日本橋
Photo: Kisa Toyoshima
Photo: Kisa Toyoshima

日本橋で過ごす24時間

伝統と新しいカルチャーが交わる「本物」に出合える街

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今、東京で最も面白い街といえば、日本橋が真っ先に上がるだろう。創業100年を超える老舗が今でも多く残る日本橋は、江戸情緒を残しつつも、進化を忘れない街。2020年に入ってからは、再開発でかつて世界有数の金融街であった兜町に新しいカルチャーが吹き込み、より新旧の文化を楽しめるエリアになった。

ここでは、朝食から眠りにつくまで、伝統と新しい文化が入り混じる日本橋で過ごす24時間を提案。古い、新しいを問わずに「本物」に出合える街を思いっ切り楽しんでほしい。

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日本橋には、さまざまな朝食の選択肢がある。

まず、「日本橋でモーニングといえばここ」といわれるラフレッサは、絶対に外せない。1978年創業の喫茶店で、目印はいつの間にか生い茂っていたというツタに覆われた入り口。モーニングは、7時から11時までの提供(なくなり次第早めに終了することもあり)で、バタートースト、ツナサンド、ブルーベリージャムトースト、チーズトーストの4種類から選ぶことができる。サクッと焼き上げたトーストやサンドイッチに、ハムエッグやサラダ、季節のフルーツ、ドリンク(コーヒーか紅茶)が付いて550円という、なんともサービス精神旺盛なモーニングだ。

食べたいものが定まらない場合は、とりあえず日本橋髙島屋S.C.へ。ブーランジェリーのリチュエル、ディーン&デルーカ カフェは、平日のみ朝の7時30分から営業している。

もし、二日酔い気味だという人は、そばよしから一日を始めるという選択肢もあり。日本橋の老舗かつお節専門店、中弥商店が経営する立ち食いそば屋で、化学調味料を一切使用せずに作られた「つゆ」は、まさにかつお節店ならではの味わいだ。ほとんどのメニューが500円以下で食べられるというのも魅力である。

そばよし(Photo: Yuki Nakamura)

ちょっと作業をしたい場合は、ディーディーディーホテルシタンといった、人気の宿泊施設にあるカフェに行くのがいいだろう。Wi-Fi環境にコンセントが設置された席、そしておいしいコーヒーまでもがそろっている。

朝食の後は、街散策を楽しもう。日本銀行本店や日本橋三越本店 本館、三井本館など、日本橋は名建築の宝庫だ。

もし、ディーディーディーホテルシタンで朝食をとった人は、人形町の辺りを経由しながら日本橋駅方面にいくといい。長く愛される老舗や個性的な店が点在する甘酒横丁は、下町情緒が漂うスポットだ。

ランチを食べるなら、カミサリーで。ここは、こだわりの味を提供する五つのヴェニューのセントラルキッチン。ファクトリーとしての役割がメインではあるが、出来たてのピザやタコス、パン、ドーナツ、クラフトビール、コーヒーをイートインやテイクアウトで、ほかの店舗よりやや安価に味わうこともできる。

カミサリー(Photo: Keisuke Tanigawa)

もちろん、獅子の像や麒麟(きりん)像が出迎えてくれる日本橋も忘れられない。もしタイミングが合えば、日本橋船着場から出ている船に乗って、水上から街を眺めてみよう。地上を歩いて見て回るよりちょっとしたアトラクション感があるし、水上の旅をナビゲートしてくれるスタッフの話は、東京に長く住んでいる人も勉強になることが多いはずだ。

日本橋船着場から出ている観光用の船舶(Photo: Keisuke Tanigawa)

また、最近の注目スポットだと、ティーハウス ニューバランスは必見。埼玉県川越市から持ってきたという築122年の蔵と現代の建築を融合させた一軒で、真っ白な外観が印象的。アイテムはユニセックスのものが多く、イラストレーターの秋山貴世や、蔵前にあるナカムラ ティー ライフ ストアとのコラボ商品も販売している。

