Thirteen Paintings
「WADE GUYTON – THIRTEEN PAINTINGS」エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2024) Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo credits: © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
「WADE GUYTON – THIRTEEN PAINTINGS」エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2024) Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo credits: © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

東京、12月に行くべき無料のアート展12選

陶器、抽象絵画、映像、インスタレーションなど、入場無料のアート展を紹介

広告

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、12月に行くべき無料のアート展12選

ここでは12月に開催する無料のアート展を紹介したい。杉本博司、ソフィ・カル、青柳龍太の3人のアーティストによる「UNSOLD UNSOLD」展や、虎ノ門「アート クルーズ ギャラリー バイ ベイクルーズ」でのソール・ライターの写真展、ロエベとのコラボレーションが大きな話題となったスナ・フジタの展示・抽選販売など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。冬のアート巡りを楽しんでほしい。

関連記事
東京、11月〜12月に開催されるダンス公演3選

  • アート
  • 虎ノ門

虎ノ門「アート クルーズ ギャラリー バイ ベイクルーズ」で、写真家ソール・ライター(Saul Leiter)の展示が開催。ソール・ライター財団監修の下、没後に発見されたカラーポジフィルムから新たにプリントされた作品44点を日本で初めて展示する。

ニューヨークの街中に潜む色彩と詩情に満ちた小さな断片を写し取るライター。1950年代からファッションフォトグラファーとして活躍しながら、50代で表舞台から完全に姿を消し、自らの美意識に淡々と従って生きていた。

2006年に刊行した初の写真集『Early Color』で、80代のライターは「カラー写真のパイオニア」として再び注目され、2013年に没した後もその評価はさらに高まり続けている。

ライターが生み出した唯一無二の色彩の世界を存分に堪能してほしい。

  • アート
  • 銀座

「ギャラリー小柳」で、 杉本博司、ソフィ・カル(Sophie Calle)、青柳龍太の3人のアーティストによる「UNSOLD UNSOLD」展が開催。本展は、2014年11月に同ギャラリーで開催された「UNSOLD」展を再現したものだ。

10年前に靖国神社ののみの市で販売され、売れ残った3人のアーティストによる作品は、ギャラリーという場に移され、全体で一つの「UNSOLD」というインスタレーション作品として売り出された。しかし、それもまた売れ残ったため、今回は「UNSOLD UNSOLD」(売れ残りの売れ残り)として再び販売する。

また、2014年に発行された展覧会カタログが、杉本の新テキストを加えて『UNSOLD UNSOLD』として再版される。売れるのか、再び残るのか。ぜひ訪れてほしい。

広告
  • アート
  • 品川

「小山登美夫ギャラリー天王洲」で、藤田匠平と山野千里の2人で陶器を共作するユニット「スナ・フジタ」の新作展が開催。近年、ラグジュアリーブランド「ロエベ」とのコラボレーションが大きな話題となった彼らの作品群が、展示・抽選販売される。

スナ・フジタは、焼き物という立体の特徴を生かして人と自然、動物が共生し、自由で優しく遊び心ある作品群を作り上げてきた。
大人や子どもがチョウチンアンコウ型の潜水艦から楽しそうに海を眺めたり、また、原始人がマンモスやシーラカンスに乗ってはしゃいだりしている。

作品からあふれる、原始時代から現代まで通じる日々を生きる楽しさや、子どもの休みのような懐かしさの独特なオリジナリティーは、日常の宝物のような時間を陶器に残すという彼らの力強い視点から来るものだろう。

唯一無二のユートピアな世界観を楽しんでほしい。

  • アート
  • 品川

現代アートギャラリー「ユキコミズタニ」で、日本画家の千住博と竹工芸家でアーティストの四代田辺竹雲斎による二人展「Beyond Nature」が開催。日本美術を追求し、伝統を革新へと導くアーティスト同士がコラボレーションをする。  

「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」での名誉賞受賞のほか、「メトロポリタン美術館」「ブルックリン美術館」などの国内外の主要な美術館や寺院に作品が収蔵されている千住と、父である三代田辺竹雲斎に師事し、竹工芸のインスタレーションや現代的なオブジェを「ボストン美術館」「大英博物館」など世界各地で披露する四代竹雲斎。2人は、日本画と竹という素材の新たな展開をそれぞれ追求し続けてきた。

