人がいないキャットストリートを見て出店を決意
―コロナ禍が続き、飲食店が大きな打撃を受けるなか、なぜ2店舗目を開こうと考えたのでしょうか。
まず、総本店は下落合の住宅街の閑静なエリアにあって、お客さんも地元の方が多いので、ありがたいことにコロナの影響はそれほど大きくありませんでした。お客さんからの反応も良く、手ごたえを感じるなかで、昨年7月ごろから2店舗目を出そうと考え始めました。
もともと2024年にアメリカのニューヨークに進出しようと考えていて、その前にビジネス戦略上のクサビとなるお店を出したかったんです。それで新宿、代官山、浅草なども検討しましたが、伊良コーラはもともと国連大学前のファーマーズマーケットに出展していて渋谷に縁がありましたし、その時からよそ者を受け入れてくれる文化があると感じていたので、メジャーデビューの地としてキャットストリートを選びました。
―この時期に、キャットストリートの一等地に出店することに躊躇(ちゅうちょ)はありませんでしたか?
物件を見たのが2020年の12月で、本当に今でいいのか、この場所でいいのか、やっていけるのかと、すごく悩んでモヤモヤしているうちに、2回目の緊急事態宣言が発令されました。それで、キャットストリートの様子を見に行くと、歩いている人がほぼいなくて、「こんなに寂しい感じになるんだ」と驚いたんです。
この様子を見て、コーラの歴史を思い出しました。コーラは、南北戦争が1865年に終わった後、まだ国が混とんとしていた1886年にアメリカのアトランタで誕生したものです。
その後の禁酒法の時代(1920~1933年)には、お酒に代わる存在として、人々に喜ばれたそうです。その歴史を振り返った時に、「コロナで混乱が続いている今だからこそ、出店しよう」と決めました。