トダビル
Photo: Kisa Toyoshima持田敦子の作品
Photo: Kisa Toyoshima

TODA BUILDINGでしかできない5つのこと

東京を代表する現代アートギャラリーが集合、ギャラリーカフェやパブリックアートも

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ビジネス街として栄える一方で古くから画廊が立ち並ぶ京橋エリアに、2024年11月2日(土)、アート好きならマストなディスティネーションが誕生する。戸田建設の5代目の社屋となる「トダ ビルディング(TODA BUILDING)」である。

隣には「アーティゾン美術館」があり、ふらりと立ち寄って、気鋭の現代アートを体験できる場となる同施設。東京を代表する4つの現代アートギャラリーや、大空間の新ミュージアム、ギャラリーが併設するベーカリーカフェ、土木ファン垂涎(すいぜん)の建設業を知るミュージアムなどが入居し、誰もがさまざまなアートを楽しめる。

1〜6階は芸術文化施設として機能し、28階までがオフィススペース、そのほかに緑あふれるテラスやパブリックアートなどが多数点在している。ビジネスとアートが交錯する同施設でしかできないことを、5つ厳選して紹介したい。

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1. 気鋭のアートはパンをかじりながら観る。

店内でパンやコーヒーをつまみながら、新進気鋭の若手アーティストの作品が鑑賞できる、食と現代アートが混在する場「ギャラリーアンドベーカリートーキョー(Gallery & Bakery Tokyo)8分」。名前の通り、東京駅から8分で到着できる。大通りに面する1階にあるのもうれしい。

フードは「ザ シティ ベーカリー(THE CITY BAKERY)」が手がけたクロワッサンやマフィン、ビスケットなどのパンがずらりと並ぶ。「アートの中に日常」をうたう同スペースは、スタイリッシュな内装でありながら、小腹が空いた時に気軽にコーヒーとパン片手に楽しめるギャラリーなのだ。

こけら落としは、今最も注目されている若手アーティストの一人、友沢こたおによる新作個展「fragment。作家自身が顔面にスライムを被り、制作した100号サイズのインパクトのある作品群が並ぶ。販売するとすぐに完売するという、友沢の作品がプリントされた数量限定のスウェットとフーディーも販売されている。

2. ギャラリーをハシゴする。

3階には、東京を代表する4つの現代アートギャラリーが設けられた「ギャラリーコンプレックス」が誕生。六本木、天王洲と都内で3カ所目の拠点となる「小山登美夫ギャラリー京橋」では、日本の現代アートにおいて重要な作家の一人である杉戸洋の個展「『apples and lemon』- 『りんごとレモン』」が開催される。絵画のほか、さまざまなサイズの果物の彫刻が置かれており、とても愛らしい。

2つ目の店舗である「ユタカ キクタケギャラリー(Yutaka Kikutake Gallery)」では、奈良美智らによるグループ展「ささめきあまき万象の森」が行われる。民話や神話、自然をテーマとした本展では、植物を用いたインスタレーション、木像、ドローイングなどが並ぶ。雰囲気もクリスマスっぽく、木の香りが充満していて居心地がいい。

6つ目の拠点となる「タカ イシイギャラリー(Taka Ishii Gallery)」では、荒木経惟や森山大道によるグループ展が開催。また、2017年に天王洲にオープンし、2つ目の店舗である「コウサク カネチカ(KOSAKU KANECHIKA)」では、十三代三輪休雪による「エル キャピタン」が開かれる。

ギャラリーは通常、2カ月に1回ほど展示内容が変わるため、仕事帰りでも気軽に訪れて最新の現代アートを楽しめるだろう。

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3. 最新技術によるポップカルチャーを目撃する。

6階には、アニメ、漫画、音楽といったポップカルチャーをクリエーティブに取り上げる「クリエイティブ ミュージアム トーキョー(CREATIVE MUSEUM TOKYO)」が併設。天井高5メートル、広さ1200平方メートルを誇る同スペースでは、SONYの最新技術を使用した「柱展 ーそして無限城へー」が行われている。

