ホー・トゥイ ティエン・ウォーターパーク
ホー・トゥイ ティエン・ウォーターパーク(Photograph: Shutterstock)
ホー・トゥイ ティエン・ウォーターパーク(Photograph: Shutterstock)

世界で訪れることができるクールな廃墟11選

シンガポールやドイツ、メキシコなどにある不気味なほど美しい廃墟やランドマークを紹介

Huw OliverSophie Dickinson
翻訳:: Mari Hiratsuka
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役目を終え、住人がいなくなった建物はどうなるのだろうか。壊されたり、ノベーションされたりもすれば、自然の中に放置されぼろぼろになったりすることもある。

世界のあちこちには不気味な廃墟があり、シンガポールの落書きだらけのアールデコ様式の家から、ドイツの朽ち果てたサナトリウムに至るまで、こうした不気味な建物はほとんど忘れ去られてしまっている。ここで「ほとんど」と言ったのには理由がある。秘められた歴史のファンや世界の秘境情報ガイド「アトラス・オブスキュラ」の熱狂的な愛好者たちが、こういった場所が地図上から完全に消し去られることを阻んでいるからだ。

廃墟になった理由はさまざま。政変や経済的破綻もあれば、所有者が放置しているだけということもある。だが、これらの場所の多くに共通していることがあるとすれば、訪れた人がゾクっとするような不気味さが間違いなくあるということだろう。ここでは、世界各地にあるおすすめの廃墟11カ所と、そこにまつわる物語を紹介しよう。

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1. クパリホテルリゾート(クロアチア)

アドリア海沿岸に建てられた、5つのホテルから成るユーゴスラビア軍幹部用複合施設。かつては高級リゾートだったクパリは、30年近くもの間、略奪や放火に遭い、ツタに覆われた廃墟と化した。全盛期には、何千人もの将校とその家族が毎年ここで休暇を過ごしていた(あのチトー大統領も訪れたことがある)。

行く前に知っておくべきこと:5つのホテルはいずれも比較的アクセスしやすい場所にあるが、割れたガラスには注意しよう。

2. チー・グアン・チェン邸(シンガポール)

シンガポールの建築家Ho Kwong Yewが、銀行王の息子で富豪のChee Guan Chiangのために手がけたアールデコ調の邸宅。第2次世界大戦後、一時は主に外国人観光客向けの宿泊施設となったが、1970年代の法廷闘争を経て、今は空き家となっている。スタイリッシュなファサードの裏側には、樹木が生い茂り、数十年分の落書きを見ることができる。

行く前に知っておくべきこと:かなり近くまで行くことができるが、崩れかけた壁、たくさんの瓦礫や割れたガラスがあるため、中に入るのはお勧めできない。

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城の側面の「バナーマンの島の兵器庫」という文字を見れば、この無秩序に広がった廃墟の奇妙な歴史についておおよその見当がつくだろう。バナーマン城を中心とした一帯はニューヨークの北約80キロ、ハドソン川のポレペル島にある。

この区域は武器弾薬商人のフランシス・バナーマンが1900年に倉庫用地として買収。1年後、バナーマン家はその地にそびえたつスコットランド風の城を増築した。1920年には約200ポンドの砲弾が爆発し、施設の大部分が破壊される。そして1960年代の火災も廃墟化に拍車をかけた。現在では、ツアー客が定期的に訪れている。

行く前に知っておくべきこと:バナーマンキャッスルトラストが週末ツアーを主催しており、参加者は遊覧船に乗って景色を楽しんだ後、島内を散策するというものだ。

4. ベーリッツ・ハイルシュテッテン・ホスピタル(ベルリン)

現在ではすっかり荒れ果てているが、19世紀は肺病患者のサナトリウムだった場所。その後、軍の病院となり、第1次世界大戦中には若き日のアドルフ・ヒトラーを治療し、第2次世界大戦中は野戦病院として使用された。

戦後はロシア軍が占領し、約50年間、旧ソ連中の患者を治療してきた。1995年以降は、外科病棟、精神科病棟など60棟の建物の多くが放置され、周囲の草深い森の中で朽ち果てるのを待っている。

行く前に知っておくべきこと: 印象的な建物の多くは立ち入り禁止になっているが、そのほかは自由に見学できる。新しく作られた「キャノピー・パスウェイ」はチケット制で、男性用と女性用に分かれた病棟と厨房の内部を見ることができる。

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5. ホー・トゥイ ティエン・ウォーターパーク(ベトナム)

誰もいない円形劇場、長い間放置されたままのウォータースライダー、崩れかけた3階建てのドラゴン。廃墟となったウォーターパークと海洋生物センターの「ホー・トゥイ・ティエン」は見どころが多い。2004年に華々しくオープンしたが、財政難のため数年で閉鎖。最近まで池をワニが泳いでいたが、今はすべて野生動物公園に移された。

