1932年創業の「黄金湯」が大改装を行ったのは2020年のこと。年季が入ってはいるが活気に満ちた憩いの場だった公衆浴場が、モダンな銭湯とビアバーが融合した施設に生まれ変わった。総合プロデュースを担当したのはアーティストの高橋理子、設計はスキーマ建築計画の長坂常。歴史ある銭湯の魅力を引き継ぎつつ、現代的なデザイン性を導入した。
入り口の引き戸を開けるとすぐに目に入るのが、クラフトビールのタップを備えたフロントだ。ここは入浴料を支払ったりタオルをレンタルする番台でもあり、湯上がりにうれしい冷えたビールを提供するバーでもある。さらにDJブースも兼ねており、コンクリート打ちっぱなしの室内に心地よい音楽を響かせている。
男湯と女湯は壁で仕切られているが、浴室の奥に描かれた富士山の絵は、どちら側からも眺めることができる。この作品は漫画家のほしよりこによるもので、ここが親交を育む場になるようにとの願いが込められている。脱衣所にはアーティストの田中偉一郎によるのれんが掛けられ、そこに書かれた「お〜い」という文字が心を和ませる。
湯船は複数あり、それぞれ温度が異なる。サウナで芯から温まった後は、開放的な外気浴スペースでクールダウンしよう(通常は男湯のみ、水曜日のみ男女入れ替え)。