渡辺志桜里 宿/Syuku
「とうとうたらり たらりらたらり あがりららりとう」展 2023 プロジェクト主催、企画 photo by Naoki Takehisa
「とうとうたらり たらりらたらり あがりららりとう」展 2023 プロジェクト主催、企画 photo by Naoki Takehisa

東京、11月に行くべき無料のアート展8選

パフォーマンス、写真、彫刻、能登半島地震支援へのチャリティオークション展まで、この秋訪れたい展示を紹介

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街歩きが心地よい季節。今回、11月に開催する芸術の秋にぴったりの無料のアートイベントをセレクトした。

銀座「資生堂ギャラリー」での「渡辺志桜里 宿/Syuku」展や、「ポーラ ミュージアム アネックス」での能登半島地震への支援を目的としたチャリティオークション「Place in my heart」展、TODA BUILDINGに新オープンする「小山登美夫ギャラリー京橋」での杉戸洋の個展など、入場無料で鑑賞できるアート展示を揃えた。アート尽くしの秋を過ごしてほしい。

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  • アート
  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、能登半島地震への支援を目的としたチャリティオークション「Place in my heart」展が開催。「ふるさと、故郷、HOME」をテーマに、22人のアーティストが1点ずつ、オリジナル作品を制作する。

作品は、会場で鑑賞できると同時に、サイレントオークション形式でオンライン入札ができる。また、ドローイング作品の抽選販売も行い、販売収益全額は日本赤十字社「令和6年能登半島地震災害義援金」へ寄付する予定だ。

出展作家は、鈴木ヒラク、中村萌、流麻二果、野口哲哉、ヒグチユウコ、水野里奈などが参加する。各アーティストが表現する本テーマは、心の中にあるよりどころとは何かを問いかけてくるだろう。

  • アート
  • 銀座

「資生堂ギャラリー」で、アーティスト・渡辺志桜里の個展「渡辺志桜里 宿/Syuku」を開催。渡辺の代表作をダイナミックに展開するとともに、「動き」によるパフォーマンスアートが不定期で行われる。

渡辺は、外来種や絶滅種といった人間と自然との間に生じる衝突を想起させるモチーフに焦点を当てることで、人間同士にはらむ課題を暗示する作品を多く手がける。

今回は、水槽やプランターなどをホースでつなぎ、水やバクテリアを循環させて自律した生態系を構築する代表作『Sans room』を、過去最大規模で展示する。また、渡辺が加藤眞悟や安田登(ともに能楽師)ドミニク・チェン(情報学研究者)らとともに制作した新作能を、映像・サウンドインスタレーション作品として展示する。

ここだけの特別な空間にぜひ足を踏み入れたい。

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  • 京橋

「小山登美夫ギャラリー京橋」で、日本の現代アートにおいて重要な作家の一人である杉戸洋の個展が開催。新作の立体、ペインティングと活動初期の1990年代の作品を組み合わせる。

これまで国内外で多数の展覧会に参加し、近年は立て続けに美術館での個展を開催してきた杉戸。点や線、丸、三角などのモチーフとみずみずしい色彩の絵画、立体など、既成概念に捉われない作品群は国内外で高い評価を受けてきた。

作品のモチーフは、雨粒や身近なフルーツ、大きな宇宙まで、世の中に存在する全てを含んでおり、杉戸は日常のささいなところにも平等に目を向けている。

作家自身が体感した知覚が丁寧に表されている作品を通し、見慣れた景色がより多層的で流動的なことを実感できるだろう。

  • アート
  • 青山

「Akio Nagasawa Gallery Aoyama」で、写真家・森山大道の個展が開催。写真誌『記録』の最新号である58号から作品を展覧すると同時に、これまで刊行された全ての同誌を販売する。

『記録』は、森山が「日常で撮ったものをすぐに焼いて、近くの人たちに手渡しで見せるという最小限のメディアを」と模索する中、1972年に始められた私家版写真誌だ。第5号をもって一時休刊となったが、2006年に「Akio Nagasawa Publishing」から復刊し、現在も継続刊行中である。 

2022年にアムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている森山。常に現在進行形の活動を会場で体感してほしい。

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  • アート
  • 六本木

「シュウゴアーツ」で、藤本由紀夫の個展を開催。ギャラリーに800枚の素焼きタイルを敷き詰めた作品『BROOM(TILE)』を東京で初めて発表する。

本作は来場者がタイルの上を歩き、その重みで徐々にタイルが音を立てひび割れていく過程により成立する。体は常に重力によって地球の表層に触れ、摩擦や振動によってさまざまな音を生じさせる。本作品を体験することで鑑賞者は知覚に新しい感覚を引き起こす。

