東京の玄関口として1914年に開業した東京駅。翌年、国内外の賓客を迎える宿泊施設として、東京駅丸の内駅舎内に「東京ステーションホテル」が誕生した。設計は日本における西洋建築のパイオニアとして知られる辰野金吾。3階建ての赤レンガ造りの壮麗な建築は当時話題を呼び、開業当初から連日満室という盛況であった。
戦争により駅舎の3階部分やドームが消失。約60年以上2階建てとなっていたが、2003年に国の重要文化財に指定されたことで、2007年より保存・復原工事がスタート。2012年に創建当時の姿が蘇った。
英国のデザイン会社、リッチモンド・インターナショナル社が手がけた館内は、上質なヨーロピアンクラシック調。全150室の客室は、南北の駅舎ドームを望む「ドームサイド」や開放感あふれる駅前広場を眺められる「パレスビュー」など11のタイプだ。
数々の文豪に愛されたホテルとしても知られ、松本清張の「点と線」をはじめ多くの作中の舞台となった。歴史が詰まった空間に浸り、小説の主人公気分を味わうのも悪くないだろう。