しかし、戸外に遊び場を造るには、南相馬の放射線量は非常に高すぎた。そこでアノップはさらに北の石巻市に目を向ける。そして2012年4月、同地に最初のプレイグラウンド オブ ホープが誕生した。「ちょうど小学校の再建計画が進んでいたのですが、市には校庭を整備するまでの資金は無かったのです」とアノップは当時を振り返る。
「そこでその学校に行って、遊具のセットを無料で提供したいと話したところ、皆さん喜んで賛成してくれました」それ以来、プレイグラウンド オブ ホープは東北の50ヶ所に遊び場や遊具のセットを整備してきた。また、関東では児童養護施設の遊び場を改装し、2016年秋には、熊本大地震の被害を受けた九州の小学校に新たに遊び場を作った。
この建設費用は1件当たり平均で400万円にものぼるため、アノップは地域住民とともに作業にあたる30〜50人ほどの従業員をボランティアとして派遣してくれるスポンサー企業を探して回った。プレイグラウンド オブ ホープの活動に初期からボランティアとして協力してきたマイク・コノリーは、地面に穴を掘り、遊具を建てるための基礎を造って基本枠を立ち上げるまでの事前工事を手伝う。
こうして多くの人の手を借りながら作業は1日で完了し、ボランティア全員でハンバーガーとホットドックを楽しんで完成セレモニーは終了する。「最も難しいのは、公式オープンの前に子どもたちの安全のための防護柵を設けることです」とコノリーさんは言う。「児童たちが遊具で遊び始めたら、それを止めることなんて暴れ牛に立ち向かうよりも難しいことですから」