のんびり観賞する庶民の楽しみ
布袋劇とは何か? 中国語で「プウタイシー」あるいは台湾語(台湾固有の中国語)で「ボォディヒィ」と呼ばれる伝統的指人形劇のこと。中国大陸から台湾に渡り、独自に発展した。
子ども時代からこれを観て育った台湾人の友人によると、祭り時に廟(びょう)の前や敷地内で開かれる見せ物だという。彩樓(ツァイロウ)という極彩色に飾られた専用舞台で、派手な音楽とせりふを付けてにぎやかに演じられる。神への奉納芸ではあるものの堅苦しさはない。かつての日本の紙芝居に近い、子どもや年寄りが集まってのんびり観賞する庶民の楽しみである。
1970年代以降は「霹靂布袋劇(ピーリープウタイシー)」と呼ばれるテレビ布袋劇が台頭。洋風イケメンの人形たちが、特撮技術を加えた舞台で所狭しと活躍する日本のアニメやゲームの人形劇版といった趣向が、若い世代の心をつかみ一大ブームを興す。今や霹靂布袋劇の専門チャンネルもあるほどで、テレビや映画で根強い人気を保っている。
その一方で古典的な布袋劇は人気が衰え、台北に劇団がいくつか残るのみ。公演もめったにない。台湾小館で演じられるのは、古典的布袋劇である。