未来の想い出―ラストクリスマス―(1992)
監督:森田芳光
校庭をゆっくりと後ろ向きに歩く小学生たち。その頭上を飛行機の影が後退していく……。まるで『TENET』を観ているかのような映像。そう、時間が逆転しているのだ。
監督は『家族ゲーム』の森田芳光。特撮演出は『シン・ゴジラ』の樋口真嗣によるもの。王道のクリスマス映画でありながら、時を繰返す「ループもの」というところが面白い。
この映画の主人公、売れない漫画家の納戸遊子(清水美沙)はクリスマス翌日に突如死亡。目が覚めたら十年前に戻っていた。同じく過去に戻った友人の金江銀子(工藤静香)とともに人生をやり直す。
もし、過去に戻れたらどうするだろうか? 未来の知識を生かして金を稼いだり、失敗した恋人選びを必死に阻止するかもしれない。しかし、この映画を観て思ったことは、どんなに「未来の想い出」があったとしても、本当に大切なことを選び取るのはやはり難しいということだ。
きらびやかなバブルの時代、金でも名誉でもなく自らの心、本当の気持ちに従った時にこそ最高の人生をつかみ取れる。それこそが、クリスマスが彼女たちに与えた最高のプレゼントになるだろう。
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