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日本人アーティストのドキュメンタリー6選

草間彌生や宮崎駿など、映像作家と建築家、音楽家の人生に迫る

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伝統的な水墨画や浮世絵、陶芸など日本美術の分野は多岐にわたる。建築家やアニメーション作家、ミュージシャンなど数多くのアーティストが、世界に大きな影響を与え続けている。

ここでは、日本が誇る巨匠たちを特集したドキュメンタリーをセレクトした。作品の中ではアートの枠を超え、アーティスト一人一人の心の中を垣間見ることができるだろう。既存の概念にとらわれず、それぞれの分野に変革をもたらしてきた彼らの世界観や人生を一緒にたどってほしい。

紹介する作品はAmazonプライム・ビデオやVimeoなどでオンライン配信されているので、Netflixのラインアップに飽きてしまった人にもおすすめだ。

『夢と狂気の王国』

魅力的なキャラクターたちと詩的なストーリーで世界中の視聴者を魅了するスタジオジブリ。『となりのトトロ』や『ハウルの動く城』『千と千尋の神隠し』など、誰もがお気に入りのジブリ作品を一つは言えるはずだ。

『夢と狂気の王国』は砂田麻美がスタジオの一年を追い、ジブリの内幕に迫ったドキュメンタリー。「ジブリ王国」を代表するのはもちろん宮崎駿だが、宮崎の人生と哲学に30年間寄り添ってきたプロデューサーの鈴木敏夫、盟友でありライバルでもあった高畑勲もジブリの核となる重要な存在だ。

本作の撮影時は『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』の2本の長編映画の公開を控えていたジブリだが、同時期に宮崎の引退も宣言された。カメラはジブリの中心人物である3人の人間模様と、アニメ制作に携わるスタッフたちの奮闘や日常を淡々と捉えている。厳しくも愛にあふれた宮崎の人間性にも感動するだろう。

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『草間彌生∞INFINITY』

日本を代表する前衛芸術家、草間彌生を追ったドキュメンタリー。草間の代名詞でもある水玉模様のキャンバスや彫刻、インスタレーションは長い年月をかけて世界で評価されるようになり、現在でも多くの人を魅了している。

監督のヘザー・レンツは本作の中で、草間の人生は波乱そのものだったと説明する。戦争を体験し、保守的な家庭環境の中で育った草間にとって、アートが処方箋であり生きがいだった。

草間が統合失調症を患いながら、幻覚や幻聴を経験しそれを作品に表現したことは有名な話だが、その要因となったのは幼少時代からのトラウマや苦悩だったのだ

家族から逃げるように草間は1960年代に渡米。ニューヨークに拠点を置くが、当時のアートシーンにまん延していた性差別そして人種差別という新たな課題に直面する。本作は、草間が生涯どのようにして戦い続け、さまざまな葛藤の末に世界で最も成功した女性アーティストの一人になったかをひもといた傑作だ。

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『アバーヴ・アス・オンリー・スカイ』

ジョン・レノンの代表曲といえば間違いなく『イマジン』だろう。1971年のアルバム『イマジン』に収録されたこのタイトル曲は、彼のソロキャリアの中で最も成功した歴史的名曲だ。

マイケル・エプスタインが監督した『Above Us Only Sky』は、このアルバムの制作過程に注目しながら、ジョンとオノ・ヨーコのロマンチックで芸術的な人間関係を探った作品。

イマジンの最初のデモなどの未公開音源や、スタジオで一緒に制作するジョンとヨーコ、共同プロデューサーのフィル・スペクターやジョージ・ハリスン、若き日のジュリアン・レノンなどの貴重なインタビューを織り交ぜながら、アルバム制作の裏側にある知られざるストーリーを描いている。

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『Ryuichi Sakamoto: CODA』

作曲家であり世界的に尊敬されるピアニスト、坂本龍一の音楽的探求をたどるドキュメンタリー。スティーブン・シブルが監督を務めた本作は、2012年から約5年間にわたって坂本に密着して撮影された。

近年の原発反対運動家としての活動や、がんとの闘病生活、そしてアレハンドロ・イニャリトゥ監督作『レヴェナント 蘇えりし者』での復帰...…。本作はYMO時代の活躍や、映画音楽作曲家としての功績などを振り返りながら、坂本の人生においても重要なチャプターに迫っている。

東日本大震災をきっかけに、坂本の音楽表現や日常は大きく変化した。そこには、平和を愛する坂本だからこそ感じた社会への怒り、自然への畏敬の念が垣間見える。「天才」と評される坂本龍一の深い人間性に感銘するだろう。

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『From Emptiness to Infinity』

2013年にドイツのテレビで公開されたドキュメンタリー。日本を代表する建築家、安藤忠雄の40年に及ぶキャリアに目を向け、安藤の建築物や創作過程の紹介、彼のインスピレーション源について迫っている。

安藤はプリツカー賞をはじめ、建築界で最も権威のある四つの賞を受賞した建築家だ。彼の「ミニマリズム建築」はコンクリート打ち放しの大胆なデザインが特徴。周囲の風景との調和や自然光の利用、日本の伝統的な建築美学とモダニズムをシームレスに融合させている。

残念ながらドキュメンタリーの日本語版はないが、安藤本人のインタビューは日本語で聞くことができる。

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『キューティー&ボクサー』

2013年のアカデミー賞にノミネートされた、ザッカリー・ハインザーリングのドキュメンタリー作品。ニューヨーク在住の日本人アーティスト「ギュウちゃん」こと、篠原有司男と妻の乃り子の波乱に満ちた結婚生活を赤裸々に描いている。

篠原はグローブに絵の具を付け、キャンバスを殴りつけながら描く「ボクシングペインティング」で知られる前衛アーティストだ。80歳を超えた今も創作することをやめず、ニューヨークで活動を続けている。

一方20歳年下の妻、乃り子は自身の画家としてのキャリアを犠牲にして、エキセントリックな夫のアシスタントをしてきた。何十年も夫を支えその影に隠れていたが、ついに自分の芸術的なアイデンティティーを取り戻そうと、夫婦による二人展を企画する。

決して裕福ではない二人のアーティストとしての葛藤、そして夫婦という複雑な人間関係を暖かくつづったラブストーリー。

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