バー・ジャズ
Photo: Kisa Toyoshima
Photo: Kisa Toyoshima

心斎橋・アメリカ村でしかできない20のこと

心斎橋・アメリカ村・本町エリアのユニークヴェニューを紹介

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難波とともに「ミナミ」を構成する心斎橋は、大阪屈指のショッピングエリア。御堂筋を中心に海外のブランド店やデパートが立ち並ぶ。

東心斎橋には居酒屋やバー、高級クラブが点在する夜の街が広がり、ネオンきらめく店が連なる。また、西心斎橋にはカルチャー発信地のアメリカ村があり、関連記事で紹介するレコードショップなども多数店を構える。同じ街でも、複数の顔を併せ持つのが魅力だ。

ここでは、心斎橋・アメリカ村の北に位置する本町とともに20のスポットを紹介する。粉もんからビーガン料理、アートスポットまでユニークなヴェニューを包み込む大阪随一の繁華街を探訪してみては。

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心斎橋エリア

北極星 心斎橋本店

2022年に創業100周年を迎えたオムライス専門店。創業当時は「パンヤの食堂」という洋食店だったが、創業者であるシェフが、毎回オムレツと白いライスを注文する常連客のためにケチャップライスを薄焼き卵で包んで提供した。以来、オムレツとライスを合わせた「オムライス」発祥の店として全国に知れ渡った。

京阪神に17店舗を展開する中でも、本店は一風変わった店構え。本格的な数寄屋造りの建物で、中央にある小さな日本庭園を囲むように座敷が配置されている。元々は茶屋だった建物を改装したもので、往時の意匠を生かした純和風の空間で洋食を味わうのは、なかなかできない体験だ。

一番人気のメニューはスタンダードな「チキンオムライス」。具材は鶏肉、ライス、卵と至ってシンプルだ。鶏肉と一緒に炒めたライスに醤油と日本酒を少量加え、ケチャップはほんのり色付けする程度。卵はたっぷり2個分を使用し、味付けはなし。職人技で素早く包み込み、仕上げに特製トマトソースをかければ完成する。

卵の表面は見とれるほどきれいな焼き色で、内側はとろりとした半熟。一粒一粒にうま味が絡み合ったライスは、口の中でパラリとほどける。じんわりと甘味が広がるトマトソースとも相性がいい。皿に添えられた甘酢ショウガの爽やかな酸味と辛味が口直しに最適だ。

ほかにも、期間限定など約15種のオリジナルオムライスを用意している。サイドメニューの「唐揚げ」も隠れた名物なので、ぜひオーダーしてほしい。

  • ラーメン

帰ってきた宮田麺児

無類のつけ麺好きとして知られる、お笑い芸人「シャンプーハット」のてつじがプロデュースするつけ麺専門店。つけ麺は麺が主役という考えから、麺だけ食べてもおいしい、こだわり抜いた2種の看板麺と1種の限定麺を提供する。

看板麺の一つである「小麦の大吟醸(並)」(1,100円、以下全て税込み)は、日本酒造りで米を研磨するように、小麦を半分以下まで削って製粉し、小麦の芯に秘められた「旨味」「香味」「甘味」「渋味」「苦味」「酸味」「辛味」全てを引き出した究極の麺。中央がくぼんだ独特な形の麺は、艶やかで、弾力のあるモチモチ食感が楽しめる。

もう一つの看板麺「小麦のエスプレッソ(並)」(1,100円)は、こだわりの国産小麦を外皮(ふすま)が無くなるぎりぎりまで残して製粉している。ふすまの繊細な粉が残る香り高い麺味わえる。四角に切られた太麺は、ガッチリ系のパワフルな食感だ。

この2つの麺に合わせるのが、ビシソワーズスープをベースに魚介や数種類の野菜を合わせた「ベジポタスープ」だ。食べる直前に入れるトマトの酸味がアクセントになったまろやかな味わいも、麺の風味を引き立てる。別添えのレモンとテーブルのブラックペッパーは、スープではなく麺につけて味を変えるのがおすすめだ。

