Julian Abrams
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2022年、世界で注目するべき22のこと

見逃せない音楽イベントやアート、演劇など、2022年地球上で起こる最高にクールなことを紹介

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タイムアウトが前回このリストを発表したのは、2020年1月頭のことだった。覚えているだろうか? 新型のウイルスが発生したという噂が広がりつつあったが、世界のほとんどの地域ではごく普通の生活をしていたはずだ。そのころ、私たちはいつものように自分たちの仕事をこなし、計画も立てていた。世界中で新しい文化的な活動がたくさん起こるのを、楽しみにしていたはずだ。

しかし、2020年は基本的に何もできぬまま終わってしまった。音楽や芸術、演劇などの公演はどうしても同じ空間に大勢の人を集める必要があったからだ。パンデミックにより大型のイベントはすべて中止され、フェスティバルシーズンはお蔵入りになった。

私たちはお出かけ情報の記事を書くのをやめて、「Time Out」から「Time In」へと名前を変えたほどだ。当時の予定は、気が滅入るほど空っぽに見えた。

しかし、ワクチンのおかげで私たちの生活はある程度正常な状態に戻りつつある。2021年の「するべきこと」は発表しなかったが、2022年は素晴らしいイベントが開催されると確信している。大規模な博物館のニューオープンから大型のフェスティバル、演劇や美術展まで、タイムアウトが注目する22のことをチェックしてみよう。

原文はこちら

1. スターのリビングルームを覗く。

パリ(フランス)

フランス人歌手、セルジュ・ゲンスブールが晩年の20年間を(時折、物議を醸し)過ごしたパリのタウンハウスは、彼のレガシーをたたえる非公式の聖地のような場所になっている。1991年にゲンスブールが亡くなって以来、内部は完全に閉鎖されていたが、2022年春、ついに彼の人生と作品を収蔵したミュージアムとしてオープンする。

プロジェクトを主導するのは、ゲンスブールの娘シャルロット・ゲンズブールだ。一番の見どころは、ピアノ、アールデコのバー、膨大な彫刻のコレクションなどが並ぶ、エキセントリックなリビングルームだ。

2. 藤本壮介が手がけたコンサートホールに行く。

ブダペスト(ハンガリー)

ブダペストには(ビートルズの歌詞に登場するような)「4000個の穴」はないが、最近シティパークに、たくさんの穴がある白い屋根が特徴の建物が出現した。これは、2022年初頭にオープンする音楽施設House of Hungarian Musicで、設計は建築家の藤本壮介だ。

屋根に開けられた穴は100個ほど。これらの穴には自然光が入り、木が頭を出し、音が流れる。内部空間にあるのは2つのホール、展示スペース、図書館で、それらを壮大ならせん階段がつなぐ。再生可能エネルギーを積極的に利用するため、外装は全面ガラス張りになっている。

施設は、ペスト北東部に隣接する歴史的なエリアを再生するLiget Budapest Projectの一環として建てられた。今後同じエリアには、新しい民族学博物館も完成する予定だ。 

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3. ココ・シャネルを知る。

メルボルン(オーストラリア)

ビクトリア国立美術館(NGV)では2022年4月25日(月)まで、フランス人デザイナー、ガブリエル(別名ココ)・シャネルの生涯と作品に焦点を当てたオーストラリアで初の展覧会『Gabrielle Chanel. Fashion Manifesto』が開催されている。パリを代表するファッション美術館であるガリエラ宮(パリ市モード博物館)とのコラボレーションで実現した同展は、フランス国外では初巡回。

NGVの展示ホールには、シャネルの服が100点以上も並ぶ。ファッション、香水、ジュエリー、アクセサリーなどのデザインに「ココ」が永続的に与えている影響を、オーストラリアの美術館らしくマルチメディアを駆使して探る。

4. 10年に一度の機会を逃さない。

アルメレ(オランダ)

10年に一度開催される国際園芸博覧会『フロリアード』は、「壮大」という言葉では足りないほどのビッグイベントだろう。2022年4月14日(木)、アルメレのウォーターフロントに造られる特設会場で幕を開ける。

テーマは「グリーンシティの構築」。40カ国のパビリオンをはじめとするたくさんのパビリオン、樹木園や大きな温室施設、公園を見下ろすロープウエーほか、音楽ライブ、ワークショップなども楽しめる。「世界一のフラワーショー」と呼ばれるのも納得だ。

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5. 業界を発展させた映画人を発見する。

ロサンゼルス(アメリカ)

