大階段などが設けられたドラマチックな空間に仕上がっている。一方、階段下をはじめ書棚の隙間など、随所に親密感のある小空間が用意されており、子どもたちにとっては物語に没頭するのにうってつけの隠れ家となるだろう。

1階にある天井から一筋の光が差し込む円筒状の空間は、実に安藤建築らしい。湾曲した壁をスクリーンにして、Rhizomatiks Designによる映像が映し出され、子どもたちを物語世界へと誘っている。

年末年始および蔵書整理期間は休みになる。訪れる前に公式ウェブサイトで確認してほしい。

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大阪の都心部を悠然と流れる​​堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島にそびえる、老舗ホテル「リーガロイヤルホテル」。 世界各国の国家元首や国賓を数多く迎えたこの由緒あるホテルの1階に、1965年にオープンしたオーセンティックバー「リーチバー」がある。

店名は、イギリス人の世界的な陶芸家であり、日本の民芸運動との関わりが深いバーナード・リーチに由来している。リーチはこの店のフロアデザインを構想。「民藝運動の父」である柳宗悦のアイデアも反映され、最終的にはホテル設計者で建築家の吉田五十八が具現化した。

店内にはリーチの作品のほか、河井寛次郎、濱田庄司、棟方志功などの著名な芸術家の作品がさりげなく飾られ、美術ファンも全国から多く訪れる。

チーフバーテンダーである影山清史は、「第28回H.B.A. CLASSIC 創作カクテルコンペティション・チャンピオンシップ」でグランプリに輝いた人物。同大会の4部門のうち「接遇審査 最優秀賞」「創作カクテルコンペティション 最優秀技術賞」を同時に受賞するなど、輝かしい経歴を持つ腕前だ。開業時から変わらぬスタイルで受け継がれてきたリーチバーの名物カクテルである銅製のカップに入った「ジントニック」は、このバーを訪れた世界のセレブリティに愛され続けている。

この店にはBGMがない。開業以来、50年以上使い続けられる流麗な曲線美を描くウィンザーチェアなどが並ぶ静かな空間を包むのは、このバーの歴史の重みを感じさせる「りんとした空気」といえるだろう。

大阪駅から無料送迎シャトルバスがあるのもうれしいところ。16~24時(L.O. 23時30分)の営業時間は当面の間のもので、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各テーブルには飛沫防止パネルが設置されている。

  • アート

阿波座駅の西方、木津川のほとりに建つ、文化のための公共施設。ギャラリーや多目的ルーム、音響照明設備を備えたスタジオなどを貸し出しているほか、文化芸術に関する相談事業や、ワークショップなどのプログラムも実施している。地下階には、アート系の古本屋やテラスを望むカフェ、休憩スペースなどを併設する。

また、大阪府が所蔵する約7900点におよぶさまざまな美術作品の管理も行っており、同施設でも年に数回開催される企画展示などの機会に観覧することができる。

大阪のモダニズム建築らしい丸みを帯びた建物は、1938年に大阪府工業奨励館の附属棟として建てられたものだ。改修を経て2012年にオープンした同施設は、大阪における数少ない戦前期のモダニズム建築としても貴重な存在となっている。

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  • アート

初めて外観を目にした人は、その奇妙さに仰天するだろう。このユニークな姿をした建物は、現代美術を展示している美術館。「あべのハルカス」なども手がけたシーザー・ペリが設計した。

国内外の現代美術を中心とした作品を数多く収蔵し、年に数回、特別展やコレクション展を開催。見せるだけではなく講演会やシンポジウム、ギャラリートークなども積極的に行い、美術への深い理解と普及に努めている。

通常の休館日のほかに、展示替えなどのため臨時休館もあるので注意してほしい。しかし、もし急な休館に当たってしまっても、この建物を見ることができれば十分に来る価値はあるだろう。

  • Things to do

芸能や財運に御利益がある、日本最古の弁財天を祭る寺院。658年、箕面滝で修業していた役行者(えんのぎょうじゃ)が弁財天の導きを受け、宗教家として大成した。そのことへの感謝として、自ら弁財天の像を製作し、滝の側に祭祀(さいし)して「箕面寺」と称したのが始まりと伝わる。その後、多くの修行者が入山し、山岳の道場として発展してきた。

また、宝くじの起源とされる「富くじ(箕面富)」発祥の地としても知られており、毎年10月10日には「箕面富」の名で秋祭りも行われている。

かつての雰囲気が味わえる箕面富に参加を希望する人は、9時〜10時55分の間に、番号の記載がある富札が入ったミニ大福御守を購入(参加人数には限りあり)しよう。その後、富箱の中から「一の富」「二の富」「三の富」と富棹(さお)で当たり札が持ち上げられ、自分の富札と同じ番号が読み上げられた人には特別なお守りとお札が授与される。

箕面富で使用する富箱は客殿に展示されているが、通常は中に入ることができない。しかし、日本を代表する建築家の武田五一が手がけた「鳳凰閣」や、箕面山の龍神信仰に基づいて考案された「枯山水」とともに年に数日だけ特別公開されているので、じっくりと眺めたい人はぜひこの機会に訪れてみてほしい。

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  • Things to do

東京駅や日本銀行本店など、近代日本を代表する西洋建築を手がけた辰野金吾が設計した、希少な和風建築の「あまみ温泉 南天苑」。約9900平方メートルもの日本庭園と瓢(ひさご)型の池など、四季折々の豊かな自然が楽しめる。

料理は地元で育った食材や、地元に伝わる幻の食材を再生するなど、独自のスタイルを確立。木造旅館ならではの落ち着きと木の温もりを感じる部屋で味わいたい。

温泉は天然のラドンを豊富に含み、強い発汗作用と新陳代謝を高めるなど、美容と健康に効果がある。大阪市内からもアクセスがいい癒やしの空間は魅力的だ。

  • Things to do

17世紀初頭から全国的に街道整備や宿駅設置を進め、東海道の延長として京都の伏見と淀、大阪の枚方と守口に宿場を設けた徳川幕府。江戸時代、問屋場や本陣のほか、旅籠や商家など多くの町家が軒を連ねた「枚方宿」は、東海道品川宿から数えると56番目にあたる宿場町としてにぎわっていた。

現在は当時のような街並みを見ることはできないが、一部、町家を活用した施設やレストランなども残っている。例えば、枚方宿の代表的な船待ちの宿であった「鍵屋」の建物を活用し、枚方宿の歴史を紹介する唯一の展示施設が「市立枚方宿鍵屋資料館」。19世紀初頭の町家建築の遺構である「主屋」は枚方市の指定有形文化財に指定されており、訪れればかつての面影を感じることができるだろう。

毎月第2日曜日には「枚方宿くらわんか五六市」も開催。枚方宿の歴史街道(枚方市駅から枚方公園駅の間)に雑貨やパン、焼き菓子など約200のブースが並ぶので、このタイミングを狙って訪れるのもおすすめだ。

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  • ショッピング

建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが手がけたことでも有名な百貨店。2016年から2019年にかけて大規模なリニューアル工事が行われたが、百貨店の随所にはヴォーリズらしさが残されている。

当時のレンガや「万成石」という岡山県産の花崗岩が再利用された御堂筋側のファサードをはじめ、1階の天井やエレベーターホールなど、クラシカルなヴォーリズ建築に思わずうっとり。そのほか、旧本館の内装から保存された金物装飾やペンダントライトなども再利用する形で、さまざまな場所にちりばめられている。

同館の象徴でもあったクジャクのレリーフは、心斎橋筋側のエントランスで見ることができるので、こちらも欠かさずにチェックを。名建築でのショッピングを楽しもう。

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