どちらの麺も楽しみたいという人は、別麺を200円で提供しているので、看板麺の香りや食感の違いを食べ比べてみよう。麺とスープはテイクアウト(1人前800円)ができるのもうれしい。

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スパイスカリーて

心斎橋駅から徒歩5分ほどのオフィス街でありながら、おしゃれなショップやカフェも立ち並ぶ南船場にあるカレー店。店内には、その名の通り「手」をモチーフにした雑貨が飾られ、エキゾチックな雰囲気だ。

カレーは、梅干しの酸味をきかせたチキンカレーの「ウメチキ」と、イカの塩辛を使った「イカシオ」のレギュラー2種に加え、日替わりのドライ系を2種ラインアップ。それらを2種あいがけ(1,300円)から豪華な4種あいがけ(1,600円)まで、好みの組み合わせで楽しめる。名物のトッピングは、八角で漬け込んだ「スターアニス煮たまご」(100円)だ。

会社員として働きながらレシピ本を読み込み、完全独学でカレー作りを身に付けた店主。2カ所での間借り営業を経て、2016年に念願の実店舗をオープンした。「ほかで食べられるようなカレーは出したくないから、よそではあまり使わないスパイスを使うこともあります」と、20種類ものスパイスを巧みに操り、唯一無二のカレーを作り上げている。

不定期だが、昼と同じ料金でカレーが味わえる夜営業も行う。ラオス、ベトナム、フィリピンなど、アジア各国のビールも取り揃えているので、カレーをさかなに異国のビールを味わうのもいいだろう。不定休があるため、訪れる際は公式SNSで確認してほしい。

  • ビールバー

スタンドうみねこ

ギラギラとした心斎橋の通りの中で、静かに異彩を放つおしゃれな店を見つけたら、それがクラフトビアバーの「スタンドうみねこ」だ。ビールは国内生産のものだけに限定し、自社工場による製造品含め、最大で9種類のクラフトビールを提供している。

10人も入ればぎゅうぎゅうになってしまう小さなスタンディングバーだが、もし店に入れなくても気を落とすことはない。同店は全ビールのテイクアウトが可能なのだ。

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バー・ジャズ

心斎橋にあるレコードバーの名店。オープンは2003年で、関西だけでなく全国から音楽愛好家が訪れる。約2000枚のレコードは、ブラジリアン、ジャズ、 ソウル、メロウヒップホップなど。それぞれのジャンルの新譜もコレクションされている。

選曲はアルバム単位ではなく、1曲ごとが基本。オーナーでバーテンダーの牧慶次は、カウンターで客とセンス良く会話を続けつつ、棚から素早くレコードを取り出し、その時々の店内の雰囲気に合わせた曲をかけていく。そのよどみのない自然な動きは職人芸のようだ。

オーディオは、JBLの大型スタジオ・モニター・スピーカー4550BKをベースにしたオリジナルユニット。ミキサーも、専門メーカーCDSに特注したオリジナルで、音質のクリアさにこだわっている。

ドリンクは、ベーシックなスピリッツやリキュール以外に、店主自ら南大阪の畑を耕して収穫したブドウを使った、オリジナルワインがおすすめだ。浮遊感のある選曲とワインとの絶妙なマリアージュを味わってほしい。

不定休や営業時間の変更もあるので、訪れる際は店のTwitterを確認しよう。

  • ショッピング

十四才

今ちまたで話題の「平成レトロ」を体現したような古着屋が、古着のメッカ、アメリカ村にある「十四才」だ。一般的に古着屋といえばアメリカやヨーロッパのものを扱う店が多いが、ここは平成初期(1989~1990年代中盤)に販売されていた「ジャパンメイド」のアイテムが中心。ビビッド&ポップな商品が、小さな空間にぎゅっと詰め込まれている様は圧巻だ。

売れ筋はB’zやSMAPなどのアーティストTシャツ。しかもオフィシャルグッズではなく、コンサート会場周辺の露店で売られていたような「パチモン」だというから、エッジが効いたファッションの訪門客も多い。

