吉祥寺と西荻窪は、のんびりとした時間が流れる落ち着いた街だ。どちらにも公園があるので、子ども連れにもおすすめである。ここでは、2つの街の一押しカフェを紹介する。緑に囲まれた可愛らしいカフェから、背伸びをしてコーヒーを注文したくなるような喫茶店まで様々なジャンルで紹介するので、その日の気分にあわせて足を運んでみてほしい。
井の頭公園の森の奥、三鷹の森ジブリ美術館近くにひっそりと佇むフレンチカフェ。東京とは思えない緑に囲まれたこの空間では、フランスのブルターニュ地方では家庭料理として馴染みのあるガレットやクレープなどを楽しむことができる。定番メニューのガレットは、『フレッシュトマトときのこのジェノベーゼ』や『野菜のトマト煮』など6種類のメニューが用意されており、プラス160円でスモークサーモンや半熟卵などをトッピングすることも可能。北海道産のそば粉100%で作られたガレットは風味も豊かなので、ぜひ味わってみてほしい一品である。
西荻窪駅北口を出て、大通り沿いを左側に5分ほど歩いたところにある創業1975年の喫茶店。国立にあった邪宗門という一風変わった喫茶店をモチーフとしたという同店は、壁中に掛け時計がぎっしりと掛けられている。この雰囲気はオープン当初からほとんど変えていないといい、久しぶりに来店した客からは「西荻窪は随分と変わったけど、ここは変わらないね」なんて言葉もよくかけられるそうだ。コーヒーが飲めない人も、ここでは背伸びをしてコーヒーを注文してみよう。コーヒー片手にノスタルジックなこの空間に浸れば、便利すぎなかったからこそ時間の流れ方も、人との繋がりも贅沢であったあの時代にタイムスリップできるかもしれない。
かつて、カフェモナミの一角にて、間借りをしているという理由からMagaliという名前で金曜、土曜、日曜日の夜に焼き菓子の販売を行っていた現kies店主が、満を持して2016年6月末にオープンさせた焼き菓子店。場所は荻窪中学校近く、骨董品店などが多く立ち並ぶ通り沿いだ。出迎えてくれるのは、ラズベリージャムとバタークリームが挟まれた『ヴィクトリアスポンジケーキ』をはじめ、程よい甘さの『きな粉ビスケット』、Thanksと刻まれた可愛らしい『Thanksクッキー』、やみつきになる『カレークラッカー』などといった数々の焼き菓子たち。ビスケットやクッキーは1枚から購入することができるので、色々な味を気軽に楽しめるのも嬉しいところだ。焼き菓子特有のパサパサ感が嫌だという人もいるかもしれないが、kiesの焼き菓子は口当たりがしっとりとしているうえ、無駄なものが一切ないシンプルな味わいが特徴。この美味しさには、リピーター続出なのも納得である。
南口の商店街を抜け、アイスクリームショップぼぼりがある通りを3分ほど歩いたところにあるジャズ喫茶。店名は、店主が大好きだというフィンランド映画『JUHA』から取られており、その映画の世界を表現したという店内は北欧調で温かみのある空間となっている。音楽に耳を傾けながらじっくりと考えごとをしたり、読書をするにもうってつけだが、そんな時間の相棒としてぜひチョイスしてほしいのが『マサコのあんトースト』だ。使用している食材こそ違うものの、このトーストはかつて下北沢に店を構えていたジャズ喫茶、マサコで提供していたメニューを再現したものとなっている。JUHAでは、近所の人気ベーカリー、ぐーちょきパン屋のパンを使用しているので、マサコファンはもちろん、ぐーちょきパン屋ファンも必見の一品だ。バターの良い香りが漂ってきたら、そろそろ目の前に運ばれてくる合図。ぜひ温かいうちに味わってほしい。
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コーヒーが日本に伝わったのは江戸時代と言われている。当初は、その味と香りがなかなか受け入れられなかったそうだが、明治時代の終わり頃から喫茶店も多く登場し、日本にもコーヒー文化が根付いてきた。そして今もなお、時代の移り変わりとともに日本のコーヒー、カフェ文化は独自の進化を遂げている。この特集では、星の数ほどある東京のカフェのなかから、サードウェーブのブームによって生まれたコーヒー専門店や、カフェの歴史に名を残す老舗、テーマを持ったカフェなど50軒を紹介する。一人じっくりとコーヒーに向き合いたい時はもちろん、友人との会話を楽しむ場や、街散策の休憩スポットとしてもぜひ足を運んでみてほしい。
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