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Photograph: Shutterstock / Takashi Images
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世界中で「東京にしかないもの」とは、海外6都市のタイムアウトスタッフに聞いた揺るがぬ魅力

東京観光財団×タイムアウト東京のタイアップ座談会をレポート(前編)

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タイムアウト東京  Things To Do > 世界中で「東京にしかないもの」とは、海外6都市のタイムアウトスタッフに聞いた揺るがぬ魅力

2023年、コロナ禍が収束し、東京には多くの海外観光客が舞い戻った。これまで何度も人気旅先ランキング上位にランクインしてきた東京だが、人々は何に惹かれこの都市にやってくるのか。タイムアウトの海外都市ライターやエディター8人が集い、座談会を行った。本座談会は東京観光財団とタイムアウト東京のタイアップとして企画され、2024年2月上旬に開催された。今回はその前編だ。

参加したのは、タイムアウト東京の英語版編集長であり、マレーシア出身のリム・チーワ(Lim Chee Wah)、海外のタイムアウト都市からは、イギリスのマーカス・ウェブ(Marcus Webb)、シンガポールのニコルマリー・ナング(Nicole-Marie Ng)、香港のチェリー・チャン(Cherry Chan)、タイのトップ・コアソンブン(Top Koaysomboon)というメンバーだ。そのほか、東京観光財団から山村美穂、タイムアウト東京から東谷彰子、香港出身のウィルケン・ホ(Wilken Ho)などが参加した。

話題は、特に「海外観光客はコロナ禍後の東京へ来るのか」という部分に焦点が置かれ、東京を2回以上訪れたことがあるメンバーたちの口からはさまざまな意見が飛び出した。

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「何度でも訪れたい」と人々を魅了する都市、東京

リム:これまでに何度も人気旅先ランキングの上位にランクインしてきた東京ですが、皆さんはこの都市の何が人々を惹きつけるのだと思いますか?

ウェブ:東京は私が世界で一番好きな都市で、これまで13回ほど訪れてきました。東京は、誰もが「一度は行ってみたい」と思う街であると同時に、わくわくする体験やグルメがあふれ、旅行者たちの期待を裏切ることがありません。そしてひとたび訪れると、みんな「また行きたい」とその魅力に取りつかれてしまいます。

ナング:いつも新しい何かがあるんですよね。オープンする飲食店やお店の数にも驚かされます。まさにトレンドやエンターテインメントの先端を行く都市です。

コアソンブン:私自身は幼い頃から、アニメや漫画、食などの日本文化に親しんできたという要因が大きいですね。

ホ:観光地を訪れると、写真と実際の様子のギャップにがっかりすることがありますが、東京ではそれがありません。景色は本当に美しいし、食べ物は本当においしい。人々が何度でも再訪したくなる気持ちが分かります。

チャン:都会での時間だけでなく田舎滞在も楽しめるなど、日本への旅はいつも新鮮な経験ができ、満足度が高いです。

コロナ禍収束と円安で海外旅行客が急増した2023年

ウェブ2023年に旅行客が急増した背景には、コロナ禍があり、東京へ行きたくてもそれがかなわなかったという人々の反動があるのでしょう。ヨーロッパ方面から見ると、日本は大旅行の最高の目的地です。パンデミック中に旅行資金をためたり、旅の計画を立てたりした人も多かったのではないでしょうか?

コアソンブン:円安の恩恵も大きいですね。私も、前回の旅行時は極端な円安で助かりました。

ナング:シンガポールでは最近、長期休暇を取らない代わり、アジア諸国などの近場へ短期で旅行する傾向が見られます。アクセスの良さを含め、東京は魅力的な旅先として依然人気が高いです。

リム:パンデミックにより、人々の価値観も「将来のために貯金」から「やりたいことは今のうちに」という考えに変化したと思います。清潔、安全、便利な東京への旅行は不安も少ないですし、人気が高いのもうなずけます。

チャン:私は2023年に初めて一人で東京へ行きましたが、とても安全かつ楽しくて、一人旅にもぴったりの街だと感じました。女性の一人旅はもちろん、家族連れやさまざまな年齢層のグループ旅行でも、安全の担保は何より大切です。終電でも安心感がある、スリもほとんどいないという現実に驚きましたね。

ウェブ一人旅という観点から言うと、ラーメン屋など一人でも入りやすい飲食店が数多くあるのもいいですよね。パリのレストランに一人で行くのははばかられますが、東京では一人でも歓迎してもらえるお店ばかりですから。

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古さと新しさ、そして豊かな食文化が入り混じる街

チャン:前回の東京滞在では、「SHIBUYA SKY」や渋谷のスクランブル交差点など現代的な場所の後で、明治神宮や浅草といった伝統的なエリアを訪れました。少し移動するだけでまったく異なる雰囲気を感じられるというのは新鮮な経験でした。

リム:東京都のブランディングコンセプト「Tokyo Tokyo Old meets Newにもあるように、新旧融合は東京の魅力としてよく語られるところですね。海外旅行客から「東京は渋谷や新宿、銀座だけだと思って来てみたら、それ以外の部分が大きく、自然もあって驚いた」という話を聞きます。

ウェブ:東京を歩いていると、都市の中でふと神社や野原が現れて驚きます。また、安全なのに統制されていない面白みがある。私が長く暮らしていたドバイはとても安全で犯罪率も低い都市なのですが、東京のように刺激的な経験はできません。東京では夜も心配なく出歩ける一方、わくわくさせてくれる経験があふれています。ショッピングモールのように統制されているのではなく、都市そのものが安全なのです。巨大都市でありながら、徒歩移動する機会が多いというのも興味深いですね。

