ラーメンどんぶり展
田名網敬一 どんぶり
田名網敬一 どんぶり

東京、3月に行くべきアート展5選

ヒルマ・アフ・クリント、松山智一、ミロなど

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積極的に外出がしたくなる季節。グッとくる新しいアートとも出合いたい。
ここでは、2025年3月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介しよう。全て日本初公開・初来日となる抽象絵画の先駆者の「ヒルマ・アフ・クリント展」、「麻布台ヒルズギャラリー」での松山智一の東京で初となる大規模個展、「アーティストラーメンどんぶり」が登場する展示など、この春一押しのアート展をセレクトした。心に響く体験をしてほしい。

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  • アート
  • 竹橋

「東京国立近代美術館」で、19世紀後半のスウェーデンに生まれた抽象絵画の先駆者、ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint、18621944年)のアジア初となる大回顧展が開催。全て日本初公開・初来日となる作品約140点を通して、画業の全貌を明らかにする。

20世紀初頭、抽象絵画を創案した画家として、近年再評価が高まったアフ・クリント。肖像画や風景画を手がける職業画家として、キャリアをスタートさせた。一方で神秘主義思想に傾倒した彼女は、交霊術の体験などを通して、自然描写に根ざしたアカデミックな絵画とは全く異なる抽象表現を生み出す。

本展の見どころは、異例の巨大なサイズで描かれた圧巻の『10の最大物』(1907年)。幼年期・青年期・成人期・老年期という人生の4つの段階を描いた10点組みの大作で、高さは3メートルを超える。多様な抽象的形象、画面からあふれ出るようなパステルカラーの色彩、そして圧倒的なスケールは、観る者を一瞬で引き込み、異空間を漂うかのような体験に誘うだろう。

また、アフ・クリントが残したスケッチやノートなどの資料、同時代の神秘主義思想・自然科学・社会思想・女性運動といった多様な創作の源も紹介する。

作品を通して、アフ・クリントの無限の想像力を体感してほしい。

  • アート
  • 神谷町

「麻布台ヒルズギャラリー」で、ニューヨークを拠点にグローバルな活躍を見せるアーティスト、松山智一の東京で初となる大規模個展が開催。20年以上にわたりニューヨークで活動し、いまや世界が注目する次世代のアーティストの一人となった松山の大規模作品15点を含む、近年の作品群約40点が展示される。

ブルックリン在住の松山は、絵画を中心に、彫刻やインスタレーションを制作。アジアとヨーロッパ、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素を有機的に結びつけて再構築し、異文化間での自身の経験や情報化の中で移ろう現代社会の姿を反映した作品を発表している。

絵画から放たれるまばゆいばかりの色彩は、松山作品の最大の特徴の一つだ。世界を彩る多様な文化、伝統、宗教、そして歴史的なものや現代的なもの、さらにはハイカルチャーから日常品といった要素が、無数の色で描かれている。

迫力ある色彩と壮大なスケールの絵画や巨大な立体などを通して、そこだけに広がる松山の作品世界に浸ってほしい。

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  • アート
  • 六本木

トゥーワン トゥーワン デザインサイト(21_21 DESIGN SIGHT)」で、ラーメンを「器」からひも解く「ラーメンどんぶり展」が開催。さまざまなジャンルのデザイナーやアーティストらが、ラーメン丼とれんげをデザインする「アーティストラーメンどんぶり」に新作10点を加えた、全40点のオリジナルラーメン丼を展示する。

展覧会ディレクターは、グラフィックデザイナーの佐藤卓とライターの橋本麻里。本展は、2人が2012年から取り組んでいる岐阜県の東濃地方西部(多治見市、土岐市、瑞浪市)で作られ、日本のラーメン丼の90を占める「美濃焼」に関するプロジェクトの一つをきっかけとした。これまで、佐藤と橋本はラーメン丼を多様な視点から見ることで、美濃焼の背景や作り手たちの活動、そして日常食の器が生活にもたらす豊かさについてを伝えてきた。

