カフェーマル
Photo: Takuro Yamashina
Photo: Takuro Yamashina

パブリックキャット 第44回

レトロカフェの看板猫:太郎(8歳)江ノ島のカフェーマルにて

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テキスト、写真:Takuro Yamashina

江の島の玄関口、弁天橋を渡り、メインストリートから外れて路地を数分ほど。すると現れるのが、大正時代にタイムスリップしたかのようにレトロな様相を呈すカフェーマルだ。店内には、フィルムカメラやビクター犬の置き物、レコード、ファイヤーキングのカップなどのアンティークグッズがずらりと並ぶ。時期によっては大にぎわいの江ノ島でも、特別ゆったりとした時間を過ごせる隠れ家カフェの名店と言えそうだ。

パブリックキャットシリーズ 第44回は、そんなカフェーマルで看板猫を務める太郎を取材した。

“カフェーマル”

名前:太郎(♂)
チャームポイント:口元の柄とポーカーフェイス
性格:クールで賢い
好きなこと:窓から通りを眺めたり、隣の空き地を散歩したりすること

店主の一瀬のもとに太郎がやってきたのは2013年。叔母から「庭に餌を食べに来る野良猫がいる」という連絡を受けたことがきっかけだったという。ちょうど先代猫のミケが逝去した後のタイミングで、客からも「猫ちゃんいないんですか?」と頻繁に尋ねられるようになっていたこともあり、生後4カ月で太郎はカフェーマルに就職決定。あっという間に店の顔となった。

“カフェーマル”

小さなことには動じず、ポーカーフェイスとクールなまなざしが印象的。コーヒーの香りとジャズの音色が似合う猫だ。岡本太郎や山本太郎など、「太郎」という名には著名人が多いことにあやかって付けられたという。

“カフェーマル”

基本的には住居スペースの2階で過ごしているが、店が忙しくないタイミングを見計らって登場。しっかり空気の読める看板猫なのだ。客の前でお手やおかわりを披露する芸達者っぷりにも、賢さが表れている。

“カフェーマル”

入り口付近のスペースから通りを眺めるのが大のお気に入り。通りすがりの人に視線を送り、招き猫の役割をしっかり果たしている。一瀬自身がデザインした太郎のイラストTシャツ(3,200円から)にも注目したい。

“カフェーマル”

定番の撮影スポットは、丸窓から柔らかな光が入るテーブル席。革張りのチェアに座る堂々とした姿は、先に述べた著名人たちも顔負け(?)かもしれない。フィルムカメラを持ったお客さんから、ここで撮影をリクエストされる機会も多いそうだ。太郎ファンの常連客が作ってくれたという人形からも、その人気ぶりがうかがえる。

“カフェーマル”

人間の食べ物には目もくれず、黙々と業務をこなす仕事人な一面も。ちなみに、コーヒーとケーキのセット(1,000円)はリーズナブルで懐に優しい。今回注文したヨーグルトケーキは一瀬の手作りだ。ババロアを思わせるぷるんとした食感がたまらない。コーヒーはその場で豆をひき、1杯ずつハンドドリップしてもらえる。

“カフェーマル”

アンティークグッズが並ぶセクションには登らないところもスマートだ。店内を悠々と闊歩(かっぽ)する姿から、ベテラン看板猫の風格が漂う。

“カフェーマル”

“カフェーマル”

接客が落ち着くと、隣の空き地をパトロール。陽光を浴びた白い毛並みがまぶしい。店の外には、レトロな看板や観葉植物が目を引くオープンテラスがあり、太郎の管轄だ。このスペースで海風を感じながら、彼と戯れるのもすてきかもしれない。

“カフェーマル”

店主の一瀬と太郎は大の仲良し。肩肘張らない両者の信頼関係は、穏やかな湘南の空気にとてもマッチしていた。

江ノ島の喧騒(けんそう)から少し離れ、タイムスリップ気分でゆったりした時間を過ごせるカフェーマルに、もはや太郎は必要不可欠な存在だ。猫とレトロカフェは、なぜこんなに相性が良いのだろう。そんなことを考えながらすするハンドドリップコーヒーの味は格別だ。江ノ島を訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてもらいたい。

“カフェーマル”

勤務先:カフェーマル

ある一日のスケジュール

12時00分 開店。お客さんの入りを見つつ、タイミングを見て出勤。
15時00分 入り口付近から通りを眺める。気が向いたら隣の空き地をパトロール。
18時00分 閉店。2階の住居スペースに帰宅。

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浮き桟橋での釣りやボートに乗って釣りを楽しむボートフィッシングなど、都会にいながらも気軽に自然と触れ合うことのできるこの環境自体はもちろんだが、弁慶橋ボート場の癒しポイントはそれだけではない。ボート場への階段を下っていくと、受付嬢のごとく看板猫のトラミが迎え入れてくれるのだ。

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