北川民次展―メキシコから日本へ
北川民次《瀬戸市立図書館陶壁原画 勉学》1970年 瀬戸市美術館
北川民次《瀬戸市立図書館陶壁原画 勉学》1970年 瀬戸市美術館

東京、9月に行くべきアート展5選

ルイーズ・ブルジョワの大規模個展から、北川民次やフェミニズムをテーマにした展覧会まで

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ここでは、2024年9月に東京で行くべきアート展示を紹介。六本木のシンボルともいえる蜘蛛の彫刻『ママン』を手がけた彫刻であるルイーズ・ブルジョワの大個展が27年ぶりに、「森美術」で行われるほか、20世紀に活動した革新的な画家、北川民次の生誕130年を記念する展覧会など、見逃せないアート展をセレクトした。このリストを片手に、お気に入りの作品のイベントへ訪れてみては。

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  • アート
  • 竹橋

テクノロジーの登場は、美術の歴史に大きな変化をもたらした。ビデオやカメラの普及もその例外ではない。最新の機器を巧みに手にし、社会に問いを投げかける発信者となった女性アーティストたちは、どのようにして自身の違和感を記録し、メッセージを発信したのか。

「国立近代美術館」で開催される「フェミニズムと映像表現」は、1970年代から現代までの女性作家による映像作品を4つのキーワードに分けて紹介する。フェミニズムと映像作品というテーマを通じて、時代によって移り変わる女性と映像の関係を丁寧にひもといていく。

展示作家には、テレビの料理番組をパロディー化した『キッチンの記号論』で家庭内労働や家父長制への違和感を示したマーサ・ロスラー(Martha Rosler)や、都市の雑踏の中で直立不動に立ち、自らを異質な存在として際立たせたキムスージャ(Su ja Gim)をはじめ、塩田千春、ジョーン・ジョナス(Joan Jonas)、出光真子など、フェミニズムと映像を語る上で欠かせないアーティストたちが名を連ねる。

自分の体や存在を取り戻すことを試みた女性アーティストたちの作品を通じて、現代におけるフェミニズムの新たな視点を考察する機会となるだろう。

  • アート
  • 六本木

江戸を拠点に独自の風俗画を描いた絵師、英一蝶(はなぶさ・いっちょう・1652〜1724年)の没後300年を記念した企画展が、六本木の「サントリー美術館」で開催される。最新研究を踏まえた過去最大規模の大回顧展だ。

菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、ユーモアあふれる戯画から、狩野派絵師としての高い技量をうかがわせる謹直な作品まで幅広く描いた一蝶の活動を、包括的に紹介する。特に注目したいのが、近年発見され、本邦初公開となる仏画「釈迦十六善神図」で、非常に精巧で美しい名品だ。また、「多賀朝湖(たがちょうこ)」と名乗っていた時代に描かれた「雑画帖」が、一蝶展で初めて三十六図全て展示される。

本展を通して、一流絵師としての一蝶の画業をたどりながら、俳諧師であり、吉原の遊郭で宴席を盛り上げる太鼓持ちでもあったユニークな人となりにも触れてほしい。

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  • アート
  • 用賀

20世紀に活動した革新的な画家、北川民次(1894〜1989年)の生誕130年を記念する展覧会「北川民次展―メキシコから日本へ」が「世田谷美術館」で開催される。20歳で渡米した北川は、キューバを経由してたどり着いたメキシコで新進画家・教育者として活躍。その後、メキシコで盛んだった「壁画運動」に影響を受け、メッセージ性の強い作品を生涯を通じて作り続けた。

はっきりとした輪郭線、簡略化された細部、デフォルメされた形態、そしてシンプルな構成が特徴で、社会に対する北川の鋭い視線が画面に常に注がれている。帰国後は、東京・池袋を経て愛知・瀬戸に居を構え、陶器生産の活気溢れる瀬戸の人々とその生活を終生温かく見つめ、共感を持って描いた。一方、絵画を通して社会批判をする先駆的な画家として一つの道を切り開き、安保闘争や公害問題などの多くの問題を議題とした作品制作に挑み続けた。

約30年ぶりの回顧展となる本展では、北川の油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点に加え、1920~30年代メキシコの多様な芸術動向に関する資料や当時交流した芸術家たちの作品も展示される。北川の軌跡を多角的に紹介する本展で、彼の芸術とメッセージを再発見してみては。

  • アート
  • 府中

「府中市美術館」で、アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha、1860〜1939年)を特集する展示「アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界」が開催。版画や油彩画をはじめ、貴重な下絵などを公開する。

ミュシャは、世紀末パリを鮮やかに彩るポスターの数々を生んだデザイナーであり、壮大なテーマを重厚な油彩で表した画家だ。2つの顔を持つ芸術家であると捉えられているが、その両方に共通しているのは、どんな素材を扱っても「ミュシャ風」にする圧倒的な造形力である。本展では、そんなミュシャ最大の魅力である造形の力を解き明かしていく。

なお、期間中の2024年10月12日(土)~14日(月)は「市民文化の日」のため、誰でも無料で観覧ができる。ミュシャファンは見逃さないように。

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  • 六本木

「アートは心の健康を保証するもの」という言葉を遺した、女性彫刻家のルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)。六本木ヒルズのシンボルとも言える、クモのパブリックアート『ママン』の作者であり、没後もなお世界各地で注目されているブルジョワの大規模個展が「森美術館」で開催される。

パリに生まれ、抑圧的で男性中心主義的な父親が支配する複雑な家庭環境で育ったブルジョワは、結婚を機にニューヨークへ移住。40代から本格的に彫刻制作に取り組んだ。

家族についてや女性であること、男性への恐れ、母や子どもへの愛情など、自身の複雑な感情や苦悩を創作活動へと昇華させていった。ブルジョワの展覧会が国内で開催されるのは27年ぶり。しかも今回は、20代後半から30代に手がけていた絵画作品がアジアで初公開される。

98歳で亡くなるまで創作活動を続けたブルジョワの半生を、じっくりとたどってみよう。

9月の予定を立てるなら……

  • アート

アートにあふれる街、東京。本記事では、残暑に負けず出かけたくなる無料のアートイベントを紹介する。

東アジアの写真芸術を広く取り扱ってきた「禅フォトギャラリー」の開廊15周年を記念した展覧会をはじめ、19世紀の写真技法「アンブロタイプ (ambrotype) 」を用いた山本昌男の個展、英語圏における最古の公共図書館である「チータムズ図書館」など歴史的建造物を題材にした寺崎百合子の個展など、入場無料で楽しめるギャラリーや美術館の展示を揃えた。ぜひチェックしてみてほしい。

  • アート

芸術の秋はアニメと漫画を深掘りしよう。ここでは、2024年9月に東京で行くべきアニメ展示を紹介。ハローキティの生誕50周年を祝した没入型体験イベントや、大人気シリーズ『オーバーロード』の作品初となる大規模展覧会、数々のサッカー選手に多大な影響を与えたアニメ『キャプテン翼』の「小学生編・中学生編」と「ジュニアユース編」を中心とした企画展などが開催される。

このリストを片手に、お気に入りの作品のイベントへ訪れてみては。

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