見応えがある本展は、ファンや観光客でにぎわうことが期待されるだろう。通常美術館は作品を所蔵しているが、コレクションを所有しない同館は、企画が2、3カ月ごとに変わるのも注目だ。

また、展示に合わせたカフェとミュージアムショップも展開する。現在は、鬼滅の刃のそれぞれのキャラクターにちなんだ、ハイクオリティーなコラボレーションメニューが提供されている。

4. 建物と街と溶け込むパブリックアートを楽しむ。

1階のエントランスと2階の通路には、パブリックアートが点在している。通常のパブリックアートとは違い、更新性のあるプログラムであるため、作品は1年半で更新される。

第1弾は、国内外で活躍する飯田志保子をキュレーターに迎え「螺旋の可能性―無限のチャンスへ」をテーマに、小野澤峻、野田幸江、毛利悠子、持田敦子の4人の日本人アーティストによる作品が展開。おのおのがテーマを基に、地底から宇宙まで、幅広い視野で建物と共鳴した作品を手がけた。

これまで目に見えないエネルギーや動き、水などをテーマとしてきた毛利は、東京の地震データを4つの彫刻にし、地震・地底の動きを可視化した。作品制作に当たり、約2年間同施設に通って解体の作業から見学してきたという。

屋外と1階の吹き抜けに、作家史上最大となる階段の作品を展開した持田。らせん状に上に伸びる階段は、一部途中まで登ることができる。

作品前に設置されたサイネージには、作家のインタビュー映像が映され、作品鑑賞がより楽しめるだろう。展示は2026年3月までを予定しており、その後は別のアートチームによるパブリックアートが披露される。街の風景が変化していくのも楽しみだ。

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5. 土木にハマる。

8階に位置する戸田建設グループのミュージアム「TODA CREATIVE LAB“TODAtte?(トダッテ)」。2025年初頭に一般公開予定で、子どもから大人まで、建設業について楽しく学習できる場となる。

手のひらサイズの木のブロックを置くと異なるテーマの映像が鑑賞できるコーナーや、同グループのプロジェクトを紹介する3D映像、これまでの歩みを紹介する木に囲まれたコーナー、眺めの良い開放的なカフェなどが設けられる。

水とセメント比率で強度が変わるコンクリートを、鉄琴演奏のように音を聞いて比べる展示や、重さを制御して土木用の最も大きい材料を積み上げられる機械のミニチュア版を体験できる箇所など、土木ファンにはたまらないだろう。

このほか、2025年2月から募集が始まるアートのラーニングプログラムにも注目したい。ハードルが高いイメージのアートを、プロフェッショナルを通して解きほぐす8カ月にわたるプログラムだ。

また、緑にあふれたテラスや木の椅子が置かれたエントランス前など、アートを楽しみながらリラックスできるスペースが多数設けられている。

11月をもっと楽しむなら・・・

  • アート

ここでは、2024年11月に都内で開催されるアートフェスティバルを紹介。東京を代表する53の美術館とギャラリーを巡る現代アートの祭典「アートウィーク東京」や、アートブックやZINEの魅力を伝える「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」など、見逃せないフェスティバルをセレクトした。デザイン、本、パフォーマンスと、新たなお気に入りのアートに出合う秋を過ごしてほしい。

  • アート

2024年11〜12月にかけて、人気アニメや有名漫画の展覧会が多数開催される。バンド漫画「BECK」の25周年記念展や、漫画家の森薫と入江亜季に注目した特別展など、見逃せないイベントが続く。 

緻密で繊細な原画を楽しんだり、制作秘話をのぞいたり、空想の世界を自由に楽しもう。濃密なアニメ展示を体感してみては。

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  • アート

街歩きが心地よい季節。今回、11月に開催する芸術の秋にぴったりの無料のアートイベントをセレクトした。

銀座「資生堂ギャラリー」での「渡辺志桜里 宿/Syuku」展や、「ポーラ ミュージアム アネックス」での能登半島地震への支援を目的としたチャリティオークション「Place in my heart」展、TODA BUILDINGに新オープンする「小山登美夫ギャラリー京橋」での杉戸洋の個展など、入場無料で鑑賞できるアート展示を揃えた。アート尽くしの秋を過ごしてほしい。

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