「世界ふしぎ発見!ゲーム」や「もっと!チェッカーズゲーム」といったボードゲーム、当時のクレーンゲームで取れた加トちゃんケンちゃん、キョンシーなどの懐かしいグッズも並ぶ。ここまでくると単なる古着屋を超え、まるで博物館のようである。 

ちなみに店名の「十四才」は、甲本ヒロトがロックに触れた初期衝動を歌うTHE HIGH-LOWSの曲名から名付けられた。「古着屋の枠にとらわれないことで、興味ない人にも何かつかんでもらえたら」と店主は語る。

生きていれば、知らず知らずの間に価値観が凝り固まっていくもの。店内にあふれる自由奔放なスピリットに刺激され、 「あの頃」の衝動を取り戻せるかもしれない。

不定休のため、営業時間の詳細は公式Instagramで確認しよう。

アメリカ村エリア

  • ハンバーガー

クリッターズ・バーガー

2009年、アメリカ村の中心地にオープン。ミナミの街でプレミアムバーガーを発信した店の一つとして知られている。

圧巻なのは、32種類にもなるバーガーメニューのバリエーションだ。和牛100%のパティがずっしり160グラムも入った「プレミアム和牛バーガー」やテックスメックステイストの「ハラペーニョチーズ」、「アボカドチーズバーガー」など、選ぶのに迷う。多くがソースに頼らないのは、パティから弾けるようにあふれてくる肉汁があれば十分だからだ。昔も今も変わらないこの店らしいスタイルといえる。

バンズは、系列店のブーランジュリーで焼かれる自家製を使用。吟味した北海道産小麦の香りと、シャキッとりりしい張りがある生地は、パティに負けないほどの存在感がある。平日16時までは全てのバーガーにフライドポテトが付き、プラス100円でベビーリーフサラダに変更できる。

同エリアでは貴重といえる、オープンテラス席もある。知る人ぞ知る心斎橋の「プレミアムシート」で、リラックスしながらハンバーガーを頬張るのもいいだろう。

大阪アメリカ村 甲賀流本店

1974年創業で、ミシュランの「ビブグルマン」に3年連続掲載されたこともある人気たこ焼き店。若者たちの情報発信の地・アメリカ村の御津公園(三角公園)の前に位置する。盛況の理由は地の利だけでなく、こだわりの味も大きく、店の前には常に行列ができている。

タコは厳選された寿司ネタ向けの真ダコを使用し、生地には昆布やイリコなど7種類のだしのほか、山芋や隠し薬味数種を配合。外はきつね色にこんがりと焼き、中はトロリととろけるような絶妙な仕上げを実現している。そして、リンゴとタマネギをふんだんに使用した特製ブレンドのソースが、タコと生地の味を引き立てる。

またこの店は、「網掛けマヨネーズ」発祥の店ともいわれており、焼き上がりに素早く美しく網のようにマヨネーズをかけるシーンは必見だ。

定番は「ソースマヨ」(10個600円)。最近の人気の味付けは、ペッパーミルでひきたてのコショウをかけレモンを絞って食べる「ブラックペッパーソルト&マヨネーズ」(10個650円)。程よい刺激と香りが加味され、新感覚で楽しめる。

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  • カフェ・喫茶店

リロコーヒーロースターズ

地下鉄心斎橋駅のすぐ西側、若者でにぎわう「アメリカ村」にある自家焙煎(ばいせん)コーヒースタンド。2014年のオープン以降、心斎橋にスペシャルティコーヒーカルチャーを伝道してきた店の一つとして知られている。

提供するコーヒーは20種類以上。メニューには豆の産地や生産者だけでなく、味わいの特性もフルーツなどのカラフルなイラストで表示されている。中南米・アフリカの主要産地に加え、中国・雲南省産やミャンマーに所有する自社農園の豆など希少品もラインアップ。抽出にはハンドドリップ以外に、エアロプレスやアメリカンプレスも活用する。

