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本格的に寒くなるこの季節に出かける場所といえば、室内で楽しめる映画館が思い浮かぶ人が多いかもしれない。2024年12月は、いつもとは少し違う映画体験ができるイベントがめじろ押しだ。
約60もの貴重なドキュメンタリー映画が楽しめる映画祭や、現役の日芸生による映画祭、普段観る機会のないパイロットフィルムが楽しめる上映会や、若手映画監督によるショートフィルムのグランプリを決めるイベントなど、個性豊かなシネマフェスティバルを5つを紹介する。
普段は観ることのできない映画が勢ぞろいするイベントばかりなので、寒さに負けず、家から飛び出そう。
東京ドキュメンタリー映画祭
今年で7回目を迎える「東京ドキュメンタリー映画祭」が、「ケイズシネマ」で開催される。約60作品のドキュメンタリー映画は、短編、長編、人類学・民俗映像といった各コンペティション部門の中で上映する。普段はなかなか観られない、国境を超えた作品が楽しめる貴重な機会だろう。
「長編部門コンペティション」では現代の中国の若者や、日本の不登校、一人芝居役者など、多岐にわたる作品がラインアップ。「短編部門コンペティション」は命や災害、家族などのテーマごとにプログラムが分かれており、ジャーナリストの伊藤詩織が、西アフリカのシエラレオネで女性器切除の伝統に反対する母子を取材した『カーディジャへの手紙』などが上映予定だ。
沖縄・久高島に伝わる12年に一度の秘祭「イザイホー」の未公開映像を記録した『沖縄久高島のイラブー』など、「特別上映」でも厳選された映像が楽しめる。ぜひチェックしてほしい。
観たいプログラムに絞れないという人は、3回券(3,600円、税込み)がおすすめ。こちらは数に限りがあるので、注意してほしい。
※11月30日〜12月13日/時間は作品により異なる/ケイズシネマ/料金は1,600円、学生1,400円、60歳以上1,200円
日芸映画祭
日本大学芸術学部の生徒が主催する映画祭が、今年で14年目を迎える。今回は、ロシアのウクライナ侵攻などの社会問題に対して「声をあげる」ことをテーマに、学生たちが厳選した14作品が「ユーロスペース」で上映される。
初の水俣病被害者たちの闘いの記録である『水俣-患者さんとその世界-』(完全版)や、約20万人が福島第一原発政策への抗議のために首相官邸前に集まった運動を記録に残した『首相官邸の前で』などの作品がラインアップ。ドキュメンタリーに限らず、「#MeToo」運動が世界に広がるきっかけとなった告発事件を映画化した『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』をはじめとした、それぞれの社会問題に対して声を上げる映画を縦断的に観られる貴重な機会だ。
同イベントで公開予定の『マイ・バック・ページ』や、人気作である『カラオケ行こ!』の監督を務める山下敦弘をはじめ、ジャーナリスト、俳優による上映後のトークショーを予定している回もあるので、詳しいスケジュールは公式ウェブサイトをチェックしよう。
※7〜13日/時間は作品により異なる/ユーロスペース/料金は1回券前売り1,000円、当日1,400円、60歳以上・学生1,100円/3回券前売り2,400円、当日3,000円
渋谷ジェンダー映画祭
2024年12月13日(金)〜15日(日)の3日間、渋谷ジェンダー映画祭が今年も開催される。13日は、「渋谷区文化総合センター大和田」内の「渋谷区伝承ホール」、14・15日は、「渋谷インクルーシブシティセンター<アイリス>」が会場となる。
1980年代の炭鉱閉鎖の危機に立ち向かった炭鉱夫とLGBTコミュニティの連帯を描いた『パレードへようこそ』や、パートナーを亡くした喪失体験から、過食を繰り返してきた男性が、死期を目前に娘との絆を取り戻そうとする最期の5日間に迫った『ザ・ホエール』など、5つの映画が上映される。毎回、上映後にはトークセッションも企画されており、初日の13日は、ドラァグクイーンのマダム ボンジュール・ジャンジや著述家の湯山玲子などが登壇する。
映画だけを見るよりも、きっとより深く映画の世界を味わえるはずだ。各回定員制で事前予約が必要なので、詳しくは公式ウェブサイトをチェックしてほしい。
※時間は作品により異なる/入場は無料
※13〜15日/時間は作品により異なる/渋谷区文化総合センター大和田・渋谷インクルーシブシティセンター<アイリス>/入場は無料
渋谷パイロットフィルムフェスティバル
映画や番組の制作前に試験的に作られる短尺の映像である貴重なパイロットフィルム全20作品を集めた映画祭が「シネクイント」で開催される。監督やプロデューサーによるトークショーも開催予定で、人気作品の原点をたどれる貴重な機会だろう。
日本国内外で高く評価されている『この世界の片隅に』や『JUNK HEAD 01』、50年以上前の名作である『ルパン三世』のほか、『AKIRA』の監督である大友克洋の幻の実写映画といわれる『童夢』など、注目すべき作品が多くラインアップしている。
イベントは、パイロットフィルムの上映とゲストによるトークを組み合わせた6本のプログラムと、トークなしで映像のみを一挙公開する「全作品上映」の全7プログラムが予定されているので、詳しくは公式ウェブサイトをチェックしてほしい。作品の裏側をのぞける、いつもとは違う映画体験をしてみては。
※14日/10時〜22時55分(プログラムにより異なる)/シネクイント/料金は各プログラム1,600円
八王子Short Film映画祭
新人映画監督の登竜門として新たな才能を発見する「八王子Short Film映画祭」が、今年も開催。同イベントの第3回目グランプリ作品である『カメラを止めるな!』が大ヒットするなど、期待あふれる作品が楽しめる機会となっている。
12回目を迎える今回は、「出会い」「愛」「結婚」のどれかに沿った内容で約20分の短編作品がエントリーの条件。「カンヌ国際映画祭」でも作品上映経験のある監督や、小学3年生の頃から映像制作を始めたという学生の作品など全11作品がラインアップしている。作品を楽しむのはもちろん、表彰式まで併せてチェックしてほしい。
観覧には、当日の申し込みが必要なので注意が必要だが、入場は無料。気軽に足を運んでみては。
※15日/13時〜/ロイヤルガーデンパレス 八王子 日本閣/入場は無料
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