過去数十年間のアカデミー賞受賞者を振り返ることはそう難しくないが、「映画の歴史」はそう簡単にはいかない。新しくロサンゼルスにできたアカデミー映画博物館のコレクションが示すように、映画というメディアの発展の影には、多くの物語がある。


宮崎駿回顧展に続き、同美術館が22年後半の企画展でフォーカスを当てるのが、見過ごされがちな映画の歴史だ。ワシントンD.C.の国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館とのコラボレーションによる『Regeneration: Black Cinema 1898–1971』では、映画産業の誕生から公民権時代までの黒人映画作家の仕事を紹介する。

6. 壮大なスケールの美術館を訪れる。

オスロ(ノルウェー)

2022年6月、ノルウェーのオスロに国立美術館の新館がオープンする。場所は、市内でもにぎやかなエリアと知られるアーカーブリッゲ港だ。この美術館は1150年に制作されたバルディショールタペストリーほか、エドヴァルド・ムンクの『叫び』、フランダース黄金時代の風景画など、10万点もの収蔵品を誇る。

この新美術館の最大の特徴は、最上階にある2400平方メートルのLight Hallだろう。大理石調のガラスに囲まれたこの広大な空間で、企画展が開かれる。さらに、エネルギー効率とエコロジカル・フットプリントを低く抑えた建物としても評価が高い。新館の完成で、同国立美術館の規模は北欧最大となる。これにより、オスロがさらにヨーロッパの文化都市の一つとして、さらに注目を浴びることは間違いないだろう。

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7. ブロードウェイでは歴史も楽しむ。

ニューヨーク(アメリカ)

2022年夏以降、ニューヨークのブロードウェイへショーを見に行くのであれば、早めに同エリアに到着するのがいいだろう。新しいミュージアム・オブ・ブロードウェイを開演前にじっくりと見学するためだ。

ブロードウェイの歴史に特化した初めての施設となるこのミュージアムは、3つのパートで構成される。入館後、まず見学者が訪れるのは地図室だ。ここでは、タイムズスクエアにブロードウェイができるまでに、劇場がマンハッタンの中をどのように移動してきたかを知ることができるだろう。2つ目のスペースでは、ブロードウェイにおける芸術の発展をさまざまな工芸品や芸術作品を通して紹介する。

3つ目の「バックステージ」スペースでは、ショーを日々作り上げている職人たちに迫る。舞台幕の裏側をのぞき見るような、有益で楽しい体験が楽しめる施設になることは間違いない。

8. 世界の果てで踊る。

シンクエイリ(アイスランド)

もう夜遊びには飽きてしまった? ベタベタした床、人の汗が天井から滴るほど熱狂的な空間、高額なタクシーでの帰宅はちょっと物足りない? そんなときは「世界の果て」で開かれるパーティーで気分を盛り上げてみるのはどうだろうか。​​

2022年春、アイスランドのウェストフィヨルドに位置する漁村、シンクエイリで、1970年代のニューヨークのディスコをモチーフにしたイベント『Detour Discotheque』が開かれることになった。人数は160人までというアットホームさで、アイスランド、アメリカ、イギリスのDJがプレイ。ダンスフロアには(もちろん)巨大なミラーボールが回る。このイベントは、世界のへき地で開催されるパーティーシリーズ第1弾。ほかでは楽しめない特別な夜になりそうだ。

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9. 巨大な新劇場の演目を予約する。

台北(台湾)

計画から遅れること7年。2022年夏、ついに台北パフォーミングアーツセンターがオープンする。総工費は54億台湾ドル(約222億)で、総面積は5万9000平方メートル。建物を設計したのは、レム・コールハースとデイヴィッド・ジアノッテンだ。

まるで工業的ケーキのような見た目のこの建物は、工事が進むにつれて何年も前から注目を浴びてきた。隣接する地下鉄駅に向かって膨らむ球体の中には800席の劇場があり、2つの箱のような突起部分には1500席の大劇場と800席の劇場が入っている。

この建物で最も優れているのは、3つの劇場をつなぐループ状の通路だろう。この部分はチケットなしで通れる。通路は舞台を制作する関係者向けのバックヤードともつながっていて、一部の部屋の様子は通路の窓からのぞくことができる。この場所で演劇を観るのが待ち遠しい。

10. シルクロードを鉄道でたどる

タシケントからヒヴァ(ウズベキスタン)