「これだけ種類があると、戸惑うお客さまも多いので、とにかくお一人お一人に丁寧に味の好みを伺って、コーヒーの味わいを説明してから淹れることを大切にしています」と語るのは、ヘッドロースター兼ストアマネージャーの中村圭太。広くない店舗だが、その空間には「ジャパンホスピタリティー」が心地よく存在している。
 
この店のそんな真摯(しんし)なスタイルは、「ニューヨーク・タイムズ」などでも大きく取り上げられてきた。訪れる人の半数が外国人という日も珍しくないという「世界的人気」は、今も日々高まり続けている。

  • 音楽
  • 音楽会場

ジュール

1999年に心斎橋のアメリカ村「三角公園」横で開業した老舗クラブで、2009年に関西クラブ史上で初めて移転を成功させた。2016年にリニューアルオープンし、2階は800人収容のメインフロア、3階の吹き抜けはメインフロアを見下ろせ、4階はVIPフロアとルーフトップテラスを備える。

週末はビッグネームのDJや実力派の豪華ゲストが出演。これまでスティーヴ・アオキやカルヴィン・ハリス、Fatboy Slim、ポール・オーケンフォールド、The Avalanchesなど数々の有名アーティストが来日公演を行ったことでも知られる。

「ノーコンセプト」をコンセプトとしており、ヒップホップやテクノ、ハウス、レゲエなどから「アニソン」まで幅広いジャンルのイベントを開催。各ジャンルのエキスパートたちがプレイし、平日でもフロアはにぎわいを見せる。

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  • ショッピング

KINGKONG アメリカ村本店

ミナミのメインストリートの一つである心斎橋筋商店街。以前から百貨店やハイブランドの路面店が並ぶ商店街の向かいのエリアへ、1970年代後半に生まれたのが、若者が集うアメリカ村(通称・アメ村)だ。大阪の老舗レコード店「KINGKONG アメリカ村本店」はここに1979年に開店し、街の顔となり変遷を見守ってきた。

今では、アメ村に店を構えるレコード店は他にも存在するが、オールジャンルのレコードを取り揃える店として貴重な存在だ。場所だけで言えばアメ村内で移店はしたものの、下は小学生から上は80代の大先輩までこの店へ通う様子は変わらず、ストリートの住人たちから愛されている。

レコードとCDを合わせれば、店内に並ぶのは約5万枚。大きく分けると16ジャンルの棚には、週に250〜300枚、月にすれば1000枚ほどの新商品が届き、そのほとんどがもちろん一点もの。ディグらずにはいられない。なかでもCLUB MUSICやHIP HOP、ROCK POPSが多いのはアメ村住人たちからの買取商品も多いためだ。コロナ禍以前は海外のレコード店が仕入れに来ることも多かったと言う。レコード愛好家はもちろん初心者だって、このレコードの魅力に浸からずにはいられないだろう。

店主の回陽健太は、初代オーナーの息子。「この街に残り続けている店として、父が始めた初期の頃の雰囲気や、昔からの『レコードを探す楽しみ』を変わらず感じられる場所でいたい」と語る。アメ村の現在を、ここで見て聞いて感じてほしい。

本町エリア

うさみ亭マツバヤ

100年以上続く老舗うどん店。きつねうどん発祥の店でもある。

きつねうどんと並ぶ、もう一つの名物が「おじやうどん」。名の通り、生卵にアナゴ、シイタケなどが入った具だくさんな鍋うどんに、ごはんまで入った一品だ。

大阪のソウルフード、うどんを気取らずに堪能できる小さな名店である。

ハロガロ

天満の人気カレー店「ハルモニア」の2号店として、2022年末にオープンした「ハロガロ」。店内はカラフルでポップ。席数はなんと30席以上と、ほかに類を見ない「大箱」カレー店だ。現役のバンドマンである店主は、バンドの打ち上げでカレーを振る舞いながら、さまざまなスパイスカレーを食べ歩くことで腕を磨いていったという。

