1. パルプ・フィクション(1994年)
本作が1位に選ばれるのは当然で、明確な理由がある。「パルプ・フィクション」は、歴史上ほんの一握りしかない、ある世代と別の世代を分ける境界線となる映画の一つなのだ。
この個性的な犯罪者の視点から描かれた作品は「映画オタク」を有名人にし、セリフの多い脚本を富に変えた。そして、時間軸がばらばらの物語を一般化させ、それが一つのジャンルであると言っても過言ではないほど、多くの模倣作を生み出した。まさに、前の世代と後の世代を明確に分ける、稀有な作品となったのだ。
1990年代を代表する映画でありながら、時代や場所にとらわれた感じがしない。まるでカフェインを摂り過ぎたかのように高揚しているタランティーノの頭の中には、フランスのヌーヴェルヴァーグから無名のカンフー映画、「サタデー・ナイト・フィーバー」にいたるまであらゆるクレイジーでクールな影響が渦巻いていて、それらを吸収し、混ぜ合わせ、外部に投影しているのだ。
彼は、不朽で不滅のクールさを自ら作ることに成功した。そしてそれは、太陽が爆発して地球がなくなるときまできっとクールのままであるはずだ。ただ一つ、彼自身のカメオ出演は良くなかった。残念だが、あのシーンは決してクールとはいえない。