クエンティン・タランティーノ映画 ベストランキング
"Kill Bill Vol. 1"
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クエンティン・タランティーノ映画、全作品ランキング

映画界が誇るオタクが、最後の映画を準備中だ。これまで制作したすべての作品をタイムアウトがレビュー

テキスト:: James Balmont
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クエンティン・タランティーノは、映画の真の信仰者である。もちろん、ほとんどの監督は映画に対して深い情熱を抱いているが、スクリーンに映し出すもの全てに、その情熱を彼ほど直接的に詰め込んでいる人はいないだろう。

彼は30年以上の間に10本の映画を製作している。犯罪や戦争ものをはじめ、カンフー、昔懐かしいグラインドハウス、西部劇などさまざまなジャンルを手掛けてきた。「タランティーノ作品」は、もはやそれ自体が1つのジャンルであるかのようだ。彼の映画には引用される台詞が多く、流血シーンが随所にあり、ありえないほどクールなキャラクターに加えクールな音楽、そして何よりも、そもそも映画を作れるということに対する偽りのない愛に満ちている。

ただ、彼の映画オタクっぷりに引き込まれる人が多い反面、耳障りだと感じる人も同じくらいいるだろう。そこで、彼の10作目(「キル・ビル」の数え方によっては11作目)であり、最後の作品と報じられている「The Movie Critic」の製作が発表されたのを機に、全作品を批評しつつランク付けしようと思う。

この新作を最後に映画監督を引退すると宣言しているが、「本当に引退」するまで、このリストを何度か更新しなければならないかもしれない。

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1. パルプ・フィクション(1994年)

本作が1位に選ばれるのは当然で、明確な理由がある。「パルプ・フィクション」は、歴史上ほんの一握りしかない、ある世代と別の世代を分ける境界線となる映画の一つなのだ。

この個性的な犯罪者の視点から描かれた作品は「映画オタク」を有名人にし、セリフの多い脚本を富に変えた。そして、時間軸がばらばらの物語を一般化させ、それが一つのジャンルであると言っても過言ではないほど、多くの模倣作を生み出した。まさに、前の世代と後の世代を明確に分ける、稀有な作品となったのだ。

1990年代を代表する映画でありながら、時代や場所にとらわれた感じがしない。まるでカフェインを摂り過ぎたかのように高揚しているタランティーノの頭の中には、フランスのヌーヴェルヴァーグから無名のカンフー映画、「サタデー・ナイト・フィーバー」にいたるまであらゆるクレイジーでクールな影響が渦巻いていて、それらを吸収し、混ぜ合わせ、外部に投影しているのだ。

彼は、不朽で不滅のクールさを自ら作ることに成功した。そしてそれは、太陽が爆発して地球がなくなるときまできっとクールのままであるはずだ。ただ一つ、彼自身のカメオ出演は良くなかった。残念だが、あのシーンは決してクールとはいえない。

2. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年)

生きたまま人が火炎放射器で焼かれるシーンで終わる映画について、こう言うのは奇妙に思えるが、これはタランティーノの作品の中でも、最も静かで最も瞑想的、そして、最も個人的な作品だ。

彼の映画は全て、結局のところ多くのこだわりや強迫観念を描いたものになっているが、本作は彼にとって本当に重要なもの、つまり「青春時代のロサンゼルス」よく言われる1960年代の古き良きハリウッドの魅力が描かれている。

しかし、「Once upon a time(むかし、むかし)」というタイトルの言葉が示すように、これはおとぎ話だ。描かれているのは、カルト集団、チャールズ・マンソン・ファミリーによる殺人事件が起こらなった世界、すなわちハリウッドが輝いていた時代が永遠に、もしくは現実よりもほんの少し長く続く世界だ。これは、歴史を修正するということではない。タランティーノにとって歴史を保存するということなのだ。

いつも通りの血なまぐさいクライマックスは残念である。というのも、そのシーンまでは、情報を詰め込み過ぎた映画オタクの脳みそとは対極にある、彼の心の中に入ることが最も許されていたからだ。結論、タランティーノの心の中で、3時間過ごすのも悪くはない。

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3. レザボア・ドッグス(1992)

タランティーノのデビュー作。冒頭のシーンは、ニルヴァーナの伝説的ヒット曲「Smells Like Teen Spirit」における、サビの大音量に行き着く前の穏やかで静かな前奏の、1990年代映画版と言える。そこでは、ギャングたちがダイナーのテーブルを囲み、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の意味について議論し、チップを払うことについて言い争っている。

このオープニングは今では大したことではないように思える。話の筋立てとしては、この後、タランティーノがかつて働いていたレンタルビデオ店で吸収したキューブリックの映画「現金に体を張れ」や、フィル・カールソンの「アリバイなき男」などの強盗映画や古いフィルム・ノワール作品を寄せ集めたかのような展開となる。

しかし、常習的犯罪者たちがポップカルチャーに取り憑かれた元ビデオ店の店員のように会話をしているというアイデアは衝撃的で、90年代のインディーズ映画革命の幕開けを告げているかのようだ。

