燕三条
三条鍛冶道場
三条鍛冶道場

燕三条、ものづくりを巡る8のこと

「ものづくりの町」の工場見学、冶金体験からアウトレットまで

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テキスト:間庭典子

古くから金物加工が栄えた町、新潟県燕三条市。人間国宝を輩出した工房や『iPhone』に欠かせない部品を担っている世界規模の技術の製作所もあり、日本が誇るものづくりの「聖地」だ。

一般に公開されたオープンファクトリーや体験クラスを開く工場など、その在り方も日々進化している。実際にその作品に触れ、参加してみることで、理解もより深まるだろう。量産品にはない丁寧な仕上げや、匠の技に圧倒されながら、一生ものの道具に出合う喜びを味わってみては。

1. 旅の予習をする。

上越新幹線が停車するJR『燕三条』駅の構内にあるのが、燕三条駅観光物産センター「燕三条Wing」だ。広々としたショールームにはグッドデザイン賞をはじめ、さまざまな賞を受賞した各製作所の逸品がずらりと並ぶほか、匠の技を生かしたあっと驚く便利グッズもそろう。

燕三条エリアの製品を一度にチェックできるので、まずは情報収集を目的に立ち寄ったり、土産探しにも活用できる。Wi-Fi完備の上、テーブル席もあるため、商談などに集中するビジネスマンの姿も。知っておくと便利な駅ナカスポットだ。

燕三条駅観光物産センター「燕三条Wing

新潟県三条市下須頃502-JR『燕三条』駅2階0256-34-7310

1000分~1830分/無休

2. 究極の爪切りを見つけ出す。

 釘の頭を切るための工具、喰切(くいきり)の製造で1926年に創業した諏訪田製作所の本社。創業依頼、刃と刃を合わせて切るニッパー式刃物に特化し、食卓や日常生活に役立つツールを世に広めてきた。その機能だけではなく、造形としても美しい爪切りもその一つだ。

商品開発、材料選びから仕上げまで全てを自社職人が手掛け、工場見学ではその工程を間近で見られる。英語で鍛冶屋を意味する「スミス」という名のカフェも併設し、職人も通う社員食堂を一般にも公開するなど、外にも積極的に開かれているのがうれしい。

SUWADA

新潟県三条市高安寺1332、0256-45-6111

1000分~1800分/工場見学、食堂は日曜・月曜定休

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3. 食卓のバージョンアップを狙う。

包丁、ナイフなど、刃物を専門に製作する藤次郎。創業50周年となる2017年にオープンしたオープンファクトリーは、国内屈指の工場見学施設。工場ならではの音や熱気を感じ、職人の生きた「技」を体感できる。

さまざまなナイフに実際に触れて、質感や持ち心地などを確認しながら選べる上、その場で名入れしてくれるのもうれしい。包丁研ぎ体験などメンテナンスも学べて、キッチンスタジオでは料理のレッスンなどのイベントも開催される。

藤次郎オープンファクトリー

新潟県燕市吉田東栄町9-5、0256-93-4195

10時00分~17時00分(工場見学)・10時00分~18時00分(ショップ)/定休日は日曜・祝日

4. リーズナブルなお宝を発掘する。

キッチン用品やアウトドア用品、園芸用品などのアウトレット人気商品が、倉庫のような空間に並ぶアウトレット。包丁やタンブラーなど金属研磨が盛んな燕三条ならではの逸品も、地域最安値で購入できる。中には、50%以上オフになっている商品もあるのだとか。

モデルチェンジやカタログ落ち、在庫過多などが理由で割引になっているだけなので、品質には問題ない。

こうしたアウトレットの背景には、在庫にできない商品を金をかけて廃棄処分せざるを得ないといった企業課題もあるという。倉庫を探検する気分で、その名の通りストックバスター(在庫退治)に貢献しよう。 

ストックバスターズ

新潟県燕市物流センター2-16、0256-63-2511

1000分~1830分/無休

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5. 鎚起銅器の神業にうなる。

200年もの歴史を誇り、無形文化財にも指定される燕市の伝統工芸、鎚起(ついき)銅器の老舗。人間国宝の玉川宣夫をはじめ、これまで300人以上の職人を輩出、その技術を進化させている。

一枚の銅板から打ち出されるやかんや、毎日使える茶器、酒器などがそろっている。金属表面の黄色や紫金色などミステリアスな模様や輝きは薬液で煮込んで着色されたもので、時を刻むにつれて味わいが出るという。

1日に数回、工場見学ツアーがあり、鎚起銅器の歴史や工程を解説しながら案内してくれる。

玉川堂

新潟県燕市中央通2-2-21、0256-62-2015

営業時間8時30分~1730分/定休日は日曜・祝日

6. ものづくりを体感し、歴史を学ぶ。

燕市の金属加工発展の歴史を伝える史料館。江戸時代初期から続く金属加工の歴史を分かりやすく伝える展示のほか、体験工房館では純銅タンブラーの鎚目入れ(2,200円~)や錫ぐい呑み製作(2,500円)、チタン製スプーン酸化発色(大700円、小500円)など豊富な体験が用意されている。

入場料も400円、小・中学生、高校生100円と格安なので、気軽に旅の想い出と土産作りができるだろう。 

燕産業史料館

新潟県燕市大曲4330-1、0256-63-7666

900分~1630分/休館日は月曜

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7. 箸やスプーンの美しさに目を見張る。

芸術品のように美しくて口当たりのいい箸や、カトラリーなどのテーブルウエアの専門ファクトリー。1939年に寺社を装飾する彫刻を生業として創業した後、一生ものとして使える高級な箸や、どこにでも携帯したくなる折りたたみ箸などを製作している。テーブルウエアだけでなく、万年筆やUSBメモリーのような文房具も手がける。

工場では、細部まで装飾を施した箸などの工程を見学できる。寺社彫刻で培われた黒壇や紫壇を扱う技術や知識、加工技術を活かした手作業は必見だ。

マルナオ

新潟県三条市矢田1662-1、0256-45-7001

1000分~1900

8. 職人技を学び、盗む。

三条鍛冶道場は2005年度にものづくり精神を次世代に伝えるための研修施設としてオープンした。

職人のための技術向上を目的に全国各地から技術者が集まり、燕三条の匠の技術を学べる場となっているほか、全国有数の金物産業都市の燕三条に継承される鍛冶作業も体験できる。

各製作所から36人以上の職人が集まり、包丁研ぎ(300円、子どもは150円)、和釘作り500円、中学生以下250円〜などの鍛冶作業の基礎を指導してくれる。JR『北三条』駅から徒歩3分とアクセスも便利なので気軽に参加してみては。

三条鍛冶道場

新潟県三条市元町11-53、0256-34-8080

9時00分~1700分/無休 

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