第1部では、ゲストそれぞれの取組みを紹介。まずは牧野が登壇した。トリップアドバイザーはホテルやレストラン、観光施設など旅行に関する口コミサイトとして2000年にアメリカでスタートした。日本版は2008年にリリースされ、現在は月間3億9000万人に利用されている。2016年より日本版の代表取締役を務める牧野は、トリップアドバイザーの口コミから見える、デジタルマーケティングによるインバウンド戦略のポイントについて述べた。ひとつは日本人の行く場所と外国人の行く場所は異なるということ。東京の人気スポットランキングの場合、フクロウカフェや歌舞伎町にあるサムライミュージアムのように外国語の口コミがほとんどという場所があげられる。トリップアドバイザーのサムライミュージアムのページには22ヶ国語、900件近いレビューが投稿されており、うち日本語はわずか23件のみだった(2017年6月12日時点)。人気の理由を口コミに求める際のポイントとして牧野があげたのは、国別で分析するということ。インバウンド戦略というと、欧米やアジア圏など大きなくくりをターゲットにしがちだが、英語圏でもアメリカ、イギリス、オーストラリアでそれぞれ人気のスポットは異なる。どこの国の人が何に興味があるのかを明らかにすることが、インバウンドマーケティングで成功する上で重要なポイントとなる。
牧野はトリップアドバイザーを利用した人気獲得の仕方についても触れ、同サービスの強みは、登録されているホテルや観光施設のオーナーが紹介ページを管理できることだと述べた。写真の更新や口コミへの返信など、積極的にページを活用することで、ユーザーの評価は上がるそうだ。そもそもユーザーが口コミを書く動機は「いい体験を共有したい」からであり、5ポイント制でありながら平均は4点台ということからも、ネガティブな口コミは書かれにくいことは明らかだろう。ブログのように自分の記録として利用しているユーザーがいることも、ポジティブなレビューが多い一つの要因かもしれないと牧野は分析している。