エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし
Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation © 1969, 1987 Penguin Random House LLC. | 『はらぺこあおむし』 表紙最終原画 1987年 エリック・カール絵本美術館
Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation © 1969, 1987 Penguin Random House LLC.

東京、4月に行くべきアート展5選

マルタン・マルジェラから森英恵、ロン・ミュエクまで

Chikaru Yoshioka
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2026年4月、東京のアートシーンは見逃せない展覧会であふれている。

森英恵の回顧展やロン・ミュエクの大型個展といった美術館での見応えある展示に加え、マルタン・マルジェラの日本初個展や『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールの展覧会など、幅広い層に開かれた内容も揃う。ここでは、多層的なアートの広がりを体感できる5つの展覧会を紹介する。

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1927年に完成した登録有形文化財「kudan house」を舞台に、アーティストとして活動するマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)の日本初となる大規模個展「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」が開催。歴史ある邸宅という空間と現代美術を対峙(たいじ)させることに強い関心を寄せるマルジェラは、建物全体を舞台に、数多くの作品を一時的なインスタレーションとして展開する。

再利用・分解・変容といったテーマへの探究を一貫して続けてきたマルジェラにとって、人間の身体は今なお重要なインスピレーションの源であり続けている。作品は、日常の中にありながら見過ごされがちな物や状況への鋭い観察から生まれ、平凡なものを非凡な存在へと変容させていく。

本展の展示構成およびキュレーションは、全てマルジェラ自身が手がける。会場では、コラージュ・絵画・ドローイング・彫刻・アッサンブラージュ・映像作品など、多様な技法による作品が登場。生活の痕跡が色濃く残る古い邸宅に作品を設えるという選択は、アーティストにとって重要な「私的な空気感」を反映したものでもある。

鑑賞者は、さまざまな部屋を巡りながら、親密な距離感の中で作品と向き合う。歴史と現代、私的空間と表現が交差するこの場所で、マルジェラの思考と美学を体感する特別な時間が待っているだろう。 

  • アート
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「国立新美術館」で、アジア人で初めてパリ・オートクチュール正会員となり、日本のファッションをリードした森英恵(1926〜2022年)の回顧展が開催。オートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにする。

高度経済成長期の日本において、家庭と仕事を両立しながら活躍し、新しい女性像の象徴として受け止められた森。1961年には雑誌『装苑』で、快活さと向上心を備えた人物像「ヴァイタル・タイプ」を提唱し、晩年まで世界を股にかけて活動した。

会場では、1977年から膨大な数のオートクチュールコレクションから、テーマごとにドレスを展示。高品質な素材と卓越した技術を持って世界に挑んだ一点ものの作品群から、森の美意識と創造力の高さを体感できる。

また、多彩な衣装や資料を通して、森のアメリカ時代の活躍を網羅的に展示。まずは、森が日本の帯地や絹織物を用いて生み出した作品に注目したい。日本的美を体現する絹地に鮮やかな色彩のプリントを施したオリジナルの布地とともに、近年の調査で新たに確認された布の原画や試し刷りを紹介している。

そして、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」に所蔵されているドレスも日本初公開。伊藤若冲『月下白梅図』に着想を得て制作した1着を含む、計4点が出品される。

さらに、森がファッションを文化にするために力を注いだメディア発信にも焦点を当てている。森は1966年に『森英恵流行通信』を創刊。後に『流行通信』となり、日本を代表するファッション誌へと発展した。また1978年には表参道に「ハナヱ モリビル」を開設し、国内外のデザイナーが集う拠点を築いた。

デザイナーとしての表現だけではなく、生き方とその創造の根幹にまで迫るまたとない機会。会場でこそ味わえる体験が待っている。

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  • アート
  • 清澄

ページごとに紙のサイズが変わり、「あおむし」の食べた跡が穴で表現されている絵本『はらぺこあおむし』(1969年)は、現在でも世界中の子どもたちに愛されている。「東京都現代美術館」では、日本語版刊行50周年を記念し、アメリカを代表する絵本作家のエリック・カール(Eric Carle、19292021年)の回顧展が開催される。

会場では、『はらぺこあおむし』『パパ、お月さまとって!』『10このちいさなおもちゃのあひる』など27冊の絵本の原画に合わせ、グラフィックデザイナー時代の作品、アイデアの最初の構想段階で作られるダミーブック、コラージュに使用する素材など、約180点を紹介する。

原画の色鮮やかさ、デザイナーとしての造本の工夫、そして絵本に込めた子どもたちへの優しいまなざしを体験できるだろう。

  • アート
  • 六本木

「森美術館」で、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術作家、ロン・ミュエク(Ron Mueck)の大規模個展が開催。初期作品から近作に至るまで、作家の制作活動全体を包括的に紹介する。

人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品。洗練され、生命感にあふれ、孤独、もろさや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現している。

総作品数が約50点しかないミュエクの彫刻を11点揃える本展は、それだけで貴重な機会だ。うち6点が日本初公開で、中でも初期代表作『エンジェル』(1997年)は見逃せない。

展示の中心となるのは、巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されたインスタレーション『マス』(20162017年)。これまで世界各地で展示され、その都度会場に合わせて再構成されてきた作品で、同館でも約300平方メートルを使ったサイトスペシフィックな展示となる。

さらに、25年以上にわたりミュエクの制作現場を撮り続けてきたフランス人写真家のゴーティエ・ドゥブロンド(Gautier Deblonde)による写真と映像が並び、創作プロセスの舞台裏が垣間見える。

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  • 神谷町

「麻布台ヒルズ ギャラリー」で、韓国を代表するフォトグラファーのキム・ヨンジュン(Kim Yeong Jun)と、日本を代表するアートディレクターの吉田ユニによるコラボレーション写真展が開催。ともに数々の著名アーティストやブランドのビジュアルを手がけ、国内外で活躍する二人が、日韓のトップ俳優62人を撮影した作品群が展示される。

本展は「人間の最も本質的な美しさ」をテーマに、俳優たちをアートとして記録する壮大なプロジェクト。吉田が「花」をモチーフにディレクションを行い、キムが撮り下ろした。互いの美意識と視点が融合し、ポートレートを超えた「存在そのものの美」を描き出している。

本展での花は、美しさ・はかなさ・強さ・再生・感情・生命力など、人間の本質と重なる象徴として用いられ、俳優たちの表情や気配、内面はアートとして永続的に刻み込まれている。

アートの新施設なら……

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2026年4月1日、新しいスタイルの小さなミュージアム「Museum of Imaginary Narrative Arts」(MINA)が渋谷にオープン「イマジナリーナラティブ=架空の物語」をコンセプトに掲げ、アート作品に囲まれながらカフェとして飲食も楽しめるミュージアムを舞台に、アートとともに暮らす豊かで新しい日常を提供する。

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