ナング:食文化も、東京の美であり魅力です。私は食ありきで旅する人間なので、東京滞在中には高級レストランを事前予約することも多いのですが、数週間後に控えた次回の旅はなりゆきに任せようと思います。以前日本でふと立ち寄ったラーメン屋さんの味が忘れられないのですが、そのように何気なく足を止めた場所が思い出に変わることもありますからね。

ウェブ:高架下に並ぶ飲食店など、東京という大都市で「自分だけの場所を偶然見つける」という感覚は特別なものがあります。地元の人のおすすめを聞いてみるのもいいですね。

東京の唯一無二の魅力とは

ウェブ:グルメやファッションなど「全てを併せ持っている」ことかもしれません。圧倒的な巨大都市でありながら、一度足を踏み入れてみるとさまざまな場所が驚くほどアクセスしやすい。そして「なるべく多くを体験したい」と思わせてくれる都市ですね。

ナング:古着や競馬場、のみの市といった文化も海外旅行客の心を惹きつけます。サステナビリティの観点にもつながりますが、東京の個性的な古着文化はスローファッションとして、特に若い世代にSNSで爆発的な人気を集めています。

コアソンブン:あまり話題に上りませんが、建築物も隠れた魅力です。安藤忠雄やSANAAの建築作品、表参道周辺の建物群、国立競技場、高層ビル群など、東京の建築文化は突出しています。また、伝統美術や現代美術、そしてチームラボを含む東京のアートシーンも素晴らしいです。

リム:アジア諸国では、西欧諸国の著名アーティストの個展などはほとんど開催されません。新宿には「草間彌生美術館」がありますが、草間彌生や村上隆といった日本人アーティストの大規模個展といった機会があるのも、東京の強みですね。

山村:私は東京の中心部で生まれ育ったのですが、今日皆さんのお話を聞いて改めて、東京が「歩きやすい街」だと気が付きました。これは東京の魅力として伝えていきたい部分ですね。

東谷:数年前、マーカスが東京に滞在した時の投稿が印象に残っています。ポテトチップスの写真を載せ、「日本では全てが礼儀正しい」と書いていましたね(笑)。

ウェブ:チップスの袋に「食べてくれてありがとう」とあり、「スナック菓子でさえ礼儀正しいんだな」と思ったんですよ(笑)。礼儀正しさもその都市の魅力となり得ますね。

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グローバル都市の課題、アクセシビリティの拡充

チャン:言語のアクセシビリティに関してだと、東京では充実していると感じました。街の至る所で英語や中国語の表記があるので助かりましたし、英語を話せる人も多かったです。仮に言葉が通じなくても、翻訳アプリを使えば不便はないでしょう。車椅子利用者に対する配慮もさまざまなところで見られました。

ナング:以前、東京旅行中に道に迷ってしまった時には、近くにいた方が目的地まで一緒に歩いて案内してくれました。英語が話せないにもかかわらず、です。

ウェブ:私も同じ経験がありますが、これは東京特有ですよね。ほかの都市では、道を教えてくれる人はいても、道案内までしてくれることはないでしょう。イギリス人の場合、「いき過ぎた親切と思われるのでは」とちゅうちょしてしまうのだと思います。

コアソンブン:日本の入国管理局にはタイ語での案内があり、印象がよかったです。小売店でもタイ語を見かけたことがあります。ただ翻訳の精度は高くなく、意味が伝わらないこともありました。翻訳者を雇うなど、精度のいいタイ語の翻訳サービスなどがあればいいなと思います。

リム:最近、渋谷でハラルフード対応のレストランガイドを見つけました。こうしたサービスをもっと拡充させ、より幅広いタイプの旅行者をサポートすることも必要ですね。キッズフレンドリーな観光地情報など、家族層向けの情報も十分に行き渡っていないと感じます。

後編はこちら

座談会参加者

リム・チーワ(Chee Wah Lim)

タイムアウト東京(英語版)編集長

マレーシア出身。2008年からタイムアウトクアラルンプールの編集長として活躍し、2016年にはタイムアウトシンガポールのディレクターを兼任。同年にデジタル版 ELLE マレーシアを立ち上げ、合わせて 編集長を務める。グローバルメディアをローカライズして展開するエキスパートとして、メンズヘルスマレーシア、 ウィメンズヘルスマレーシアも手がけた実績がある。

マーカス・ウェブ(Marcus Webb)

タイムアウト東京エディトリアルディレクター

タイムアウトのGlobal editor in chiefとして活躍。在任中の2011年に「The Slow Journalism Company」を設立。スロージャーナリズムを提唱する「Delayed Gratification」を創刊し、BBCなど数々のメディアに取り上げられる。2016年、タイムアウトを退社。複数年に渡りBritish Society of Magazine EditorsのIndependent Editor of The Yearに選出されている。

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トップ・コアソンブン(Top Koaysomboon)

タイムアウトバンコク編集長

チェリー・チャン(Cherry Chan)

タイムアウト香港編集部

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ニコルマリー・ナング(Nicole-Marie Ng)

タイムアウトAPACコンテンツディレクター

ウィルケン・ホ(Wilken Ho)

タイムアウト東京編集部

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