──今回の展示はどういう経緯だったのでしょう?
「グラビア印刷」という印刷の方法があるでしょう。一昨年に凸版印刷が、グラビア印刷の巨大な機械を全部撤去して破棄することになったわけよ。というのは、グラビアはオフセットに比べてすごいコストがかかるのね。
印刷業界でグラビアを存続していくというのがちょっと難しくなってきて、凸版印刷もほかの印刷の方式に変えるという時期が来たわけ。それで集英社の方が機械を撤去するまでの約2カ月で記念的なものを作りたいって発案し、僕が相談されて始まったんだ。
──グラビア印刷の最後の作品になったということですね。
そう。入り口に機械がページをめくっている大きな本があるでしょ。あの本がグラビア印刷の最後の印刷物。一応記念碑的なものだね。
「TANAAMI!! AKATSUKA!! / That‘s all Right!! 」
──今回、2カ月で20点製作されたと聞きました。一つの作品を仕上げるのにどのくらいかかるのでしょうか?
早いよ。すぐできるよ。僕の作品は全部バラバラに描いてあって。一つの絵は大体50とか、多いと100ぐらいのアイテムで構成されている。コラージュされてるわけよ。 アイテムごとに手描きで描いておいて、50枚なら50枚の細かいアイテムを組み合わせる。それで1枚のものにして、最終的にはコンピュータで仕上げるんだ。
──かなり体力がないとできない作品だなと感じるのですが、普段はどんな1日を過ごしてらっしゃいますか?
僕は結構規則正しいのよ。アーティストでそういう人は少ないと思うんだけどさ。朝起きたら散歩して、アトリエに行って描くでしょ。夕方になったら家に帰るんだけど、ずっと絵を描くだけじゃなくて、いろいろ原稿書いたりさ。結構時間がきっちりしていないと駄目なのよ。
若い時はそうでもなかったけど、ある年齢に達してからは規則正しくやる方がいいわけよ。若いころ徹夜はしょっちゅうしていたけど、効率が悪いんだよね。翌日が使いものにならないから。