

宇宙からの音響
「草間彌生美術館」で、草間彌生の芸術の根源ともいえる「病」に着目する「宇宙からの音響」が開催。初期から現在に至るまでの多様な作品群と関連資料を展示する。
幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされてきた草間。精神疾患は、創作活動に多大な影響を及ぼした。1950年代、草間は自らの妄想に駆り立てられるように、膨大な数のドローイングを描き、作家として躍進する。
渡米後は、水玉や網目などの無限に反復するパターンで全ての存在を覆い尽くし、自らもその世界へと埋没していく「自己消滅」の儀式ともいうべき作品群に取り組む。
1970年代後半から80年代にかけては、精神科病院の病室で小作品を数多く制作。その後、複数の画面にわたる絵画や巨大なバルーンなど、作品は拡大していった。
草間の言う「自己消滅」とは、もはやアーティスト個人の内面の問題ではなく、荘厳な「宇宙からの音響」のさなかに身を置くような感覚へと鑑賞者を誘うだろう。宇宙の果てまでも増幅していく、豊かな創造力の所産を体感してほしい。
※11時~17時30分/休館日は月〜水曜(祝日を除く)/料金は1,100円、小・中・高校生600円、未就学児無料