Photo by Joe Scarnici/Getty Images
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インタビュー:ミヒャエル・ハネケ

ミヒャエル・ハネケが、新作『HAPPY END』について語る

Phil de Semlyen
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ミヒャエル・ハネケが手がけた最新作『HAPPY END』が、2018年3月3日(土)に公開される。オーストリア出身の巨匠は、ソーシャルメディアの機能不全や、母親殺しを題材に、現代のヨーロッパが抱える問題の核心に切り込んだ。インタビューは、本人に直接会って行ったが、想像していたよりも不安な気持ちにはならなかった。しかし、黒づくめの衣装で首元にスカーフを巻いた彼は、やたら親切なわけでもなかった。

「いかに愛する者を殺すか」という問題を見つめたかった

『HAPPY END』は、前作『愛、アムール』と物語の結びつきがあります。両作のつながりについて聞かせてください。

前作『愛、アムール』は、妻を忘れようとする老人の物語で、より隠喩的なエンディングを描いたんだ。本作では、より現実的な視点をもって、「いかに愛する者を殺すか」という問題を見つめたかった。登場人物は違うが、同じ問題を扱っているんだ。

イザベル・ユペールと組むのは4作目になります。彼女にこだわる理由はありますか。

私たちは友人だからうまくいく。特定の俳優をよく知っていて、良い関係ならよそ見をするのは馬鹿げていると思う。アメリカ人の女優からも依頼が多くあるけど、まずアイデアが優先されるべきだ。ジェシカ・チャステインは素晴らしい女優でぜひ一緒にやりたいな。そのためにはストーリーがないとね。

『HAPPY END』のイザベル・ユペール

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ヒントはすべて作品に描かれているよ

—さまざまな解釈ができるエンディングを描いていますが、いまだに『隠された記憶』や『ピアニスト』のエンディングについて聞かれることはありますか。

もちろん。観客が問題に向き合い続けてくれるなら、私は嬉しいよ。もし全てが説明されれば、すぐに忘れられてしまうと思っている。観客が向き合う必要がある問題を構成するという考えだね。『隠された記憶』のエンディングで、2人が語り合う内容について聞かれるけど、私が教えるわけではなく、自身で答えを見つけなくてはならない。ヒントはすべて作品に描かれているよ。

—周囲から厳格で真面目な人だと思われやすいのは気になりますか。

人からどう思われようと、あまり気にしないな。私は真面目でユーモアに欠けるという悪評があるけど、友人たちは違うということを知っている。そこに立ち向かうことに意味はあるのかな。もし私が怖いのであれば、それでいいよ(笑)。

—タイトルは『HAPPY END』ですが、悲観的な作品に仕上がっています。ヨーロッパの現在を見つめる視点が反映されているのでしょうか。

私は悲観主義者でもなく、楽観主義者でもない。現実主義者なのさ。

2018年3月3日(土)公開

監督:ミヒャエル・ハネケ

ヨーロッパの難民問題を背景に、フランス北部の町カレーで暮らす問題を抱えた3世代の家族の姿が描かれる物語。タイトルは『ハッピーエンド』だが、悲観的な作品に仕上がっている。

公式サイトはこちら

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