ミュージカル『RENT』の生みの親である作曲家、ジョナサン・ラーソンの伝記作品。監督を務めたのは、『ハミルトン』『イン・ザ・ハイツ』のリン=マニュエル・ミランダだ。
舞台は1990年のニューヨーク。食堂のウエーターとして働きながらミュージカル作曲家としての成功を夢見る主人公のジョナサンは、制作に8年もの歳月を費やしたオリジナルのロックミュージカルが完成間近にして、重要なシーンがなかなか書けずに焦りを募らせる。30歳を目前に、これまで共に夢を追いかけてきた恋人や親友も現実に目を向け、「別の道」を模索し始めてしまう。
「自分はこのままでいいのか? 自分の夢に本当に価値はあるのか? 時間を無駄にしているだけではないか?」とままならない日々を過ごしながらも、なんとか自分の夢を手繰り寄せていく主人公の姿が胸に突き刺さる。
理想と現実のはざま、夢と迫りくるタイムリミットの間で、揺れ動く人々の普遍的な悩みに寄り添い、背中を押してくれる作品だ。