A street in Shimokitazawa
Photo: Charles Deluvio/Unsplash
Photo: Charles Deluvio/Unsplash

下北沢で過ごす24時間

世界中のヒップスターが注目する、クールな街の魅力を探る

Mari Hiratsuka
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1980年代から音楽や演劇、ファッションなどの文化を生んできた街、下北沢。メインストリームではなく、型にはまらない多様な文化が混在するこの地はサブカルチャーの聖地だ。街の構造も路地と行き止まりだらけで迷路のように入り組んでいるのだが、それもまた下北沢の魅力。

小田急電鉄による鉄道跡地の開発も進んでおり、商業施設や温泉施設がぞくぞくとオープン。2022年3月には井の頭線高架下に、商業エリアとワークプレイスが同居するミカン下北が開業する。「開かずの踏切」があった時代も懐かしいが、下北沢らしい風景は今も健在だ。

タイムアウトが選ぶ『2019年、世界で最もクールな街 ベスト50』の第2位に輝き、下北沢を訪れた外国人観光客は「この街に住むことが夢」と目を輝かせる。その人気ぶりは今や世界レベルになった。ここでは街の変化にも目を向けつつ、進化しながらも継承される下北沢の魅力を紹介する。 

※新型コロナウイルス感染拡大の影響で営業時間が変更される場合もある。公式ウェブサイトを確認してから足を運んでほしい。

のんびりと始まる下北沢の朝。古着屋やレコードショップがまだまだ開かない時間帯に到着してしまった、という人は小田急線の線路跡地に新しくできた、ボーナストラックに向かおう。「新しい商店街」をイメージした下北沢ならではの新施設で、開放感のある空間は朝の散歩コースにもぴったりだ。

朝8時から粥(かゆ)を提供しているアンドンや、フレッシュジュースを扱うホワイ ジュース(Why Juice?)など、朝活を応援する店舗がある。

一番街にあるミクスチャーは朝7時半からモーニングが味わえるベーカリー。3種類のパンとサラダ、ゆで卵、ドリンクが付いたモーニングセットは11時までオーダーできる。 

ゆっくりとコーヒーを飲みたいのなら、南口商店街を下ったところにある1980年創業の喫茶店、トロワ シャンブルへ。朝食に勧めたいたいシナモントーストは、サクサクとしたザラメの食感に、バターとシナモンの香りがたまらない。午後の休憩にも最適な場所だが、老舗ならではのアンティークな雰囲気で優雅な時間が過ごせそうだ。

下北沢に何度も訪れることがある人なら、ついつい行きつけの店に足を運びたくなるのも分かる。しかし、この街には飲食店が星の数ほどあるので、新たなレパートリーを増やしてみるのもいいだろう。

2019年にオープンした、バーガーズ トーキョーは店内からバーガーまで「映える」こと必至の人気店。『オリジナルバーガー』や『チリバーガー』などボリューミーなメニューを提供しており、いずれもパテの量を3種類の中から選ぶことができる。サステナブルな取り組みをしているのにも注目したい。

和食が食べたいのなら、定食屋の山角へ。1,000円以内で、揚げ物や魚、肉を使った手作りの味を提供している。23時まで営業しており、夕方は居酒屋としてもにぎわう人気店だ。

そして、『下北沢カレーフェスティバル』というイベントが開催されるほど、カレー愛が深い街でもある。多くの名店がひしめくエリアだが、有名店といえばマジックスパイススープカレーの元祖といわれる本場札幌の味が楽しめる。

マジックスパイス

また、カレー好きの松尾貴史がプロデュースしたカレー屋、般°若(ぱんにゃ)も下北沢カレー界には欠かせない存在。インドカリーをベースに、だしやしょうゆなどを取り入れたユニークなカレーで知られる。

ちょっと冒険したい人におすすめなのが、確かな味を堪能できるラーメン屋、一龍。店の外観にも老舗感がじんわり出ているが、勇気を出してのれんをくぐってみてほしい。定番メニューの『中華そば』は豚骨しょうゆスープがベースの優しい味だ。

ミュージシャンの甲本ヒロトや俳優の松重豊がバイトしていたことで有名な中華料理屋、珉亭も下北沢を愛する人なら知っている名店。色が赤いチャーハンは、下北グルメを代表する一品とも言える。

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夕方

腹ごしらえが済んだら、古着屋やレコードショップ、古本屋で時間を忘れて宝探しにのめり込もう。

銭湯を改築したユニークな古着屋、ニュー ヨーク ジョー(NEW YORK JOE)は、持参した古着と商品を交換できるというトレードシステムを採用。行けば何かを発見でき、価格帯も500円から3,000円ほどとリーズナブル。

