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—本作は、初めてカリフォルニア以外の土地で映画セットを組んで撮影した作品ですね。アイデアと場所、どちらを優先しましたか。
前からイギリスで制作したいと考えていたんだ。本質的に映画的で、特に時代ものに向いている土地だからね。当初は小説家ダフネ・デュ・モーリアが過ごしたコーンウォール地方での撮影も考えたけど、今作ではそういう気分でもなかったんだ。最初のアイデアでは、怪奇小説家としても知られるケンブリッジ大学の学者、モンタギュウ・ロウズ・ジェイムズの小説を原作にした映画を考えていたよ。このアイデアは改めて検討するかもしれないな。
—撮影中、フィズロイ・スクエアでランチをしていた人々とトラブルになったというのは本当ですか。
私たちはハリウッドのろくでなしだから、「どこか別の場所でランチタイムを過ごしてくれないかな?」と考えていて。実際、そこにいた人たちは柔軟に対応してくれたよ。アメリカ人のカップルだけは別だったけどね(笑)。
—本作はロンドンへのラブレターのように感じました。とは言え、わかりやすいランドマークが数多く登場するわけではないですよね。
たそがれどきのおとぎ話のような場所で撮影したからね。現実はやや薄汚れているものの、「1955年、ロンドン」というインタータイトル(※映像に挿入されるテキスト部分)に合う土地がたくさんあった。そういったことがなければ、より正真正銘な感じになったかもしれないな。
—1950年代のB&B(ベッド & ブレックファースト)で、レイノルズがフレーバーティー「ラプサンスーチョン」を注文しますが、こじつけのようにも感じました。
確かにそのとおり。アメリカ人からすると、イギリス人は未だに紅茶の飲み方を知らないよね。どれをアイスティーにして、どれにレモンを入れるとかさ。
—ヴィッキー・クリープスという逸材を発掘しましたが、彼女は独特のエネルギーにあふれていますね。
彼女は見つめる演技が素晴らしい。自分がどういう立場なのかは、必ずしも明確にはわからないものだ。レイノルズのドレスが不当な扱いを受けるのを彼女が見つめるシーンは、撮影していて最も楽しい時間を過ごせた場面のひとつだったよ。
—ダニエル・デイ=ルイスも素晴らしいですね。彼が引退するというニュースが流れると、Twitter上で「実は“引退した俳優”を演じる準備中」という冗談もささやかれていました。
ああ、役作りで?(笑)
—はい。彼は誤解されていますか。
知られていないのは、彼がいかに面白い一面があるかということだね。そういう評判はないけど、ユーモアのある男だよ。頭が切れるし、それは演技を見てもわかるはず。
—自分が病気の時にパートナーが看病してくれた経験が、物語にインスピレーションを与えるのに役立ったそうですね。ほかにも私的な点はありますか。
自分の関係についての正確な描写ではないけど、「自分ならどうするだろう?」「自分ならどうやって切り抜けるだろう?」と、常に自問自答するからね。でも、「あなたはレイノルズみたい」とはっきり言う女性が多すぎて、その度にショックを受けてるんだ。
—レイノルズを表現するフレーズとして「有毒な男性性」が浮かびました。職権を乱用するパワフルな男性というアイデアについて聞かせてください。
「有毒な男性性」は、非常に現代的なフレーズで、そう言い表せるかもしれない。もっと発達停止に近くて。母親が息子を将来性のある少年のように扱うが、その少年が成長しても子どものように振る舞っていたら、どうなるだろう。
—ルイスは、「制作前はお互いのアイデアをメールで送り合うのが楽しくて、撮影が始まったら寂しくなった」と話していました。
そうだね。一定の距離があれば、口論は楽しいかもしれないけど、一瞬で楽しくなくなる。彼とヴィッキー・クリープスとの闘争的なシーンについて考えるのに多くの時間を費やしたけど、そこには笑いもあったよ。
—ぜひ聞いておきたいのですが、ダニエル・デイ=ルイスは絵文字を使いますか。
いや、彼はガラケーを使っているよ。いろいろと理解しているけど、絵文字とは縁がない生活を送っているね。「L」を入力するために、「J」「K」「L」と3文字打っているよ。
ポール・トーマス・アンダーソンの作品では、邪神たちが颯爽(さっそう)と歩く。強欲な石油業者や、巨根のポルノスター、新興宗教の教祖、古くさい嘘をつく賭博師らだ。本作は、アンダーソンが監督と脚本を務めた魅力的な恋愛映画だが、真の神、少なくとも高い場所に君臨する者について描かれていた。
2018年5月26日(土)公開
東京には、視点が異なる多種多様な博物館が存在する。本記事では、変わった展示品や、見世物レベルの収蔵品など、強烈な個性をもつオーナーがコレクションした品々を展示する博物館を紹介する。
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