ブッキングは戦略的に
ーまず、テレビ局であるWOWOWが音楽フェスティバルを開催することが意外でした。
僕はWOWOWに業務委託として関わって今年で5年目になります。呼ばれた理由としては、WOWOWがこれまでオリジナルコンテンツをあまりやってこなかったこと。特にフェスには手を出してこなかったのでやってみよう、という話のなかで声をかけていただきました。
一ロケハンを重ねるなかで富士山こどもの国を会場に選んだそうですが、富士市からはすぐに協力が得られたのでしょうか。
ロケハンをしてこの場所に惚れ込んでから会場として本決まりするまで約2年かかりました。
会場を借りるにあたって、何度も富士市に通って信頼関係を深めていきました。当初は正規の使用料を支払った上で使わせてもらうかたちでお話をいただいたのですが、私たちがやりたかったのは本当の意味で地域に根ざしたイベントで。富士市の新しいお祭りを一緒になって作りましょうという気持ちを伝えさせていただき、最終的にはお互い持ち寄れるものは持ち寄ろう、というかたちに落ち着くことができました。フェスをやる上で、会場となる地域との協力関係を築けるか否かが最も重要なことと考えます。
吉原山妙祥寺の副住職さんがジャマイカンミュージックのセレクターとして日本でも有名な方で、ぜひ『FUJI&SUN』で地元の音楽のルーツを語ってもらいたいと思い、トークショーに出演していただきました。この富士市で長く継続していくことが目標なので、地元に愛されるフェスになれるよう心がけました。
一お客さんは、どういった層をターゲットにしているのでしょうか。
やはり30〜50代で昔クラブとかでちょっと遊んでいた人たちが、子供を連れても遊べるように。アクティビティやワークショップの内容は、個人的に山にハマっていることもあり、自然から学んだり気づきを得ることができるような内容にしたかった。『NEW ACOUSTIC CAMP』にも関わっていたので、キャンプやアウトドアに対する需要も把握していました。あとは、仲間たちとたくさんのフェスを作ってきたこの20年間の総決算でもあります。
ー出演アーティストのラインナップは、通好みなクラブミュージックとメジャーなライブアクトとがバランス良く配されています。
初日のトリを飾ったエルメート・パスコアール&グループ
そうですね。ブッキングに関してはバランス感覚を重要視しました。まずエルメート・パスコアールを軸にして、彼に影響を受けたアーティストに出演依頼をしていった、という流れです。今は春でも競合のフェスが多いので、初開催の我々は、キュレーションは特に慎重に進めないといけない。