2022年、ウズベキスタンの首都タシケントから西部のヒヴァまで高速鉄道が開通する。このルートは、かつてマルコ・ポーロが辿ったもの。ヒヴァは、94のモスクと63のマドラサが世界遺産に登録される文字通り「世界遺産の街」だ。

今年は、同ルートにあるサマルカンドに複合観光施設のSilk Road Samarkandが、タシケントにはState Museum of Artsが新たに完成する。ウズベキスタンの豊かな交易の歴史に光を当てる鉄道の旅に出てみてはどうだろう。

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11. アンデルセンの世界に迷い込む。

オーデンセ(デンマーク)

コペンハーゲンから鉄道で90分の場所に、小ぢんまりとした魅力的な街、オーデンセがある。「おとぎ話の巨匠」であるハンス・クリスチャン・アンデルセン生誕の地としてよく知られているこの街に、新たにハンス・クリスチャン・アンデルセン博物館がオープンした。独創的な手法でアンデルセンの人生を振り返る展示に、本人もきっと大喜びしていることだろう。

12. 11日間の音楽フェスで大暴れする。

バルセロナ(スペイン)

バルセロナのビーチ沿いを巨大なパーティー会場に変え、世界中からたくさんの観客を集める音楽フェス『Primavera Sound 2022』が、6月2日(木)から12日(日)まで開催される。

最も盛り上がるのは期間中2回ある週末だが、その合間に街中のヴェニューでコンサートも楽しめる。さらに、イベント終盤にはDJイベントを追加。つまり11日間にわたって、太陽の光を浴びながら、今最もホットな音楽を楽しむことができるのだ。

ラインアップは実に多彩。ザ・ストロークス、タイラー・ザ・クリエイター、ペイヴメント、ゴリラズ、デュア・リパといったアーティストに加え、ジェイミーXX、ジェフ・ミルズ、LCY、シャンティ・セレステといったDJ陣も参加する。チケット発売時に多くの音楽好きが沸き立っていたのも納得だ。

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13. 世界で最も荘厳な没入型演劇を観る。

ロンドン(イギリス)

没入型演劇の神といわれるPunchdrunkが、ハリウッドを題材にした『The Drowned Man』で話題をさらってから8年。以降、ロンドンで彼らの本公演を観ることができなかったが、2022年3月、ついに新作『The Burnt City』が上演される。

この物語は、かつて軍の兵器庫だった2棟の建物で展開する。トロイア戦争を舞台にした2つのギリシャ悲劇からインスピレーションを得ているという。きっと今回も、彼らのスケールと野心に圧倒されるはずだ。

Punchdrunkが作り出す演劇作品というより、はっきりとした白昼夢ともいえる世界観。ロンドン市民がまもなく、ここに足を踏み入れることができるのは非常に喜ばしい。

14. Instagramをカラフルにする。

シカゴ(アメリカ)

アメリカ各地を巡回してきた、万華鏡のように美しいインタラクティブアート展『Color Factory』が2022年春、シカゴに上陸する。Catalog at Willis Towerを会場とするシカゴ版は、同シリーズの中でも最大規模になる見込みだ。

展示が始まると、シカゴの人々はここぞとばかりにInstagramにたくさんのカラフルな蛍光灯をアップするだろう。ピンク色の部屋やNASAをテーマにしたボールピットなど、『Color Factory』の「定番」に加え、シカゴをテーマにした展示にも期待が高まる。

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15. 世界初のテーマパークでジブリの世界に浸る

名古屋(日本)

スタジオジブリ作品の世界観に没入できる世界初のテーマパークとなるジブリパークが、2022年秋、名古屋にオープンする。パークは『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などのヒットアニメをフィーチャーした5つのエリアで構成(3つのエリアで先行開業)。各エリアでは展示、自然、学び、買い物など、さまざまなテーマが楽しめる予定だ。

すでに発表されているパークのイメージ図はどれも素晴らしいものばかり。ここなら何か不思議なことが起こったとしても、誰も驚かないだろう。

16. 劇的なロケーションで怪人と出会う。

シドニー(オーストラリア)

2022年3月、アンドリュー・ロイド・ウェバーの大ヒット作『オペラ座の怪人』新バージョンが上演される。会場はシドニーのオペラハウスではなく、シドニーハーバー沿いの「海上」。ウェバーは同作の新たな形での上演にはほとんどゴーサインを出さないことで有名だが、今回は特別な何かがあったようだ。