今回、糸井重里、上西祐理、菊地敦己、佐藤晃一、竹中直人、田名網敬一、束芋、ヒグチユウコ、深澤直人、皆川明、横尾忠則などによる「アーティストラーメンどんぶり」を展示。また、建築家とデザイナー3組の設計による「ラーメン屋台」も登場する。

さらに、身近な製品を「デザインの視点」で解剖し、その成り立ちを徹底して検証する試みである「デザインの解剖」の手法で迫る「ラーメンと器の解剖」を展開。ラーメンの文化や歴史、器の産地である東濃地方の風土や環境、歴史についても紹介する。

日常の世界がどのような要素で成り立ち、そこにどのように人やデザインが関わっているのかを発見できる本展。その面白さを味わってほしい。

  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、20世紀に始まった住宅を巡る革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダンハウスを特徴づける7つの観点から再考する「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」が開催。傑作14邸を中心に、20世紀の住まいの実験を多角的に検証する。

見どころは、世界的に著名な建築家たちの自邸。細部まで工夫を凝らしたこだわりの自宅からは、機能や快適さの探究はもちろん、住まうことの楽しさや喜びへの熱いまなざしも垣間見られるだろう。

また、国内はもとより、アメリカやヨーロッパ、ブラジルなどから、貴重な作品が集結。図面、模型、外観や内観の写真に加え、近代建築の巨匠であるルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe18861969年)やアルヴァ・アアルト(Alvar Aalto18981976年)などによるドローイング、名作家具、照明器具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィックといった、バラエティーに富んだ内容を紹介する。

そして、注目はファン・デル・ローエの未完プロジェクト「ロー・ハウス」の原寸大展示。2階の天井高8メートルの会場に設置され、このスケールでの展示実現は世界初となる。

快適性や機能性、そして芸術性の向上を目指した建築家たちの、時代を超えた普遍的な視点を通して、暮らしと住まいを見つめ直してみては。

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  • アート
  • 上野

「東京都美術館」で、20世紀を代表する巨匠、ジョアン・ミロ(Joan Miró、1893〜1983年)の大回顧展が開催。初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、90歳まで新しい表現へ挑戦し続けたミロの芸術を包括的に紹介する。

太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特な画風が特徴のミロ。作品には、潜在意識や子どものような精神、そして故郷への愛着が反映され、明るく楽しげな画面が多くの人を引きつける。それだけではなく、周囲の政治的・社会的状況への強い感受性と反骨精神が創作の原動力にもなっており、ミロは特定の運動に属することのない純粋で普遍的な芸術を追求し続けた。

ミロの代表作に挙げられるのが、戦火を逃れながら、夜や音楽、星を着想源にして全23点が描かれた『星座』シリーズだ。現在、シリーズの各作品は世界中にちらばっており、本展ではそのうちの3点をまとめて観られる貴重な機会となる。

ミロの大規模な個展が日本で開催されるのは、画家が存命中の1966年に開催されて以来。世界中から集結する傑作の数々を通して、ミロの芸術の神髄を体感してほしい。

2025年のアート情報と言えば……

  • アート

2025年に東京都内で開催される注目のアート展を特集。「東京オペラシティ アートギャラリー」の今津景の大規模個展、「森アーツセンターギャラリー」の古代エジプト展、「東京都美術館」でのミロ展、「TOKYO NODE」でのデザインを体感する「デザインあ展neo」、「森美術館」での藤本壮介の建築展など、さまざまなジャンルから厳選してセレクトした。

この記事を参考に、2025年の行きたいものリストを充実させてほしい。

  • アート

地域やエリアの特色を生かしながら、国内外の先駆的なアートやパフォーマンスが一気に集結する芸術祭。ここでは、2025年に開催予定の全国各地の芸術祭を厳選して紹介したい。

初開催の「東京お台場トリエンナーレ」や「千葉国際芸術祭」のほか、瀬戸内の島々を舞台に繰り広げられる「瀬戸内国際芸術祭」や、「大阪・関西万博」を機に開催する「大阪関西国際芸術祭」など、来年の芸術祭巡りの参考にしてほしい。

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