また、藤本が長年制作を続ける『SUGAR』シリーズの新作も発表。角砂糖をガラスのチューブに詰め、回転させることによって徐々に砂糖がぶつかり合って崩れ、最後は真っ白な粒状の姿へと変化する。

重力や回転力という目に見えない自然の力によって、人工物が別の姿へ変容していく様から、日常と捉えている事物の在り方を問いかける本展。ぜひ、会場で作品を体感してほしい。

なお、11月7日(木)〜10日(日)の4日間は、10〜18時まで特別開廊される。

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  • 日本橋

1974年に開廊し、これまで309回の展覧会を開催してきた「西村画廊」。開廊当初から、当時まだ日本で馴染みが薄かったイギリス現代作家の紹介や、新たな日本人作家を見いだすことに力を注いできた。今回、創業50周年を記念した展覧会「西村画廊50年」が開催される。

会場では、舟越桂の木彫『誰の眼とあるか、スフィンクス?』をはじめ、小林孝亘、押江千衣子、三沢厚彦、町田久美、曽谷朝絵の最新作を公開。併せて、横尾忠則が愛猫・タマを描いた『タマ、帰っておいで』シリーズのペインティングや、細江英公が三島由紀夫を被写体に撮り下ろした『薔薇刑』のオリジナルプリントも並ぶ。

さらに、デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)、ブリジット・ライリー(Bridget Riley)、ピーター・ブレイク(Peter Blake)、ホルスト・アンテス(Horst Antes)のドローイングや版画も公開される。貴重な機会を見逃さないでほしい。

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  • 銀座

「ギャラリー小柳」で、現代美術家・束芋(たばいも)の個展「そのあと」を開催。25年間の作家活動を振り返りながら、束芋のアニメーション制作の原点に立ち返る。  

これまで精巧でアイロニカルな作品づくりをしてきた束芋。近年制作した作品を通し、物や現象が不意につながりを持つ瞬間、発想の出発点そのものの面白さや広がりの可能性を感じたという。そこで、制作してきたアニメーションの断片を投影し、物と物が引き寄せられた時の偶発的な出合いによる関係性を作品とした。

今回は、新たな試みとして遊びや偶然性を残し、鑑賞者がさまざまな思いを感じとれる空間を作り上げている。ぜひ立ち寄ってほしい。

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  • 市ヶ谷

「ミヅマアートギャラリー」で、青山悟の個展「永遠なんてあるのでしょうか」を開催。急速にグローバル化する社会の中で埋もれていく「見えざるもの、消えゆくもの」をテーマとした新作を展示する。

青山は、古い工業用ミシンを用いながら、現代社会における労働や資本主義の問題を示唆する作品を制作。ここ数年は、新型コロナウイルスのパンデミックや世界各地で起こる戦争や紛争、またそれらが引き起こす分断などの社会問題に対し、批評性とユーモアを交えながら刺しゅうで常に表現し続けている。

新作『2018年 東京の夕暮れ』では、パンデミック前に撮った写真をもとに、変わらないようで今はもうない日常の風景を全面刺しゅうで描く。

青山が「消えゆくものたちの小さなモニュメント」と呼ぶ、雑誌や紙幣、チラシを刺しゅうで再現した作品をじっくりと味わってほしい。

もっと芸術の秋を楽しむなら・・・

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東京ステーションギャラリー」で、テレンス・コンランの人物像に焦点を当てた初の展覧会テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」が2025年1月5日(日)まで開催されている。デザインの力を信じ続けたコンランの、デザイナーとしての一貫した姿勢と情熱を感じることができるだろう。

 

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アメリカ出身の写真家、アレック・ソス(Alec Soth)の展覧会「部屋についての部屋」が2025年1月19日(日)まで東京都写真美術館」で開催中だ。5年もの歳月をかけて展覧会の構想について対話を重ね、ついに開催が実現したという本展に期待が膨らむ。

 

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六本木の「森美術館」で、国内27年ぶり、2回目となる最大規模の個展「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」が2025年1月19日(日)まで開催されている。

六本木ヒルズ」を象徴するように配置された、ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois、1911〜2010年)のパブリックアート『ママン』 。クモの形を模したこの彫刻を知っている人は多いと思うが、その作家であるブルジョワについて国内ではあまり知られていない。

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