世界で次々と合法化される同性婚、アジアの国々は?

欧米とは異なる、LGBTを取り巻く現状

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欧米では近年、同性婚を認める国・地域が次々に誕生している。2017年だけでも、フィンランドとマルタ、ドイツ、オーストラリアの4カ国で新たに認められた。

一方、アジアに目を向けると、法律で同性婚を認めている国はいまだ皆無。アジアの特徴としては、もともとは性のあり方に対して寛容だったのに、植民地時代に、同性愛を蔑視(べっし)する西洋の文化・慣習が取り込まれたことによって規制が始まったというケースが多い。LGBTを取り巻く現状を、タイとインド、中国、台湾、ベトナムの4つの国・地域で見てみよう。

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タイ

同性婚は(ほとんど)認められていない

タイは、「LGBT大国」というイメージを抱く人も多いであろう国だ。そんなタイも、過去をさかのぼると、側室や侍女が女性同士で性的関係を持つのは違法で、ムチで50回叩かれ、クビに刺青を入れられ、公衆にさらされるという信じられないような罰が下されていたという。

現在は憲法で「出生地、民族、言語、性別、年齢、障害、心身の状態、身分、経済もしくは社会的な地位、信仰、教育、もしくは憲法に抵触しない政治信条の違いにより人を不公正に差別することはできない」と定められている。同性同士での挙式もOKだ。

一方で、法律では同性婚を認めておらず、結婚式を挙げたとしても、婚姻証明書を発行してはもらえない。

ややこしい矛盾も

だが注意したいのは、だからと言って、「同性」の結婚が必ずしも認められていないわけではない。どういうことか。

タイでは、性別は生まれた時点で決まっており、後から変更はできないとされている。つまり、女性が性転換手術で男性になって、女装好きな男性と結婚するのは問題ないわけだ。「同性」の定義が特殊なため、こうした不思議な矛盾が起きている。

また意外なことに、法律では同性カップルが代理母を使って子どもをもうけることも認められていない。

インド

同性愛自体が犯罪、ただ変化の兆しも

刑法では同性間の性的関係を犯罪としており、最高で懲役10年の刑が課せられる。だが2009年、高等裁判所が同法は憲法に違反していると判断。LGBT当事者らは歓喜に沸いたが、2013年に最高裁がこの判決を覆し、合憲であるとの判決を下した。

ただ、2017年には最高裁が「家庭のプライバシーでは、家族、婚姻、出産および性的指向が保護されねばならない」とも言及しており、今後の社会情勢に影響を与える可能性がある。

代理出産目的の入国は規制

インドには、生殖補助医療を規制する法律がこれまではなかったため、世界中から同性カップルを含む様々な人が、代理出産などを目的に訪れていた。

2008年、日本人夫婦がインドで代理出産して生まれた女児が、日本に帰国できなくなるという問題が発生した。夫婦が出産前に離婚してしまい、妻が引き取りを拒否したためだ。インドの法律では、妻を持たない男性が女児を養子にすることができない。この問題以降、インドでは代理懐胎を目的にした入国が制限されるようになった。

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中国

同性愛自体認められていない

法律の文章を読むと、「男女」という言葉ばかりが出てくる。

「婚姻は、男女双方の完全に自由な意思によるものでなければならず」「男は満22歳より早く、女は満20歳より早く婚姻することができない」といった具合だ。

つまり、同性愛の存在自体が認められていない。

台湾

合法化まで秒読み段階、アジアで初

かつては、立法院が「同性愛者は少数の変態者」と愚弄するほど保守的な時代もあったが、最高司法機関「大法官会議」が20175月、同性婚を認めない法律は憲法違反であるとの判断を下した。これにより、台湾政府は20195月までに法律を整備しなければならなくなった。同性婚の法制化は、アジア初だ。

2000年に起きた「話しぶりが女っぽい」といじめられていた15歳の少年が、学校で遺体となって発見された事件などをきっかけに、2004年に性別平等教育法が定められるなどし、LGBTの権利をめぐる社会の潮流は確実に変わってきていた。

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ベトナム

同性で婚姻の届け出はできない

同性婚はOKだが、婚姻を届け出ることはできない。男女の夫婦と同じ権利はないということだ。

法律で、性別の変更は認められているものの、性転換手術は違法とされている。つまり、海外で手術を受けるしかない。

逆に言えば、一度性別を変更すれば、役所に新たな性別で戸籍を届け出することは可能ということだ。

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