『東京2020オリンピック・パラリンピック』の開幕まで2カ月を切った。組織委員会は、大会の表彰式で使用する表彰台や楽曲、衣装、メダルトレイなど各アイテムの詳細を正式に発表。これらは、東京2020大会の重要なテーマの一つである「持続可能性」を考慮して作られたもの。表彰式で着用する衣装を担当したのは、ファッションディレクターの山口壮大だ。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、開催の在り方に関して日夜議論が交わされているが、この大会が大規模なものになるのは否定できない。サーフィンや空手などの新競技が加わって東京オリンピックでは33の競技が開催され、200カ国以上から約1万1090人の選手が参加する予定である。
大会に参加する国際チームの拠点となるのが、中央区晴海に新設された約44ヘクタールの選手村だ。一般には公開されていないが、開会式の10日前である2021年7月13日(火)にアスリート向けに正式にオープンする。ここでは、世界中のトップアスリートが大会期間中に滞在するメモリアルな施設の全貌を写真を中心に紹介していこう。
広大な敷地内に「居住ゾーン」「運営ゾーン」「ビレッジプラザ」の3つのエリアがあり、その中に宿泊施設、公園、雑貨店、カフェ、レクリエーションスペースなどが設けられている。コロナウイルス感染症のリスクを低減するために、選手はトレーニングや競技以外の時間は全て選手村で過ごさなければならない。
「居住ゾーン」は14〜18階建ての建物、21棟で構成
地内には合計で3800戸のアパートメントがあり、オリンピック選手用に1万8000床、パラリンピック選手用に8000床が確保されている。
各部屋には2〜8人が滞在できる
人用の寝室(約9平方メートル)と2人用寝室(約12平方メートル)が組み合わされており、リビングスペースやバスルームは共有になっている。
アスリートルームに配置されたベッドのフレームは従来とは異なり、大会終了後に100%リサイクル可能な段ボールを採用。一見小さく見えるベッドだが、身長の高い選手に合わせて拡張することが可能だ。また遮光カーテンによって、日中でも安心して眠りにつけるよう配慮されている。
フィットネスセンターも完備
「居住ゾーン」にある複合施設の3階には「フィットネスセンター」を完備。600台の最新運動器具が設置。「コンディショニングエリア」「エアロビックエリア」「フリーウェイトエリア」「ストレングスエリア」に分かれている。
1階には「ドーピングコントロールステーション」と総合診療所
ここでは理学療法、精神科、歯科、皮膚科などの総合的な治療を実施。総合診療所とは建物が分けられる形で「発熱外来」も設置。新型コロナウイルス感染症患者や濃厚接触者、発熱などの症状がある人の診察や検査が、24時間体制で行われる。
上階にある「レクリエーションセンター」
マッサージチェアでリラックスしたり、卓球や自転車のシミュレーションなどのアクティビティが楽しめる。「カジュアルダイニング」という小規模な食堂も完備されており、日本食を中心とした食事を1日に約3000食を用意できる。
24時間営業の「メインダイニングホール」
総座席数3000席、1日最大4万5000食という気の遠くなるような量の料理を提供。700種類の食事メニューが用意され、ベジタリアンやハラール、グルテンフリーなどさまざな食生活や好みに対応する。
2021年8月8日(日)の閉会式からわずか3日後の、8月11日(水)にオリンピックの選手村は閉鎖。8月15日(日)にはパラリンピックの選手村に早変わりし、9月5日(日)まで同大会の選手が滞在する。その後は大規模なリニューアル工事が行われ、一般入居できる住宅地に生まれ変わる。