サンショウのパンチあるしびれ系カレーの「麻婆キーマカリー」、エビのうまみが詰まった「干しエビのキーマカリー」、ビネガーの酸味とコク深い味わいの「豚バラのポークビンダルー」の3種盛り(1,400円)が看板メニュー。食べ始めはそれぞれのカレーを食べ進め、ポルサンボル、ライタ、ヤマイモのアチャールなど、たっぷりと乗った副菜と一緒に、という「混ぜるのを前提に作ったカレー」として最後まで食べ飽きることなく味わい尽くせる。

さらなる「味変」を求めるのであれば、自分好みにカスタマイズしよう。プラス300円でさらに6種の副菜が追加されたスペシャルプレートへのアップグレードができる。また、プラス100円の「ジュニパーベリー香るイチゴジャム」などトッピング・オプションが豊富だ。

夜は、広島出身の店主がこだわったお好み焼きが楽しめる鉄板酒場に変化する。レアなクラフトビールやナチュールまでアルコールの品揃えも充実。もちろん昼飲みも歓迎してくれる。

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グリーンアース

本町のオフィス街の一等地にあるビーガン料理店。1991年にベジタリアンカフェダイニングとして創業し、2000年からはビーガンメニューのみを提供している。大阪、そして関西にビーガン料理の素晴らしさと意義を伝えてきた、先駆的な店といえる。

オーナーの伊藤良治は、「日本ベジタリアン協会」創設メンバーの一人で、隅々まで徹底的にこだわった料理が自慢。「日替わりランチ」(1,200円)は、豆乳マヨネーズを使ったポテトサラダ、有機野菜の生命感弾けるラタトゥイユ、豆のサラダ、玄米ご飯が付いて、味と価格の両面で満足度が高い。

ほかにも大豆ミートのカレーやパスタ、ピッツァ、ホットドッグ、アップルパイなど、ビーガン料理の多彩さと幅広さを感じられる。ミナミとキタのどちらの繁華街からもアクセスが良く、40席あるというフロアだが広くゆったりしているのもうれしい。

天友

誰かがのれんをくぐるたび、店内に響く「まいど」の声。大阪人の多くはこの言葉で出迎えられることが大好きである。「いらっしゃいませ」とほぼ同義で使われる場合もあるが、元々は「毎度ありがとうございます」が省略された言葉。つまり、店に顔を覚えてもらっている証拠として機能する一面もあるのだ。

船場センタービル地下2階で50年以上営業を続けている「天友(てんとも)」は、そうした「毎度」足を運ぶ常連に愛される店だ。中にはウン十年前の現役時代からずっと通っているという、「元・会社員のおじさま」たちの姿も見られる。

ランチは11時から、オープンすると同時に人が入り始める。名物は「豆ごはん定食」(830円)。白に黄緑が映える鮮やかな豆ごはんは、かめばかむほど深い味わい。セットの天ぷらや冷奴、味噌汁と合わせて、ホッとできるランチライムが過ごせるだろう。

お造りや揚げ物など、日によってメニューが変わる「日替わり定食」(850円)も人気だ。冬季(11〜5月ごろ)限定で登場する「粕汁」を心待ちにするファンも多い。

15時からは居酒屋モードに変わる。店主におすすめを尋ねると「これ、といった商品があるというよりも、総合力で勝負」と一言。言葉通り全70種類以上というメニューの豊富さで、よく味の染みた「おでん」(1品100円から)といった定番ものから、サバのきずしを千枚漬けで挟んだ「かぶらきずし(しめサバ)」(550円、冬季限定)のような珍しいものまでバランスよく並ぶ。

ランチとともに、毎日食べても飽きのこないおいしさ、そして何が出てきても間違いないという安心感が長く愛される理由だろう。

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一芳亭 船場店

いい意味で予想を裏切ることができ、それでいて味が確かな店。そうした、人に自慢したくなる要素を備えているのが「一芳亭 船場店」だ。ここでは本来なら「小麦粉メイド」のとある料理を異なる食材で見事に作り上げている。

