テキスト:たまさぶろ 「どこのバーへ行くべきか」。そう訊ねられる機会は多い。いつも無難な答えを返してしまいがちな点、反省すべきと思っている。本当はこう伝えるべきだ。「まずは巨匠のバーへ行くべし」と。そして、バーのすべてを学んでほしい。 おそらくバーの不文律を学ぶだろう。なぜバーの扉は開けづらいのか。なぜ「チャージ」が存在するのか。少なくとも「正す」襟がある服装で出向く必要があること。バーにふさわしい話題とは……。なぜ巨匠の一杯には、摩訶不思議な魔力がかけられているのか。淑女、紳士の振る舞いとは何か。どれも明文化するのは無粋と呼ばれる。しかし、そうした知識が人生に潤いを与えてくれる。
男を狂わせる。ー5月29日は呉服の日
5月29日は「ご(5)ふ(2)く(9)」の語呂合わせから、全国呉服小売組合総連合会が制定した呉服の日。今日は谷根千にある弥生美術館で開催されている展示『谷崎潤一郎文学の着物を見る』で、着物を観よう。展示では、谷崎の代表作『細雪』、『痴人の愛』、『春琴抄』、『蓼喰う虫』などを、文章やモデルになった姉妹の写真をもとに、着物を再現する。着物のセレクトと着付けは、アンティーク着物のコーディネーター大野らふが担当した。