ナイトタイムエコノミーは国家主導で進めるべき
第1部のテーマは、インバウンド消費拡大の起爆剤として期待が集まる「ナイトタイムエコノミー(夜間経済)」だ。夜間(日没〜日の出まで)の経済活動を意味し、消費拡大や新たなビジネス機会の創出が見込めることから、世界各国で様々な取り組みが進められている。
日本でも近年、ナイトタイムエコノミー振興に向けた動きが活発化している。2016年の風営法改正を皮切りに、2017年4月には自民党に時間市場創出推進議員連盟(ナイトタイムエコノミー議連)が発足。同年12月には、コンテンツの多様化や営業時間の見直し、交通の24時間化などの具体策を盛り込んだ中間提言も発表された。
カンファレンスでは、まず同議連の事務局長を務める環境副大臣の秋元司が中間提言の内容を整理しながら、ナイトタイムエコノミーの現状と課題について発表した。
「これまで日本には『夜間の活動は不健全』という風潮が強く、バーやダンスクラブを含む幅広い業種に厳しい営業規制があった。しかし、2016年の風営法改正が転換点となり、昨年10月にはデジタルダーツやシミュレーションゴルフが風営法の規制対象から外れるなど、健全な夜の娯楽コンテンツが育つ土壌は整いつつある。何よりも、ナイトタイムエコノミーに対する社会的認知の高まりは、最も大きな成果といえるだろう」(秋元)
また、秋元は「自治体や関連機関が安心してナイトタイムエコノミーに取り組める指針づくりが必要」と話し、一例として注目の夜間コンテンツとされるプロジェクションマッピングを挙げた。
「プロジェクションマッピング実施の可否は、これまで各自治体に委ねられ、現場が判断に悩む場面も多かった。そのため国は2018年3月、統一の運用ルール(投影広告物条例ガイドライン)を策定し、スムーズな実施環境を整えた。ナイトタイムエコノミーを推進するには、国が明確な方針を示し、グレーな部分をクリアにしていくことが重要だ」(秋元)