それが名物の「シューマイ」(5個350円)だ。特殊なのは、その「黄色い」皮。物が不足していた戦後は小麦粉も例外ではなく、代わりに薄く焼いた「薄焼卵」で具材を包んだのが「唯一無二」の始まりだった。そこから現在まで「やっていることは、何も変わっていません」と船場店の店長は語る。

ホワホワと優しく、それでいて素材の甘みがギュッと詰まったこのシューマイは、これまでどれほど多くの口に幸せを与えてきたのだろう。ビール(大瓶600円)などの酒とともに楽しむのもいいが、おすすめは全てのメニューにシューマイが付いてくる定食。白飯とのコラボレーションも、これまた「口福」である。

「シューマイ定食」(850円)を筆頭に、「酢豚定食」(1,100円)や「春巻定食」(950円)など充実のラインアップ。ちなみに昼も夜も長蛇の列になる超人気店のため、来店の際は事前予約をすすめる。

18時30分の入店分までは予約が可能で、それ以降は訪問の10分前に電話して、空いていれば席を確保してくれる(難波店は予約不可)。

船場裏路地

南船場の​​路地裏に残された一棟の希少な町家を、飲食店舗が集まる施設に再生した「船場裏路地」。町家とは、かつての商家や職人の住まいで、店舗と住居空間を兼ね備えた住宅のことだ。

コンブの老舗「小倉屋山本」がだしにこだわった料理を提供する「だし処 船場山本」、紀州備長炭で鹿児島の地鶏を焼き上げた焼き鳥と一品料理の「焼鳥 サイヒ」。ミシュランビブグルマンを獲得した女性寿司職人が握る江戸前寿司の「鮨とよたか」、会員制でありながら肩肘張らない雰囲気が魅力のバー「よすか」。「船場裏路地」に足を踏み入れたなら、これらの個性あふれる4店舗を、ついついはしごして楽しんでしまいそうだ。

この大人のたまり場では、新たな出会いやコミュニティーが生まれるだろう。食を通じた、上質な一夜を楽しみたい。

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  • カフェ・喫茶店

アオマコーヒー

地下鉄本町駅の近く、歴史ある繊維商が立ち並ぶエリアとして知られる久太郎町に、2020年7月にオープンしたロースタリーカフェ。周辺の昔ながらな問屋街の雰囲気とは対照的で、開放感のある空間がとても快適だ。店の奥で光り輝くプロバット社製焙煎(ばいせん)機と向き合うオーナーロースターの青野啓資は、自身のコーヒーについてこう語る。

「うちのコーヒーは、普通の人が想像するコーヒーの真逆かも。苦くて黒い昔のスタイルではなく、浅いり主体で、豆が生まれた土地の風土を表現する焙煎です。酸味を酸っぱいと思わせず、心地よい口当たりと感じていただける仕上げもポイントですね」

店頭のスペシャルティコーヒーのラインアップはケニア産、コロンビア産などを主体とした5種類ほど。メニューカードには産地、豆の品種名のほか、味の特徴などが書いてあるので、参考にしてその日の一杯をセレクトしよう。

  • ショッピング

ビルの2階に約16.5平方メートルという小さな空間に広がる「toi=問い」の世界では、「生きるということ」や「考えるを考える」「仕事って何だろう」など、独自の切り口で分けられた棚に書籍が並んでいる。

「トイブックス(toi books)」がオープンしたのは、2019年4月。店主は「斜陽産業」といわれる書店業界の良いニュースになればという思いから開業した。コンセプトは「良い本は答えだけではなく、新たな問いを与えてくれる」だ。

メインは小説や詩、短歌などの文芸書で、充実した品揃えが魅力。近年注目を集めている韓国文学やフェミニズムに関する本も丁寧にフォローしている。写真集や絵本など、目で見て楽しめるアイテムもある。狭いがゆえ、本の並びはどこを向いても「濃く」、幾度も手が伸びてしまう。落ち着いた雰囲気も相まって、長居してしまうこともあるだろう。

