旧帝国大学出身者による同窓団体「学士会」の交流の場として使われてきた施設。1913年に初代となる木造2階建ての建物が創建されたが、大火によって焼失。その後も再建と焼失を繰り返し、1928年に現在の旧館が建設された。
設計は「日本橋高島屋」や「帝国ホテル」の設計者として知られる建築家の高橋貞太郎だ。関東大震災の教訓が生かされており、当時では珍しい鉄骨鉄筋コンクリート造りを採用。南側玄関の半円大アーチやスクラッチタイルなど、昭和初期を象徴する装飾が会館各所に取り入れられている。
2・26事件の際には、第14師団東京警備隊司令部が設置され、戦中には会館の一部が空襲の被害を受けた。さらに戦後はGHQに接収され、米軍高級将校の宿舎として使用されるなど、激動の時代を歩んできた建物でもある。
2003年には国の有形文化財に登録。かつては「学士会」会員専用の施設であったが、現在では会員以外でもホテルやレストラン、宴会や婚礼などの利用ができる。在りし日のレトロモダンな趣を存分に堪能してほしい。
また、7月から8月末までは、一番人気のバンケットルームである201号室で飲み放題と食べ放題の恒例企画「学士会館ビアホール」が神田界隈の風物詩となっている。