本展では、千住による『ウォーターフォール』の新作と、四代竹雲斎によるサイトスペシフィックなインスタレーションを含む作品群で構成される。日本を代表するアーティストによる画期的な空間を見逃さないでほしい。

広告
  • アート
  • 表参道

「エスパス ルイ ヴィトン東京」で、アメリカのアーティスト、ウェイド・ガイトン(Wade Guyton)の個展が開催。13点の絵画から成る作品『Untitled』(2022年)が世界初公開される。

写真や彫刻、映像、書籍、ドローイングなどのさまざまなメディアと素材を用い、厳密なコンセプトに基づく作品群で知られるガイトン。2000年代初頭からニューヨークの若手アートシーンで中心的存在となった彼は、絵画と抽象から距離を置くことで、既存のカテゴリーに収まらない在り方を追求し続けている。

今回の作品は、絵画の伝統的な構造や言語に準じながらも、従来の手法や様式を大きく改変している。唯一無二の作品世界を堪能してほしい。

  • アート
  • 代官山

代官山の「アートフロントギャラリー」で、川俣正の個展が開催。フランスを拠点に活動する川俣の、2024年の活動を一挙に紹介する。

今回、「代官山ヒルサイドテラス」に、近年世界各地で高い評価を得ているプロジェクトシリーズを展開した。ギャラリー前の樹木には最新作の『Tree Hut』を、建物のベランダには鳥の巣をイメージした『Nest』を設置している。  

また、写真などによるプロジェクト記録展示に加え、「大地の芸術祭」の『snow fence』、「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」の『六甲の浮き橋とテラス』、京都での『夢浮橋ワーク・イン・プログレス2024』など、2024年の各プロジェクトの模型やマケットも展示・販売する。 

世界を舞台に活躍する川俣の今年の活動を見尽くしてほしい。

広告
  • アート
  • 丸の内

「インターメディアテク」で、 「in Vitro? in Vivo! – 写真家 立木義浩 ✕ 東京大学」が開催。写真家の立木義浩が撮影した、「東京大学総合研究博物館」に収集された学術標本群の写真作品が並ぶ。

タイトルのin Vitroは「試験管内」、in Vivoは「生体内」を意味し、生理学において人工的環境下で行われる反応系と、実際の生体内で起こる反応系を指す。博物館の標本群は封じ込められた「モノ」である一方、展示され、写し出されることで、再び生きた存在へと戻っていく。 

立木の写真の中で、体温を持たないはずの被写体は、そこでしか見せない表情を醸し出しているように見えるだろう。

  • アート
  • 六本木

六本木の「タカ・イシイギャラリー 六本木」で、サイトウマコトの個展「トーべ・ヤンソンのドキュメンタリーを観た後で。-杜(もり)の譜(うた)」を開催。北欧の森林地帯を思わせる薄暗い背景に、高度に抽象化されたトロールとゴブリンたちが表されている新作ペインティングを展示する。

サイトウは、人間の狂気が刻み込まれた顔を主題として、コンピューター上で解体・再構成した網点状の設計図を作り、このデジタルデータに絵筆で描くポートレート作品で知られている。

有機的な形状の鮮やかな色彩が配された今回の新作は、抽象絵画だ。小説家であるトーベ・ヤンソン(Tove Jansson)のドキュメンタリーと、北欧童話を娘に読み聞かせた記憶に触発され、森の精霊たちの誕生の様子が脳裏に浮かんだことが制作につながった。

広告
  • アート
  • 恵比寿

恵比寿「MEM」で、須藤絢乃の新作個展が開催。さまざまな時代で強烈な印象を残した女性たちに須藤がふんするセルフポートレート作品『⻤が栖むか蛇が栖むか』を発表する。

須藤は20代半ばに大病を患う。そのことがきっかけで、「尋ね人」の貼り紙に写される行方不明の少女たちに自らが扮装したシリーズ『幻影 Gespenster』を制作する。自身もいつか人知れず消えてしまうのかもしれないという不安や恐怖を抱える中、彼女たちが生きていた時の輝きを作品に残そうとした。

今回、須藤は社会やメディアで取り上げられ話題となった後、現在の消息が不明の女性たちに姿を変えた。失踪した少女たちも時代のアイコニックな女性たちも、他者のままではなく自分ごととして捉えるために、須藤はセルフポートレートという手法を選んでいる。

