デジタルからアナログへの移行
―フミヤさんは、いち早くCGアートを始めた方という印象が強くあります。1993年の初の個展では15万人を動員させて、ニューヨークやパリにも巡回しました。
確かに早かったよね。最初はフォトショップで作っていました。当時のPCは、ちょっとした車が買えるくらいの値段だったのに、今のスマホよりスペックが低かったからね(笑)。コンピューターで作るってどういうこと?ってよく聞かれました。でも、今は気軽に使える道具になったし、誰でも作れるようになりましたよね。その間に発表されたCGアートをある程度観てきたら、行き着いた感がしましたね。
―CGアートから水彩画へ移行されたのは5年前とのことですが、それはなぜですか。
当時好きだったプリンターの仕様が変わっちゃって、好きな紙を使えなくなったことがきっかけといえばきっかけでしたね。ある作品では伊東屋で見つけたヘビ柄の紙を使っていたんですが、表はインクが乗らないので、裏側に作品を刷っていて。でも、今のプリンターではそういうことができなくなっちゃって。
―時代がデジタル化したタイミングでアナログに向かっているんですね。
結果的にそうなりましたね。いまでは、複製できないもの、1枚しかないもの、そういうものに魅力や希少価値を感じます。