老舗古着店の ヘイトアンドアシュバリー(HAIGHT&ASHBURY)、15店前後のショップを一気に探索できる東洋百貨店など周辺には個性的な古着屋やヴィンテージショップが密集している。

新しい音楽に出会いたいのなら、気鋭アーティストのアルバムなど国内外の新譜レコードを中心に扱うジェットセットがおすすめだ。レコードビギナーでも入りやすい。コアなディグを楽しみたい人は、フラッシュ ディスク ランチだろう。狭い階段を登ると、広々とした店内に敷き詰められた大量のレコードが待ち構えており、その雰囲気に圧倒される。

下北沢にはレコードを掘りながらコーヒーや酒を飲める店がある。ミュージシャンの曽我部恵一がオーナーを務めるカフェ兼レコードショップ、シティ・カントリー・シティや、ダンスミュージックだけでなく、ロックやフォークなどの中古盤も扱うアップステアー・レコーズ&バーなど、音楽ファンならついつい長居してしまいそうな場所が点在している。

そのほか、サブカル書籍を豊富に扱う古書ビビビ、昭和を感じるアイテムが見つかる東京レトロなど、下北沢にはさまざまなセカンドハンドショップがひしめいている。

飲みに行く前に楽しんでもらいたのが、この街を代表する文化の一つでもある「演劇」だ。有名な劇団や俳優たちの芝居が観られる本多劇場や、鈴なり横丁にあるザ・スズナリなど、フラッと立ち寄れる小劇場がいくつもある。

居酒屋を探しているのなら、隈研吾が設計しリノベーションして作られたヤキトリてっちゃんへ。焼き鳥はもちろん、煮込み系のメニューも豊富で定評がある。スタイリッシュな店内だが、立ち飲みスペースもあるので、1軒目にも最適だ。1968年創業のざこやで名物の『レバカツ』を味わおう。

気合の入ったライブを観る予定はなくても、飲食しながら生演奏を楽しめるヴェニューも多い。ビーガン対応のメニューなど、食にもこだわったライブスペース、モナレコードは都内で活躍するインディーバンドの発信基地。

モナレコーズ

茶沢通り沿いにあるボデギータは、キューバを中心としたラテン料理や酒と、サルサ、ソン、ルンバなどの中南米音楽を生演奏で楽しめる店だ。

ジャズと酒が楽しめるレディジェーンも、長年下北沢の夜を見守ってきた老舗の一つ。数々の文豪、俳優、ミュージシャンが通った店だが、常連の一人は松田優作だったことは有名な話。週末にはライブ演奏が行われる。

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夜も更けたら

1972年創業のバー、マザーは下北沢を絵にしたような店。カラフルなタイルを散りばめたファンシーな外観とは裏腹、中に入るとエスニック、縄文、ロックなどさまざまな文化が混合している。常連も多いが、居心地が良く長酒におすすめだ。

音楽に精通した若者が集う街として知られる下北沢だが、DJがオーナーを務めるナイトスポットや新ヴェニューの誕生でさらなる盛り上がりを見せている。

下北沢の夜をとことん満喫したい人は、音響メーカーの田口音響研究所によるサウンドシステムを導入したカウンタークラブや、下北沢で一番新しいクラブ、アイラスに行ってみるといい。

朝まで飲むならトラブルピーチで決まり。この店も下北沢で活躍した数々の著名人が通っていたことで知られる老舗。店内には1万枚以上のレコードが所狭しと置かれており、オーナーがリクエストした曲をかけてくれることもある。

酒にレコード、演劇の話。下北沢での一日を振り返りながら、始発まで気持ちよく酔えるだろう。 

トラブルピーチ

下北沢をもっと探索するなら……

  • ショッピング
  • 音楽&エンターテイメント
下北沢、レコードショップリスト
下北沢、レコードショップリスト

演劇、グルメ、ファッション、そして音楽。雑多なカルチャーが寄り添うように共存する街、下北沢では、レコードショップの名店も多い。ここでは、海外からも客がやってくる老舗の名店や、ここ数年でオープンした魅力的な新店、ノイズ・アンビエントや辺境音楽などをそろえるマニアックな一軒、クラブDJ御用達の一軒まで、個性豊かなレコードショップの数々を紹介する。 

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カレー店のオリジナルTシャツ8選
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東京には数えきれないほどのカレー店が軒を並べている。これまでエリアやジャンル別などで特集を組んできたが、今回は「Tシャツ」に焦点を当てようと思う。なぜか、カレー店ではユニークで個性的なデザインのTシャツが密やかに販売されているからだ。

ここでは、ちょっぴりスパイス香る洒落たTシャツを紹介する。

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