この店の小さな楽しみは、本を購入した際にもらえる「しおり」。おすすめの小説についての紹介文がみっちり載ったデザインで、読む手を止め本にはさむしおりが新たな本との出合うきっかけになるという演出は粋である。同様のデザインが施されたクリアファイル(A5サイズ、400円)もあるので、本好きの人への大阪土産にもいいだろう。

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  • アート

船場ミューラルパーク

1970年、「大阪万博」の開催に合わせて完成した船場センタービル(通称・せんびる)。そこから半世紀を超えてなお商都・大阪のど真ん中に鎮座するその姿は、2025年の「Expo2025 大阪・関西万博」を見守っているかのようだ。そんな「せんびる」の開館50周年を記念して2020年に登場したのが、巨大な壁画群を有する「船場ミューラルパーク(Semba Mural Park)」だ。元は3号館と4号館を結ぶ無機質な連絡通路だったが、今は異空間に大変身している。

総勢24人のアーティストによって製作されたウォールアートが続く様は、まさに圧巻。日本古来の文様をストリートに落とし込んでいるBAKI BAKI、幾何学的でありながらもどこか有機的でポップな柄や模様を描くMASAGONなど、大阪・関西を拠点とするストリートアーティストを中心にド迫力の作品が並ぶ。壁画だけでなく映像コンテンツも用意されており、何気なく通り過ぎようとした人が思わず足を止める姿も見られる。

本町〜堺筋本町といえば大阪でも有数のオフィス街。昼どきになると船場ミューラルパークにも憩いを求める人々が集まり始め、中央に設置されたテーブルと椅子で弁当を食べたり読書をしたりと、思い思いの時間を過ごす。

そんな人々の姿や地下鉄の通る音といった「日常」と混ざっていくと、巨大壁画という「非日常」的な作品も違って見えてくるから面白い。

大阪を食とアートで攻めるのなら……

「くいだおれの街」大阪の食文化は多様で奥深い。たこ焼き・お好み焼きなどの「粉もん」をはじめ、串カツ、大阪うどん、スパイスカリー、箱寿司まで、ローカル発のユニークなメニューを数多く生み出し、進化させてきた。

ここでは、こうしたご当地グルメはもちろん、地域を代表するシェフが手がける隠れた名店、美しい空間のレトロカフェ、世界に通じるロースタリーカフェ、新たな扉を開いてくれるバーまで、大阪で訪れるべき飲食アドレスを厳選して紹介しよう。

さらに、2025年3月21日(金)には、JR大阪駅前に広がる商業施設「グラングリーン大阪」南館に、関西最高峰の食と文化が一つ屋根の下に集結したフードカルチャーマーケット「タイムアウトマーケット大阪」もオープンする。併せて、ぜひ大阪観光の参考にしてほしい。

  • アート

旅行に欠かせない現地のアート情報。ここでは、一度は行くべき大阪のミュージアムを厳選して紹介したい。

一度見たら忘れられない外観の「国立国際美術館」や、建築家の安藤忠雄が設計を手がけた文化施設「VS.(ヴイエス)」遊べて学べる体験型施設の「ダスキンミュージアム」など、定番の大型美術館から、さまざまな専門のミュージアム、新たなアートスポットまで、多彩なミュージアムをセレクト。大阪旅行の参考にしてほしい。 

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  • アート

大阪のホットなアートエリアとして知られる中之島や、アートの街・北加賀屋エリアなどには、個性あふれるギャラリーやアートブックを扱うショップ&カフェ、倉庫跡地の大型アートスペースなどが多数ある。そんな想像力が刺激されるギャラリーを厳選して紹介しよう。街歩きの参考にしてみては。

  • アート

戦前期のモダニズム建築や日本最古の弁財天を祭る寺院から、オブジェ性の高い吸気塔、「世界を代表する20の建造物」として紹介された建物まで、大阪には見るべき貴重な建築物が点在する。文化施設やバーとして利用できる場所もあるため、豊かなデザインに囲まれながら、ゆったりとした時間が過ごせる。大阪の一度は訪れてほしい名建築を紹介したい。

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