ニルヴァーナのアルバムに例えると「パルプ・フィクション」は、爆発的に売れたセカンドアルバム「ネバーマインド」で、「レザボア・ドッグス」はファーストアルバム「ブリーチ」に相当する。つまり、後に生み出される傑作に向けて注目を集めるための序章だったのだ。

といっても、タランティーノの際立った特徴は本作ですでに見ることができる。「2作目を作らせてもらえるかどうかわからない」といった、初めて映画を作る者の不安な気持ちが神経質なエネルギーとなって、そうした特徴を生み出しているのだ。

4. ジャッキー・ブラウン(1997年)

映画「ジャッキー・ブラウン」は、多くの点でタランティーノ映画らしくない。エルモア・レナードの小説「ラム・パンチ」を原作としているため、全てを自分で考えたわけではない唯一の作品だ。他の作品と比べてタランティーノ的な要素に欠けているのは、最初からそのつもりだったとも言えそうだ。

物語は直線的で、会話はほぼ筋書きに沿って交わされ、作品の雰囲気は、もう少しで意識がもうろうとなるくらい、やたらに甘い。何より、監督の風変わりな個性が二の次になり、役者優先の映画となっている。

パム・グリアの演じる主人公は、甘い食前酒のように言葉が巧みで、冷酷な武器商人オルデル・ロビー(サミュエル・L・ジャクソンが、最も彼らしい)のために運び屋として働く客室乗務員。彼女と恋に落ちる保釈保証人を演じているロバート・フォースターは、不愛想だが魅力的だ。そういえば、ロバート・デ・ニーロは登場シーンの大半を、ソファでボングを吸って過ごしている。完璧だ。

グリアとフォースターの間の偽りのない互いを思いやる気持ちのおかげで、生き生きとしたものとなった。タランティーノのこれだけ上質な映画は、本作の前にも後にも見ることはできない。

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5. キル・ビル Vol.1(2003年)

常に時代の先端を行くタランティーノは、ハリウッドがビジネスに活用するずっと前から、「2部作」を採用している。「ハリー・ポッター」「トワイライト」「ハンガー・ゲーム」など、その後登場する多くの2部作とは異なり、「キル・ビル」の1作目は、決して2作目につなぐための映画などではない。

本作でも、タランティーノは、当然のように往年のカルトクラシック作を意識。藤田敏八が1973年に監督したセンセーショナルな低予算映画「修羅雪姫」から、雪の中での剣戟を引用した。

ユマ・サーマン演じる「ザ・ブライド」が自分を殺そうとした元恋人(デヴィッド・キャラダイン)に復讐するという2部作を通じた設定は、困難で手間のかかるものとなった。それにもかかわらず、本作は続編よりも印象的なものとなった。「クレイジー88」の登場するシーンは、その頂点と言える。

サーマンは、自動車事故で死にかけたことなど、撮影現場での辛い経験について隠そうとしなかった。そうした言いようのない不安が彼女の鬼気迫る演技に現れているのだろう。

6. イングロリアス・バスターズ(2009年)

タランティーノはキャリアの前半では、忘れられたスターを「歴史のゴミ箱」から救い出すことに喜びを感じていたが、本作では歴史そのものを書き換えることを始めた。最初の対象はなんとも壮大なことに、第二次世界大戦だ。

表向きはユダヤ人の復讐劇だが、本作が実際に描いているのはいつものようにファンタジーである。結局のところ、これは文字通り、映画が世界をナチズムから救う作品だ。

ブラッド・ピット演じるアメリカ人のナチスハンター、アルド・レインが映画のラストシーンで(ドイツ兵の額にナイフでかぎ十字を刻みつけ)「これは私の最高傑作かもしれない」と言うが、彼が本当は誰のためにそう言っているのか、我々は皆知っている。

正直、「最高傑作」という評価はしないが、クリストフ・ヴァルツが床下にユダヤ人家族を隠しているフランスの農夫を威嚇する有名な冒頭の場面をはじめ、個々には素晴らしいシーンがいくつかある。

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7. キル・ビル Vol.2(2003年)

伝統的な映画にこだわる人は、「キル・ビル」2部作の中では本作の方が完成度が高いと主張する。

しかし、実際のところ2部は、会話が1部よりもレベルアップしており、ストーリーもより巧みに展開されてはいるが、アクション満載の1部ほど記憶に残る作品ではない。

茶室での刀剣乱舞、アニメーションシーン、黄色のシボレー「プッシーワゴン」の代わりに登場するのは、目つぶし、棺桶からの脱出、ビル役のデヴィッド・キャラダイン。まあ、どれも素晴らしいが、マニアックな面白さは感じない。

マカロニウエスタン風の演出は、その後のタランティーノ作品の中核をなすものとなったが、1部のワイルドな日本びいきの演出に比べ、ぞくぞく感がいまひとつだ。

8. ヘイトフル・エイト(2015年)