行く前に知っておくべきこと:公園の正確な場所を聞いて回る羽目になるかもしれないが、一度入園すれば、自由に歩き回れる。ゲートで入場料を徴収する警備員がいる場合がある。

6. クック・ポー(香港近郊)

香港の新界北部の国境地帯には、いくつもの廃村がある。しかし、クック・ポーほど不気味な場所はない。この荒れ果てた村には、かつて約1000人が住み、近くの田畑で米や作物を作っていた。今は、崩れかけた建物の中で、怪しげな浮浪者を見かけるだけである。廃屋となった村の学校はぜひ訪れてほしい。妙に心を揺さぶられるはずだ。学校の一部は小さな寺院になっている。

行く前に知っておくべきこと:到着してからは建物の出入りは簡単だが、村そのものはかなり辺ぴな場所にある。バスでLuk Kengまで行き、そこから数時間歩くことを覚悟しておこう。

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7. サン・フアン・パランガリクティロ教会(メキシコ)

「サン・フアン・パランガリクティロ教会」は、1940年代にパリカチン火山によって破壊されたメキシコの2つの村の唯一の遺構だ。1943年にトウモロコシ畑の中から溶岩が噴出し、パリカチン火山が形成され、さらに続いた噴火は、8年かけて溶岩と火山灰で周辺地域を覆った。溶岩は最終的に教会の下半分を飲み込んで固まったが、奇跡的に祭壇と塔だけが残り、現在に至っている。

行く前に知っておくべきこと:アンガフアンの最寄りのバス停から1時間ほど歩くが、途中、とてつもない数の火山岩を登っていくことになる。ただし、道の標識はわかりやすく、教会に近づくのは比較的容易だ。

8. マンセル海上要塞(イギリス)

テムズ河口の真ん中にあるこの宇宙からの侵略者のような建造物は、第2次世界大戦中に建設された対空砲塔の防衛網の一部、マンセル海上要塞だ。各要塞は、中央司令塔を中心に7つの支柱付き建物で構成されている。1960年代に2つを除いてすべてが廃棄され、現在はレッズサンズとシバリングサンズの要塞が残っている。

行く前に知っておくべきこと:要塞は整備されていないため、中に入るのはお勧めできない(おそらく違法行為だ)。ボートで近づくか、シューベリーイーストビーチから眺められる。

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9. プレシディオ・モデーロ刑務所(キューバ)

キューバで閉鎖された一連の5つの刑務所の1つ。大統領から独裁者になったへラルド・マチャドの下で1926年から1928年にかけて建設され、1966年以降は使われなくなった。「パノプティコン」と呼ばれる監視方式を採用した建物は、中央の監視塔を囲むように独房が配置され、囚人からは監視塔の中が見えないため監視されているかどうかが分からないようになっている。フィデル・カストロとラウル・カストロは、1950年代にここに投獄された。

行く前に知っておくべきこと:建物は現在、キューバ政府によって運営される博物館と国定記念建造物になっている。ガイドツアーもある。

10. カンフランク国際鉄道駅(スペイン)

かつてヨーロッパ最大の鉄道駅であったカンフランク駅は、フランスとスペインを結ぶ主要鉄道の中心的な存在だった。第2次世界大戦の勃発直後は、ユダヤ人の脱出ルートとして一時使われていたが、すぐにナチスに占領される。さらにフランスに住むユダヤ人から盗まれた金がこのルートを通って流れ、戦後になると今度はナチスの戦犯が何人かここを通って逃亡した。

そして1970年の列車事故により、駅舎は完全に放棄される。しかし、本館地下では、スペインの物理学者がカンフランク地下宇宙素粒子研究所を運営している。

行く前に知っておくべきこと:見学はツアーのみ可能。チケットはすぐに売り切れてしまうため、余裕をもって予約しよう。

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11. ブズルジャ記念建造物(ブルガリア)

ブルガリアの山岳地帯にあるブズルジャ山の上に建つこの巨大な記念建造物には、かつてレーニンやマルクスなどの大きな像や壁画があった。 
 19世紀後半、ブルガリアの社会主義者たちが集った場所を記念するために建てられたこの建物は、1989年の共産党政権の崩壊後に放棄されたため、多くの芸術作品が取り除かれてしまった可能性がある。しかし、圧倒的な空間は健在で、内部に雪が降り注ぐときなどは特に、不気味なほど美しい。

行く前に知っておくべきこと:ブズルジャの日帰りツアーは、ブルガリアの各都市から催行されているが、かなり高額だ。それを利用しない訪問者も、建物の外からその大胆な建築様式を見学することが許されている。

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2023年も、物価の高騰など引き続き厳しい年となりそうだ。しかし世界的な経済不況以上に、私たちには新しい発見をするための旅を止められない。ここでは、再び世界各国の国境が開かれたこの年を、最大限に楽しむためのアイデアを紹介しよう。

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