2024年12月20日(金)には、美術評論家の椹木野衣と須藤のトークイベント(20人限定・要予約、税込み1,200円)も開催予定だ。見逃さないでほしい。

  • アート
  • 六本木

六本木の「ユミコ チバ アソシエイツ」で、「木下佳通代、沢居曜子、辰野登恵子|70年代-不毛なもの、その先に」が開催。女性の社会進出がいまだ困難だった1970年代に、時代を先駆け、コンセプチュアルな表現に取り組んだ3人の女性アーティストたち、木下佳通代(1939〜1994年)、沢居曜子(1949年〜)、辰野登恵子(1950〜2014年)に焦点を当てる。

木下は写真を用いながら、平面上で実像の不確かさを問い、「見ること」について鑑賞者に気づきを与える作品を多様に展開した。沢居は、角材・鉛板・蛍光管・新聞紙などの異質なもの同士の出合いによって、空間を変容させる展示をいくつも手がけた。そして、辰野は版画によるさまざまな表現に取り組み、当時新しい技術だったシルクスクリーンにフリーハンドの線を加えるなどして、独自の表現を生み出した。

男性の批評家とアーティストたちが多数を占めていた当時の現代美術シーンの中で、出会い、時に連帯し、励まし合った彼女たち。実験的で独創的な作品世界を体感してほしい。

広告
  • アート
  • 谷中

現代アートギャラリー「スカイ ザ バスハウス」で、ジョージア出身でベルリンを拠点に活動する現代美術家のヴァジコ・チャッキアーニ(Vajiko Chachkhiani)の展示が開催。新作の彫刻作品群と映像作品を展示する。

チャッキアーニは、2017年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」でジョージア館代表に選出され、人間心理と社会情勢を比喩的に抽出する重層的な彫刻作品およびインスタレーションで高い評価を受けた。歴史と自然、不在と存在、あるいは家族と経済、二項対立的な構造、およびそれらによって生じる矛盾といった作家の制作活動における中心的な関心を、独自の弁証法的手法で昇華している。

さまざまな主題を通じて重層的に表現する彼の試みを、見逃さないように。

  • アート
  • 江東区

「ギャラリーエークワッド」で、「東京子ども図書館」の50周年を記念した「本とおはなしの楽しさを子どもたちに 松岡享子からの贈り物」展が開催。同館の創設者であり、絵本の翻訳や創作に寄与した松岡享子(1935〜2022年)の歩みを追う。

戦後、アメリカで児童図書館員の仕事を学んだ松岡は、同館の前身の一つである「松の実文庫」を中野の自宅に開く。また、「ユネスコ・アジア太平洋地域共同出版計画」の編集委員や「国際アンデルセン賞」の選考委員を務めるなど、世界の子どもたちへもそのまなざしを向けた。

本展では、その人物像や暮らしぶり、人々とのつながりが生んださまざまな名作などを紹介する。子どもの心に向き合い、温かな物語を語り継いだ松岡からの贈り物に触れてほしい。

12月の予定を立てるなら・・・

  • Things to do
  • イベント

本格的に寒くなるこの季節に出かける場所といえば、室内で楽しめる映画館が思い浮かぶ人が多いかもしれない。2024年12月は、いつもとは少し違う映画体験ができるイベントがめじろ押しだ。

約60もの貴重なドキュメンタリー映画が楽しめる映画祭や、現役の日芸生による映画祭、普段観る機会のないパイロットフィルムが楽しめる上映会や、若手映画監督によるショートフィルムのグランプリを決めるイベントなど、個性豊かなシネマフェスティバルを5つを紹介する。

普段は観ることのできない映画が勢ぞろいするイベントばかりなので、寒さに負けず、家から飛び出そう。

 

  • アート

この冬、東京にあらゆるミュシャ作品が大集合している。「そごう美術館」での、ミュシャのポスターからデザインまでの仕事を集めた展示や、渋谷「ヒカリエホール」のミュシャの作品世界に包まれる没入体験展覧会など、ここではミュシャだけに特化した展示を集めた。新たなお気に入りのミュシャを見つけてほしい。

おすすめ
    関連情報
    関連情報
    広告