テレビ西部劇の名作をオマージュした本作は、流血シーンの多い、犯人探しの複雑な推理劇で、まるでアガサ・クリスティが強い密造酒を何杯が飲んだ後に書いたようなストーリが展開される。

スクリーンでの公開は70ミリフィルムによる映写となり、かつての映画全盛期時代を体験できる「タイムマシン」となった。

途中、休憩時間があるのは、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ティム・ロス、ブルース・ダーンなど、目をぎらぎらさせ銃を手にして怒った者たちがしゃべりまくり、撃ちまくる3時間を、一度中断する必要があったためである。

しかし、本作はほかのタランティーノ映画と同様に、決して退屈なものではない。ただ、閉所恐怖症になりそうな閉ざされた場所という設定と、エンニオ・モリコーネの不吉な音楽のおかげで、タランティーノの独善的な感性を押しとどめておくことに失敗している。

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9. デス・プルーフ(2007年)

タランティーノはロバート・ロドリゲスと組み、1時間のB級映画2本を1つの作品としてパッケージ化した「グラインドハウス」を作った。この取り組みは素晴らしいアイデアだったが、興行的にはうまくいかなかった。

ロドリゲスが監督したゾンビ映画「プラネット・テラー」とタランティーノのカーアクション満載の「デス・プルーフ」は、個別の長編作品として再編成されたが、それぞれの作品に大きなダメージを与えてしまったと言える。

しかし、「デス・プルーフ」にはたくさんの魅力がある。例えば痛快なカーバイオレンス、そしてスミスやジャック・ニッチェ、デイヴ・ディー・グループなどが参加したサウンドトラック。ロザリオ・ドーソン、復活を遂げた1980年代のアクションスター、カート・ラッセルなど、キャストも素晴らしい。ラッセルは、凶暴でナチョスをガツガツ食べるスタントドライバーの悪役を好演している。

10. ジャンゴ 繋がれざる者(2012年)

タランティーノの厚かましさは評価できる。ほかの有名な白人の監督が、同じことをするか想像してほしい。南北戦争前の南部に住む黒人が、かつて自分を奴隷にした人々に超暴力的な復讐をするという、マカロニウエスタンとアフリカ系アメリカ人向け映画を合体させた映画というアイデアを売り込み、実際に製作までこぎつけたのだ。

しかし、本作の存在が大胆なものであるというだけでは、この映画が抱える大きな問題点の言い訳にはならない。一言でいえば、本作の良さを打ち消してしまうくらいクール過ぎるのだ。 「イングロリアス・バスターズ」のように、タランティーノは虐げられた集団に極端な形のカタルシスを与えたかったのだろう。

しかし、漫画のような暴力、ヒップなサウンドトラック、軽妙な台詞といった彼の美学は、残虐行為を矮小化し、歴史的な辛苦を超大作エンターテインメントに変えただけだった。人種問題を題材にした映画ではあるが、苦しめられてきた人々を食い物にしているという批判をかわすのは、かなり難しいだろう。

映画好きなら……

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日本人が映画館に足を運ぶ平均ペースは「年1」なのだという。これはアメリカと比較すると4分の1の回数で、「日本人はあんまり映画館には行かないんだナァ」という小学生並みの感想を思わず述べてしまうが、そんなふうに映画鑑賞がけっして盛んとはいえない我が国において、常に話題をかっさらい続けている一大ジャンルがある。「漫画の実写映画」だ。

漫画の実写映画は、SNSにおけるトレンドの常連であり、ファンにせよアンチにせよ「これについて何かひとこと言わなくてはならない」という高いコメント誘発性を持っている。「好きの反対は無関心」という陳腐なテーゼを持ち出していえば、漫画の実写映画こそまさしく国民的な関心事のひとつといえるであろう。いわば祭りだ。

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ホームシアターが当たり前になった昨今。映画館はというと、自宅では味わえないより特別な体験を提供すべく日々進化している。IMAXや4DXなど上映システムの発展が目覚ましい一方で、鑑賞スタイルも選択肢が増えている。

ここに紹介する映画館では、革張りのリクライニングシート程度は当たり前で、鑑賞前後の時間を専用ラウンジでシャンパンを飲みながら過ごせるプランや、家族みんなで寝っ転がれるフラットシート、カップルシートだけの劇場など、ほかにはない映画体験が味わえる。記念日や家族サービスに、はたまたデートの誘い文句に最適な、都内および東京近郊の映画館を紹介しよう。

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「ロマンチックコメディ」が嫌いな人はいないだろう。もちろん映画ファンの中には、このジャンルを鼻にかける人も大勢いる。しかし、そんな映画通は、週末の午後、ケーブルテレビでナンシー・マイヤーズやノーラ・エフロンを見かけると、本当は家の中でブラインドを閉めて携帯電話の電源を切っているに違いない。

恋愛は千差万別で、ロマンス映画もまた然りである。ここでは、タイムアウトが選んだ「史上最高のロマコメ70選」から1990年代以降の作品に絞り、30選で紹介。甘ったるい作品を好きじゃないふりをしている人でも、きっと気に入る作品が見つかるはず。

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