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夕方

街散策を楽しんだら、話題の兜町エリアへ。

スイーツ好きは、まずパティスリー イーズで、スペシャリテの『アマゾンカカオのシュークリーム』を楽しもう。約15種類の生菓子の中にはイートイン限定のものも用意されているが、時間がない場合は、明日のおやつにフィナンシェなどの焼き菓子を手に入れるのもいい選択だ。

カジュアルに食事を楽しみたい人は、ネキに行くといいだろう。ここは、火の入れ方にこだわった肉や、旬の野菜など、一つ一つの素材を丁寧に扱いながら作った料理と自然派ワインを楽しめるビストロ。店内にはレコードが流れ、肩肘張らずにリラックスして過ごすことができる。

ネキ(Photo: Kisa Toyoshima)

あとは、兜町で約70年間親しまれてきたうなぎ屋を改装した場所に入居する3軒をはしごするのも忘れずに。

ナチュラルワインを角打ちスタイルで楽しめるヒューマン ネイチャーは、ナチュラルワインへの愛があふれる店主や客との会話も弾む一軒。また、エスアールでは、丁寧に淹れたドリップコーヒーやカフェラテのほか、17時からは、コーヒーカクテルやクラフトジンといったアルコールメニューも楽しめる。希望があれば昼間でも提供してくれるようなので、気になる人はスタッフに声をかけてみよう。

エスアール(Photo: Kisa Toyoshima)

ピーナツバタークッキーやマンゴーラッシーなど、料理からインスパイアされたという、ユニークなビールで喉を潤したければ、オムニポロス トウキョウへ。真っ青な床や壁に、木目のエキセントリックさを表現したマーブルカラーのテーブル、壁という境界線を取っ払ってしまうかのように溶けた壁など、異空間に足を踏み入れたかのような内装も必見だ。

兜町ホッピングを楽しんだら、老舗の味を堪能しに行こう。

名物の親子丼まで付いた玉ひでの鳥すきコースに、いづもやの1940年代から変わらない『うな重』。さらには、文豪の志賀直哉も愛した江戸前鮨店、蛇の市本店や、『とうめし』で広く知られる純関東風おでんの老舗、お多幸本店など、どれにしようかと悩めるほどに老舗が点在しているのも日本橋の魅力。

もし、和食の気分でなければ『洋風カツ丼』をはじめ、財布に優しいメニューがそろう小春軒だってある。

小春軒(Photo: Time Out Tokyo)

長年愛されてきた老舗ならではの確かな味は、じっくりと味わいたいもの。予約で席が埋まっている場合もあるので、確実に訪ねたい場合は、事前に電話などで確認をしておこう。

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夜も更けたら

今日は夜更かしをせず、満腹になったらケーファイブ(K5)で眠りにつく準備をしよう。

ケーファイブは、1923年に日本最初の銀行として竣工(しゅんこう)した地下1階、地上4階建てのビルをリノベーションした複合施設。客室は20部屋あり、インテリアや空間のデザインは、スウェーデンのストックホルムを拠点に活躍する建築家デザインユニットCKRが担当した。

藍染めのカーテンや、米粒からインスピレーションを得たという和紙のランタンなど、日本の親しみやすい伝統と、モダンなデザインが絶妙なバランスで融合した空間をただ眠るだけに使うのはもったいない。部屋には、あえてテレビを置かず、レコードと古い書籍が用意されているので、今宵は便利過ぎないからこその豊かな時間を楽しんでほしい。

Photo: Keisuke Tanigawa

もし、まだ飲み足りないという人は、部屋へ行く前にライブラリーバー青淵 (あお)に行くといい。25時(日曜・祝日は23時)までの営業で、漢方や茶を使ったカクテルなども提供している。

ライブラリーバー青淵 (Photo: Keisuke Tanigawa)

チェックアウト後は、植物があふれるスイッチコーヒーで一息つこう。土日であれば、そのままケーブマンでランチをし(土日のみランチ営業)、ビーでビールを飲んでから帰るというコースが最高だ。

スイッチコーヒー(Photo: Kisa Toyoshima)

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