文化庁長官の都倉は国際的なキャリアを持つ作曲家であり、海外における日本のイメージについて深い見識を持つ。彼によれば、日本の最大の強みは、その長い歴史と複雑な文化にある。「外国人観光客が日本を訪れるのは、日本が持つ(豊かな)文化的資産に引かれるからです。伝統や制度、習慣など、何世紀も前のものが観光客を魅了するのです」
ベンブナンも、日本文化の魅力に同意し、「細部へのこだわりや職人技、古くからの伝統は、ほかでは見られないものです」と語る。
Facebook社のMetaへのリブランディングや、ロンドンやウィーン、サウジアラビアの首都リヤドにおけるクリエーティブ地区など、地域のブランディングでも知られるベンブナンは、説得力のあるグローバルブランドを作る鍵は日本にあると考えている。「ブランドとは、提供する体験の約束であり、どこへ行っても日本を訪れるという体験は本当に素晴らしいものです」と話した。
しかし、その体験を効果的に伝えることは簡単ではない。都倉は茶の世界の一場面を想起させ、日本人の多くがプロモーションに消極的なことを説明している。
茶道の亭主は、精巧に作られた茶碗に大金を払うかもしれない。彼は茶室にその茶わんを置くものの決してそのことには触れず、知識のある客だけがその茶わんを話題にするのを期待する。そして、たとえその茶わんのことが話題に出てきたとしても、軽くあしらう。