指揮を執るのは、オーストラリアで最も尊敬されている2人の演劇人。演出家のサイモン・フィリップスと舞台装置デザイナーのガブリエラ・テレソワだ。初演は3月25日(金)で、約1カ月間上演される。 

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17. 寝台列車でヨーロッパを縦断する。

プラハ(チェコ)からブリュッセル(ベルギー)

チェコの美しい首都プラハで鉄道に乗り込み、寝ている間に800キロメートル移動。欧州連合の首都でワッフルとビールの楽園ブリュッセルで目覚めることを想像してみよう。2022年、European Sleeper社とRegiojet社が提携して運行する新しい寝台列車のおかげで、夢のような旅が現実になる。

気候変動危機を受けたヨーロッパ全体で、古き良き寝台列車を復活させる動きは目立ってきたが、この新路線の規模は最大といってよいだろう。プラハとブリュッセルを結ぶだけでなく、ドレスデン、ベルリン、アムステルダムも経由し、全ての列車には無料Wi-Fi、コーヒー、朝食を用意する。なんとも魅力的なプランだ。

18. ゲーム・オブ・スローンズのスタジオツアーに参加する。

ベルファスト(北アイルランド)

2022年は、スローニー(『ゲーム・オブ・スローンズ』好き)によって、ビッグイヤーになるだろう。前日譚(ぜんじつたん)ドラマである『ハウス・オブ・ドラゴン』が放送されるだけではなく、ウェスタロスの巡礼の旅へ出られるようになるからだ。

そう、いよいよ『Game of Thrones Studio Tour』が、2022年2月4日(金)がスタートする。開催場所は、​​北アイルランドのベルファスト郊外にあるリネンミルスタジオ。ロンドンの『ハリー・ポッター・スタジオ・ツアー』のように小道具や衣装、セットのほか、ウィンターフェル城の大広間全体が公開される予定。もちろんショップもある。どんなアイテムが並ぶのか、今から楽しみだ。

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19. ツタンカーメンの新しい寝床をチェックする。

ギザ(エジプト)

2022年11月、一つの文明に特化したものとしては世界最大級の博物館、Grand Egypt Museumがオープンする。ロケーションはギザの大ピラミッドの目の前で、首都カイロからは車で40分ほど。建物の礎石は2002年には据えられていたが、2010年のアラブの春騒動でプロジェクトが中断し、現在は秋のオープンに向けて24時間体制で工事が進められている。

展示は、デスマスクを含めたツタンカーメン王の遺品5000点。これらの品々が、同じ場所で見られるのは史上初となる。

20. 文化の宝石を発掘する。

ノヴィ・サド(セルビア)

『EXITフェスティバル』の開催地と知られるセルビア第2の都市ノヴィ・サドにとって、2022年はパラダイムシフトの年となるだろう。この街が、今年の欧州文化首都に選ばれたのだ。

廃虚となったパスタ工場やMlin Cultural Stationなどの会場で現在、ヴォイヴォディナ自治州の文化が感じられる1500以上のイベント(出演アーティストは4000人以上)が計画されている。

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21. ウォーターフロントを探検する。

イスタンブール(トルコ)

新館工事のため一時的に移転していたIstanbul Museum of Modern Artが2022 、カラコイのウォーターフロントに帰ってくる。建築界のレジェンド、レンゾ・ピアノが設計した新館では、現代アート向けのスペースが拡大され、展覧会が増える見込みだ。図書館、映画館、デザインショップ、イベントスペースも併設される。

 周辺には、ボスポラス海峡に沿った長い歩行者専用プロムナードほか、ショップやレストランを有する多目的施設であるGalataportが続々とオープンした。美術館のリニューアルオープンは、ウォーターフロント一帯をさらに活気づけそうだ。

22. タイムアウトマーケットで地元の味を堪能する。

ポルト(ポルトガル)

リスボン、ニューヨーク、モントリオール、シカゴ、ボストン、マイアミ、そしてドバイにあるタイムアウトマーケットについては、多くの人が知っているだろう。我々は有名なシェフやバーテンダーを招き、地元の人々や観光客がその土地をよりよく知ることができるよう、ホスピタリティビジネスに本格的に参入している。2022年には、ポルトガルの第2の都市ポルトへも出店する。

歴史的なサン・ベント駅内の約2000平方メートルのスペースには、15軒のレストラン、4軒のバー、4軒のショップ、カフェ、そしてアートギャラリーが入る予定だ。旅行事情が好転することを祈りつつ、多くの人がタイムアウトマーケットポルトを訪れてくれることを待ち望んでいる。

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